パルシックは、2015年3月からガザの中部デル・アルバラ地区にある2箇所のリハビリセンターで、戦争によって心理的な傷を負った子どもたちに心のケアを行っています。対象としているのは、5歳から18歳までの子どもたち300名。活動前の調査では、すべての子どもたちが大きな音におびえる、悪夢を見る、暗闇や一人になるのが怖い、といった様々なトラウマの症状を抱えていることが確認できました。この結果に基づき、現在、心理療法士による演劇ワークショップやアートセラピー、屋外活動などを通して、トラウマによる症状緩和に努めています。今回は、いくつかの活動をご紹介したいと思います。
プログラムの一つである演劇ワークショップに、ミラー・エクササイズという活動があります。向かい合う二人の子どものうち、一人があるキャラクターになりきって演じ、もう一人がその動きを真似るというとてもシンプルなエクササイズです。しかし、子どもたちが戦士のキャラクターを演じたり、戦いに関連した動きをしたりする場合は、注意が必要です。また、動きを真似ることにも重要な意味があり、これによって忍耐力や集中力があるか、グループ行動ができるかどうかをチェックします。心のケアが必要な子どもほど集中力に欠ける傾向があり、特別な観察が必要であることがわかります。
他にも、子どもたちの想像力を広げ、対話能力を養うために人形劇を取り入れています。人形を操りながら他の人形と会話をすることで、子どもたちは人形劇のユーモラスな世界観を楽しみ、そこから安心感を得ることができます。また時には、人形を通して自分の思いを表現したり、普段なかなか言えない悩みなどを話したりすることもあります。
屋内の活動に限らず、屋外で体を動かす活動も重要です。4月27日及び29日には、海への遠足を実施しました。野外の解放感の中のびのびと活動することを通して、楽しい思い出を増やし、心の傷を癒していくことが目的です。ほとんどの子どもたちは2014年夏のイスラエルの攻撃開始以降、デル・アルバラ地区の外に出かけることができずにいたため、はしゃぎながら、歌を歌ったり、着ぐるみのショーやパレスチナの伝統的な遊びであるシンナール(Sinnar、ガザ版かくれんぼ)、ノッティルハビル(Nat Alhabel、大縄跳び)、シャッダルハビル(Shad Alhabel、綱引き)を楽しんでいました。
※この事業は、デル・アルバラリハビリテーション協会(Deir El Balah Rehabilitation Society:DBRS)の協力のもと、ジャパン・プラットフォームの助成によって行っています。
https://www.japanplatform.org/programs/gaza2014/
(アンマン事務所 大野木)