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声明:トランプ米大統領によるイスラエルとパレスチナを巡る提案に関して

AIDA(国際開発協力団体連合)は国際社会が米国の計画[1]を拒否し、説明責任を求するよう呼びかける!

2020年1月29日緊急声明

被占領地パレスチナとイスラエルで活動する84の国際NGOの連合体、AIDA(国際開発協力団体連合)は、国際社会に対し、米政権の和平案を拒否し、国際法の諸原則を正当かつ恒久的な和平合意の共通の基礎とすることを再確認するよう強く要請する。米国の提案は、パレスチナの基本的権利を否定し、恒久的な和平の可能性を損なうものである。イスラエルはあらゆる形態の入植活動を直ちに中止し、パレスチナ領土の事実上の併合を撤回しなければならないにもかかわらず、米国の和平案はこれらの活動に正当性を与えんとするものである。

被占領地パレスチナの一方的な併合に向けたイスラエルの動きを米国が是認することは国際法違反である。国際法は、イスラエルの不正な行為を認めず、支援せず、補助しないことを義務付けている。西岸地区の一部併合は、パレスチナの家族やコミュニティの強制移住のリスクを悪化させ、貧困を固定化し、不可欠な人道支援の供与を妨げるものである。米国の計画が認める領土の併合は、国際人道法下において、イスラエルの占領主体としての責任に違反するだけではなく、パレスチナ人の自決権を否定し、パレスチナ人に永続的な差別と従属の強いるものである。

被占領地パレスチナで活動するAIDAの加盟団体は、東エルサレムを含む西岸地区全域で進行している入植地の拡大と事実上の併合がもたらす悪影響を既に目にしている。イスラエルの占領下で、西岸地区及びカザ地区のパレスチナ人は、基本的な移動の自由や、保健、水衛生、燃料、食糧安全保障、雇用、経済開発という基本的な物・サービスへのアクセスを認められていない。軍と入植者のエスカレートする暴力は、パレスチナの子どもたちが持つ質の高い教育を安全に受ける権利を侵害している。昨年すでに東エルサレムと西岸C地区でイスラエルが入植地を拡大した結果、多くのパレスチナ人が強制的に家を追われた。米国計画の実施は、こうした状況を悪化させるものである。

米国の計画は、西岸地区、東エルサレム、ガザ地区からなるパレスチナの領土的連続性を一層損なうものである。このような分断は国家としての一体性と自決権を蝕んでいる。(国際的)原則に基づく和平計画こそがパレスチナ国家の可能性と数百万のパレスチナ難民への恒久的解決をもたらすものである。

真の、実行可能で正当な和平計画は、国際法を遵守し、パレスチナ人とイスラエル人双方の平等を堅持し、両者の自決権を保障するものでなければならない。米国の「世紀の取引」は、これらの基本的な原理にそぐわないものである。AIDAは、イスラエルとパレスチナの指導者が、公正で恒久的な平和をもたらす和平計画をともに策定するよう要請する。

我々はEU及びその構成国、その他の国々を含む国際社会に次のことを要請する。

 

[1]日本では「和平案」と報道されていますが、AIDAとしてはこれは平和に資するものではないという意味で「plan」と表現しているため、忠実に「計画」と訳しています。

※パルシックはAIDA(Association of International Development Agencies : 国際開発協力団体連合)に加盟しており、ほかにCCP、CARE、JVC、KNK、Oxfam、Save the Children、World Vision -WVI など84の国際NGOが加盟しています。