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お知らせ

パレスチナとイスラエルの武力衝突に関しまして

10月7日(現地時間早朝)、パレスチナ・ガザ地区を実効支配する抵抗勢力ハマスによって、ガザ地区からイスラエルに2,000発を超えるロケット弾が発射されてから、ハマスとイスラエルの間で戦闘が激化し、ガザ地区とイスラエル双方において一般市民を含む死傷者が増えています。9日現地21時時点で、パレスチナ側はガザでの空爆による死者数が687名(3,800名以上が負傷)、イスラエル側は外国人を含む死者数が900名以上、さらに50名以上がガザに連行され人質となり行方不明と報告されています(※ガザのデータはガザ保健省、イスラエルのデータはイスラエル保健省)

パルシックはガザ地区で畜産農家支援事業とヨルダン川西岸地区で循環型社会づくり事業を行っており、10月9日時点でガザ地区現地職員6名、およびヨルダン川西岸地区の日本人駐在員2名と現地職員1名の安全を確認しています。しかし、事業に参加している農家や関係者の安否は未だ確認中です。ガザ地区では、電気も通信もイスラエルによって大幅に遮断され、頻繁に連絡を取ることが難しい状態です。

ガザ地区からの抵抗勢力による攻撃とそれに対するイスラエルからの報復攻撃という衝突は、今までも頻繁に起こっています。2021年5月の11日間にわたる空爆のあと、パルシックはガザで被災した小規模農家への緊急支援物資の配付と農業再開の支援を実施しました。ガザ地区の人びとが甚大な被害を受ける規模の衝突も数年おきに起こっています。

しかし、今回のような大規模な攻撃は50年前の第四次中東戦争以来だと言われています。7日の午前中はヨルダン川西岸地区ラマッラにあるパルシックのパレスチナ事務所でも、イスラエルの防空システム「アイアンドーム」がガザ地区からのロケット弾を迎撃する音が聞こえていました。また、2007年からイスラエルによって軍事封鎖されているガザ地区内から、抵抗勢力がフェンスを破壊してイスラエル側に侵入したのも、今回が初めてのことです。

今回のハマスからの攻撃は、規模もタイミングもイスラエルは予測できなかったと報道されていますが、昨年からパレスチナ・ヨルダン川西岸地区では、パレスチナ人とイスラエルの衝突が増えていました。今年の2月にはナブルス県南部の町がユダヤ人入植者によって襲撃されて大きな被害が出ました。また、7月にはイスラエル軍が「テロ対策」と称してジェニン難民キャンプに侵攻し、道路などのインフラや建物を破壊しました。この侵攻では空からのドローン攻撃も行われ、過去20年で最大規模と言われています。

日本でもニュースになるような規模の衝突以外でも、西岸地区では毎日のようにパレスチナ人とイスラエルの間で衝突が起こり、今年の8月時点でパレスチナ人犠牲者は西岸地区だけで既に167人となっています(※2004年以来最悪と言われた2022年1年間の死者数155人を超えました)。また近年、イスラエルとアラブ諸国の国交正常化(※アラブ諸国は、1948年にイスラエルがパレスチナ人を追い出して建国したことに反対して、国交を断絶していました)の動きが加速しています。

ハマスが必ずしもパレスチナ人の声を代表するわけではありませんが、今回のような大規模な攻撃に至った背景には、イスラエルがパレスチナ占領の解決に向けて動きを見せることがないまま、サウジアラビアなどとの国交回復の協議を進めることに対して、パレスチナ人が世界から見捨てられるのではという失望感と危機感があったという分析もされています。

残念ながら、10日現在、今の状況がすぐに落ち着くという目途がたたないどころか、長期化が懸念されています。暴力によって奪われる命がこれ以上増えないよう祈るしかありません。

2023年の今年はナクバ(大災厄)から75年、そしてパレスチナがイスラエルの軍事占領下におかれて50年以上がたちます。これまでパレスチナの人びとが人権を取り戻すために続けてきた抵抗に対して、国際社会は十分な対応を行ってきませんでした。イスラエル側もパレスチナ側も一般の市民が多く巻き込まれるこのような酷い状況に至った背景、そして私たち市民社会に何ができるのか、みなさんと一緒に考えていきます。

パルシックのパレスチナでの活動

 

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