パルシックでは、公民館や集会所まで物資を取りに行けない人へ、物資を届けに行っています。
物資があるからといって、豪雨前のような生活ができるわけではありません。週に3回来ていた野菜の移動販売が来なくなってしまった、通っていた病院が浸水して営業停止してしまった、といった間接的な影響もあります。そのため、どんな不安を抱えていて、どういった支援を必要とされているか、といったお話も伺っています。
愛媛県に入ってすぐの頃、土地勘が何もない私たちのために、宇和島市社会福祉協議会(以下、社協)の方に、地域の独居の高齢者宅を案内していただきました。社協の方は、自身も被災しながら(靴がほとんど流されてしまったため、靴底が取れた靴をはいていらっしゃった!)、地域住民の為に、物資の輸送やニーズ調査を行っています。
住民の方には、自分なんかよりももっと大変なところに持って行ってと、遠慮される方も多くいらっしゃいます。
社協の方「水持ってきたからね、飲んでね」
住民の方「水あるから要らんよ」
社協の方「水何本あるの?」
住民の方「2本」
社協の方「2本じゃぁ全然足りないから、たくさん持ってきたからもらってね。水がなくてお風呂も入れないでしょう、体拭きシートも持ってきたよ」
住民の方「これで拭けばええのか、これはええなあ」
被災された方にとって必要なものは、日々変化し続けています。そのため、一度届ければ終わり、というわけではなく、何度も訪問し、ニーズを伺っては物資を届けています。
ある高齢者宅では、おしっこシートがあったらいいなあ、と言われました。
「紙パンツは履いたことが無い。いつも使っているおしっこシートがあるとええなあ。」
そこで、尿漏れシートを数種類購入して持って行くと、
「これはありがたいねえ。でももっと小さいサイズがええなあ」
このようなやり取りの後、ご希望のサイズの尿漏れシートを届けました。
公民館に行けば、確かにいくつもの物資があるけれど、こういった衛生用品は、なかなか自身のサイズに合ったものは無いのだろうと思われます。
宇和島市内では、まだ断水が続く地域もあり、そこでは、道路に置かれた生活用水タンクから、自身の使用分を汲まなければなりません。
ある地域では、地域の方が楽に選択できるよう、生活用水タンクのすぐ横に、洗濯機を設置していました。
ちなみに、私たちが物資を届ける際、グランマさんの倉庫や、他団体で物資をまとめているところから届けたり、自身で購入して届けたりしていますが、購入する際は、なるべく地元のお店で買うようにしています。
西日本豪雨の被災地は、東日本大震災の時とは異なり、被災地域が点在しています。
例えば、宇和島市全体が被災したわけではなく、市の中心部は特に問題ないものの、吉田町では大規模な土砂災害や浸水が起こりました。すぐ横の町では十分に水が出ているのに、こちらでは断水している、という状況です。
そのため、被災地の周りには、営業している商店も多いため、なるべく地元で物資を購入し、被災地域に届けることで、復興に役立てればと思います。
ある団地では、団地をまとめる区長さんが、何号室の誰が物資を取りに行けていない、という情報を把握し、私たちに教えてくれました。地区長さんが、物資を取りに行けない人のために自動車でまとめて物資を運びこんでいる地区もありました。このように、地域の繋がりがとても強い場所で、社協の方やグランマさんのおかげで、その繋がりの輪に入れていただきながら、被災地域の訪問を続けています。
(東京事務所 西日本豪雨事業担当 垣原)