こちらの寄付キャンペーンは終了しました。ご支援ありがとうございました。
越冬支援ご報告 : アルサール市の学校に灯油を届けることができました!
レバノン北部のアルサール市は標高約1,500メートルの山間部に位置し、冬は雪が積もり、気温は氷点下になることもあるほど寒さの厳しい地域です。2011年3月にシリア内戦が始まって以降、シリア国境と隣接する同市には多くのシリア難民が避難し、現在も3万2,000人が先の見えない過酷な生活を余儀なくされています。
パルシックは、2017年から同市で避難生活を送るシリア難民が厳しい冬を越せるように、灯油配布などの越冬支援を開始しました。また、2020年からは同市内のアルヌール学校で教育支援を実施しています。現在、同校に通い教育を受けている6~14歳の約875人のシリア難民とレバノン人の子どもたちが、このままでは今冬、5度以下にまで下がる凍えるような教室で授業を受けなければならないという危機に直面しています。なぜなら、ストーブの燃料である灯油を購入する金銭的余裕がないからです。
現在レバノンは、シリア難民の流入に起因する前途多難な経済危機に加え、新型コロナウイルスやベイルート大規模爆発、さらにはウクライナ戦争の影響により、未曽有の経済危機に陥っています。2019年10月から2022年10月までの3年ほどで貨幣価値は26分の1以下まで下がり、物価の高騰、深刻な燃料不足による発電所の未稼働、さらには首都ベイルートでも1日1時間電気が来るか否かといった停電が常態化している状況です。暖房に使う灯油も例にもれず、価格が3年前と比較するとレバノンポンド建てで約30倍に上昇しています。
レバノンにおけるシリア難民は、危機の始まった2019年以降、その9割が最低限生存に必要な金額(Survival Minimum Expenditure Basket[1])以下の支出で生活しています。特にアルサール市で暮らすシリア難民の大半は、木材で作った枠に薄いビニールシートを覆っただけのテントでの過酷な生活環境の中で暮らしており、就学に関しても、学齢期の子どもの4割しか教育を受けられていません [2]。
ホストコミュニティーで生活するレバノン人も経済危機の打撃を受け、2021年時点で既に、7割以上に多次元貧困[3]に陥っており、その割合は増え続けていると見られます。レバノン全土において、国籍問わず120万人以上の学齢期の子どもたちが教育へのアクセスが既になく[4] 、現に教育を受けていても、経済的理由で学校をドロップアウトしてしまう子どもが少なくありません。灯油に関しても、仮に学校が無理に灯油を購入してその費用を学費に上乗せすれば、さらに多くの子どもたちが学費の支払い困難で教育をあきらめざるを得なくなるでしょう。
このような過酷な状況下であっても、多くのレバノン人とシリア難民の親たちは、子どもたちに教育を受けさせることが将来のための数少ない希望と信じ、子どもたちも学校に通って勉強に励むことを切望しています。学校は学びの場であると同時に、日常生活の慢性的なストレスから解放される心の拠り所だからです。
シリア難民とレバノン人の子どもたちが極寒の3か月間を、少しでも暖かい教室で学び、勉強を続けられるよう、皆様のご支援をぜひお願いいたします。
*こちらの寄付キャンペーンは終了しました。ご支援ありがとうございました。
*昨冬は、パルシックが日本政府からの資金を得てアルヌール学校全体に灯油を提供することができました。しかし今年は、一部(約150人・8教室分の灯油3か月分)しか政府資金で賄える見込みがなく、残りの子どもたち875人の教室の灯油は、購入の見通しが立っていません。