Botardi(こんにちは)! 再び大坂でございます。
▲う~む確かに、これはワニです!
▲警備会社のロゴもワニ!
さて、私が東ティモールに来て何となく不思議に思っていた事があります。気付くと「ワニ」のモチーフがそこかしこにあるんです。東ティモールとワニ…何なのだろう、と思っていたら、「東ティモール 奪われた独立・自由への闘い 高橋奈緒子・益岡賢・文珠幹夫著 明石書店」にその答えが!それは昔話にありました。
むかしむかし、何百年も小さな沼に住んでいるワニがいました。ワニの夢は大きな大きなワニになることでした。ワニが好きなことはおしゃべりをすることでした。自分の話に自分で答えるのです。でも何百年も続けていると話すこともなくなります。住んでいた沼は浅く、水はよどんでいて快適なところではありませんでした。やがて沼に食べるものがなくなり、空腹を我慢できなくなったワニはその沼にあきあきし、気持ちも沈んでいました。ワニは沼を出て野原に食べ物を探しに行くことにしました。岸にはいあがり、泥地を通り抜け、砂の上を歩くうちに太陽は空高く昇りました。日陰はどこにもなく、強い日差しに照りつけられたワニはどんどん弱っていきました。
その時、元気のよい少年が歌を歌いながら通りかかりました。少年は、「ワニさんどうしたの?ひどい所で休んでいるね。怪我でもしているの?」と尋ねました。「どこにも怪我はしていないんだけど、暑くてもう動けないんだ」と答えました。「じゃあ、助けてあげるよ」と少年はワニを持ち上げ沼のそばに置いてあげました。
ワニは元気を取り戻すとお腹がすいていたことを思い出し、助けてくれた少年を食べてしまおうかと考えました、が、すぐにそう考えたことを恥ずかしいと思い、少年にお礼を言いました。「ありがとう、もしも海の向こうに行ったことがなければ、お礼に連れていってあげよう」
少年の夢は海の向こうに行ってみることでした。少年はワニの背中に乗り海に向かって出かけました。ワニと少年は休むことなく進み、島や山や雲を見ました。美しい風景は果てしなく続きました。そのうちワニはすっかり疲れてしまいました。「ボクはもう行けないよ。ボクの夢は終わったんだ」と言うと、どんどん大きくなりました。そして突然、ワニは丘や森や川に覆われた島に変わりました。
そういうわけでティモール島はワニの形をしているのです。
『東ティモール 奪われた独立・自由への闘い(明石ブックレット 7)』明石書店 1999
海にも本物のワニが生息していて目撃情報も多数あるんですよ!時々人々が襲われるようなのですが、決してワニを捕獲したり殺したりはしないのだそうです。
(東ティモール事務所 大坂智美)