2015年10月から3年計画ではじまった水利改善事業では、集落との計画・準備会合、水源から集落までの配管経路の測量調査、貯水槽や配管の図面作製、資機材購入と現場での工事と進めてきました。
初年度の事業地はマウラウ村の3集落とエディ村の1集落。中でもマウラウ村はマウベシ郡内でも、乾燥が激しく、生活に必要な水を手に入れることが大変な場所として知られています。全10集落のうち、コーヒー事業のコカマウ[i] のグループが4集落に存在しています。
水源が集落より下に位置しているので、ポンプで高度約100メートル上の貯水槽まで上げ、そこから重力の力で3集落に配水します。3集落の合計82世帯約500人と小中一貫校の生徒教員約370名に上水を供給するため、20立方メートルの貯水槽を3基設置し、配管は総延長5.4キロメートルの計画です。
高低差の激しい地形は、資材の運搬だけでも大仕事。車で直接乗り付けて資材を降ろすことが出来る場所は限られており、その先はすべて人力となります。貯水槽1つを作るのに、おおよそセメント100袋(4トン)、砂9トン、砂利18トンが必要です。また、コンクリートミキサーは、重量400キロ超。これらの資機材を、高低差100メートル、距離1キロメートル近くの道のりを大人から子どもまで総出で、何往復もして担いで運びます。すべて人数が頼りで、みんなで力を合わせなければ作業が進みません。
土木工事が中心の地味な水事業ですが、人びとの生活になくてはならない重要な上水を確保することで、さらなる協同が進むことを願いながら活動しています。
(東ティモール事務所 高橋茂人)
[i] COCAMAU:Cooperativa Agrikultura Moris Foun Unidade Kafe Nain Maubisse=マウベシ・コーヒー生産者協同組合
※この事業は、日本NGO連携無償資金協力の助成を受けて実施しています。