北上の郷土料理に「とりわけ(とりまわし)料理」があります。
「石巻市情報交流館北上館」は、石巻市の復興情報を住民の方々に発信し、地域の人が団らんで集える場として建築されました。また、来賓や来客にとりわけ(とりまわし)料理を味わってもらい、北上の文化や食材の豊富さを知っていただくというコンセプトもあり、以前からとりわけ(とりまわし)料理に興味を持っていた私は、復興応援隊として運営に関わらせてもらうことになりました。
まずは、以前に北上の食文化の調査をした際に中心的存在だった地元の方を通じて、その周りの主婦の方、地元の敬老会の婦人部の方たちに協力を仰ぎ、全面的にお手伝いをしていただきました。幸い、婦人部の方たちが住む地区は建物への震災の被害が少なく、公民館で使用していたお椀や小皿、大皿が残っていました。とりわけ(とりまわし)料理は、大皿で出てきた料理を好きな物を好きな量だけ取って食べる形式なので、料理だけでなく食器にもとてもこだわりがあることを知りました。当日は総勢10名ほどで、皆さんテキパキと調理をこなしていました。私も手伝ったのですが、その日はただあたふたするだけでした。この日のメニューは、つきたてのお餅をハゼの出汁で作った雑煮やあんこ餅、さらには北上の名物となりつつあるアワビ入りの北上茶わん蒸し、手作りの漬物の盛り合わせなどなど。紹介しきれないほどの種類の料理でおもてなしをしました。召し上がった皆さんは、お腹も心も大変満足しておられました。
これを機に、つながりが出来た地元のお母さん方と今後も関わり続けながら、北上の伝統を繋いでいくお手伝いができたらと思っています。
(復興応援隊 成田 昌子)