PARCIC

漁業復興支援

十三浜産直センターへのご支援の終わりにあたって

十三浜産直センターへのご支援は平成24年末からはじまり、今年26年3月末にて終わりとなります。 十三浜の住民の方たちから、震災後の十三浜地域活性化のための海産物産直所開設のご要望を受け、パルシックとして、産直所の建物設置や店内整備、販売に必要な冷蔵・冷凍ショーケース、陳列棚、レジ、机や椅子等の什器購入や、同センターの運営・管理等のご支援を行ってきました。この産直所は「十三浜産直センター」という名称になり、関係者の皆さんと協議し、協働で運営・営業してきました。同センターを実質的に運営・管理していく「十三浜産直センター運営管理組合」が組織され、現在は同組合がその実施にあたっています。

十三浜産直センターに看板が設置されました

十三浜産直センターに看板が設置されました

これまで、私は海外での国際協力の現場に携わってきました。同センターへのご支援を担当して、いくつかの活動を通じて、支援に関連したあらたな「気づき」がありました。そのいくつかを、今回記したいと思います。

まず初めに、改めてご支援することの難しさを痛感した一年余りでした。海外とは異なり、日本人に対してご支援するには、その地域の習慣や地域性、歴史、年間行事や仕事のスケジュール、人間関係等、その地域の特徴を把握し、細心の注意を払って活動する必要があります。そのうえで、関係者とひとつひとつ話し合いをしながら、時には飲食をともにしながら、信頼関係を築いていくことで、話が進んでいきます。同じ日本人だからこそ、お互いに信頼することの重要性を認識した一年でした。

団体や個人の支援の在り方も、様々な多様性があることに気づきました。各人それぞれの想いや信念に基づいて、支援をされているわけですが、その地域の方たちが少しでも元気になっていただければよいのかなと思います。ただし、その支援活動が住民の方たちの負担にならないことだけをいつも考えなければいけないと思います。

続いて、十三浜海産物の良さを感じました、ここ十三浜は、宮城県内でも高品質のワカメやコンブで有名です。実際、その美味しさは、今まで他産地の物しか食べていなかったので大きな驚きでした。その他に、十三浜を含めた石巻沿岸地域一帯でしか生産されない独特な製法のトロロコンブも、特徴的な海産加工品です。通常は、前処理をした乾燥マコンブの表面を刃物で薄く削って製造していくのですが、こちらでは乾燥したマコンブだけでなくホソメコンブを混ぜてロール状のものを作り、それを削っていくという製法です。通常のトロロコンブ(おぼろコンブ)とは異なった食感や風味があると思いました。

トロロコンブの製造風景。センター内でも販売中

トロロコンブの製造風景。センター内でも販売中

もちろん、北上町の皆さんや地域の良さも大きな魅力であると感じました。このことは、この欄には書き尽くせぬほどのものがあります。一度訪れたら、またお知り合いになれたら再度訪れたく、お会いしたくなるような良さがあるかと思います。
 
残念ながら、私は今月末でパルシックを退職することとなります。これまで、本当にありがとうございました。また、機会を見つけて、十三浜産直センターを訪れたいと思っております。

(石巻北上事務所 岩尾恒雄)