2011年8月6日、石巻市大街道に、カフェ・地域の方々の寄り合い場・情報の集まる場などの機能をもつ場所「街の駅おちゃっこ」をオープンすることができました。
「おちゃっこ」の構想が生まれたのは、1階が津波にのまれたものの2階が無事だったため、被災しながらも自宅に残って懸命に生活を立て直そうと頑張ってい た在宅被災者の方々から「情報がない」という声を聞いたことからでした。在宅被災者の多くが、震災後の数日間を避難所で過ごし、津波の水が引いたのち自宅 に戻り、1階にあった家電製品や食糧、車を失いながらも2階を使って寝泊りし、必死で家の周りや1階に流れてきた大量のごみや汚泥を掃除していました。で すが、たくさんの家が全壊となったこの地域に残って生活をしている人がいることは行政も支援団体もあまり認識しておらず、支援の手から取り残されていまし た。また、町内会の班が細かに分かれており、通りが1本違うとだれが住んでいるがわからなかった上に、地震によって仲の良かったご近所さんも被災していな くなり、助け合えるような人が近くにいないまま、孤独な状況に陥っている方もいました。そして多くの方が、“行政から情報が届かず近所からも話を聞くこと ができない”、“建築制限をかけられ都市計画でいつか家を撤去されるかもしれない、修繕しても損をするだろうけれど、このままの生活ができず、どこまで家 を修繕するのか”・・・、そうした将来への不安、毎日家の掃除と食糧などの確保に追われ、多くのストレスを抱えていました。
当時パルシック石巻事務所の場所を提供してくださっていた川村さんに、そうした地域の人たちが集い、情報を交換し、行政や町の情報が得られるような「交流 スペース」を作ることができないか、と相談しました。そして、のちに「おちゃっこ」として活用することになるお宅の家主さんを紹介していただきました。
そのころ家主さんは、家族と一緒に近くのマンションで暮らし始め、被災した自宅は取り壊すつもりでした。ですが、長年家族とともに過ごしてきた思い出のつ まった家です。自宅に住むことをあきらめながらも、流れ込んできた瓦礫や壊れた家具を家から出し、床をはがして汚泥を撤去するなど、1人で一生懸命、自宅 の片付けをしていました。それほどまでに思い入れのある自宅を「地域の人たちのために使うなら」と、場所を提供することに協力してくださったのです。そこ で大工さんに、家自体を使い続けることができるのか診断してもらい、柱等が無事であることを確認、ボランティアの方々の手を借りながら掃除、床はり、壁は り・壁塗り、天井はり、掃除、壁塗りを行いました。本当の手作りです。時間はかかりましたが、そうしてやっと8月「街の駅おちゃっこ」が完成しました!
初日からお隣さん、お向かいに住んでいらした方、班も地区も違う地域から来てくださった方々が同じテーブルでおしゃべりを楽しんでいらっしゃいました。ご みの収集日がわからない方にはインターネットを使って調べてプリントアウトしてお渡ししました。ダイニングテーブルを買いに出かけられないという方には、 インターネットで通販可能なお店や、どんなテーブルがあるのかなどを一緒に探しました。
今後、運営を続けていく上で、看板を加えたり、地域の新聞を作る予定です。また「おちゃっこ」に来てくださった方や、チラシ配りで出会った地域の方などの 声・ニーズを反映した活動を行っていきます。日々の活動や出会いなどたくさんお伝えしたいことが毎日あります。ホームページやブログで随時お伝えしますの で、ご期待ください!
応援、叱咤激励、協力、アドバイス、たくさんの力をもらいました。
この場をかりて、皆様にお礼をさせてください。言葉をいくら尽くしても足りないほど、スタッフ一同、みなさまに感謝しています。本当にありがとうございました。
(パルシック 日方里砂)