グルメ – 特定非営利活動法人パルシック(PARCIC) https://www.parcic.org 東ティモール、スリランカ、マレーシア、パレスチナ、トルコ・レバノン(シリア難民支援)でフェアトレードを含めた「民際協力」活動を展開するNGO。プロジェクト紹介、フェアトレード商品販売など。 Fri, 21 Apr 2017 06:23:21 +0000 ja hourly 1 https://wordpress.org/?v=6.4.1 グルメレポート5 隠れた逸品『サメ肉』料理 https://www.parcic.org/report/timor-leste/timor_gourmet/1311/ Thu, 05 Apr 2012 15:00:23 +0000 http://test.parcic.org/?p=1311


1. これがサメ肉の切り身。生肉は臭くてあまりおいしそうではありません。


2. ウコン、ニンニクはつぶして、バジル、ライムの葉はそのまま。小さく切ったサメ肉に胡椒と一緒に揉み込みます。


3. レモングラスは根元付近の白い部分を包丁の背で叩いてつぶし、このように縛って鍋に放り込みます。


4. 炊き上げること20分ほど…


5. できあがり!

いよいよ海の幸です。東ティモールは周りを海に囲まれた小さな島なので魚をよく食べるだろう、と思っていたのにあまり見かけない、という声を聞きます。わたしも事務所暮らしで外食の多かった独身時代はそう思っていました。が、東ティモールの人たちは魚が好きです(魚を食べてはいけないという風習のあるオエクシ地域を別として)。冷蔵設備や流通網が限られた地域にしかないため広く流通せず、たいていは獲れた地域で消費されます。ティモール島南海岸では大消費地ディリへのアクセスが悪く、獲った魚が売れないため干し魚にして保存食としています。魚ばっかりで飽きた、という理由で魚が嫌いな人はいるかもしれません。

わたしの相方は自称“海の男”で、海大好き釣り大好きお魚大好き。おかげで食卓に魚類が出ることが多く、中には変わったものも。今回ご紹介するのは『サメ(tubaraun)』。サメ肉を見つけると、うちの親戚たちは電話をかけあって親戚中分確保します。よほど人気のティモール料理なのかと思っていたら、サメ肉の調理方法を知っている人は限られているのだとか。他の魚と同じようにそのまま揚げると皮が砂のようにじゃりじゃりして肉の臭みも強いため、食べるのは好きだけど料理の仕方を知らないからなぁ・・・という人が多いのだそうです。

サメ肉は大きさによりますが、大抵切り身で1枚2ドル程度で売られています。皮をきれいにはがして適当な大きさに切り、ウコン、ニンニク、バジル、レモン グラス、ライム果汁、ライムの葉と一緒に炊きます。ウコンの黄色が染み渡り、これでもか、というほどの香草類ですっかり臭みも消えたサメ肉は、骨もバリバリと食べられる絶品。

サメはディリ港周辺でも獲れます。1人目の子どもが生まれてしばらくして近所の漁師と釣りに出た相方が、サメを釣り上げました。乗っていたアウトリガーの釣り船と同じくらい、体長2メートル胴体30センチほどの大物だったそうですが、初めての子育てでそれどころではなかったわたしは、相方が当時の上司を電話で呼び出してサメをつまみに酒盛りしていたことくらいしか覚えていません。しかしあらためて(このグルメレポートのために)聞いてみると、小さな釣り船 の上でかなりの格闘の後に仕留めてきたようです。それだけ釣るのが大変でこんなに美味しいのに、あまり高くは売れないという隠れた逸品。すでに何度も食べさせてもらっているわたしはかなりラッキーなのかもしれません。

ディリの対岸にアタウロ島という島があり、この島の漁師たちは銛を片手に素潜りで漁をすることで有名です。そのために酒もたばこも禁止、というまさに“海の男”な彼らですが、彼らはサメを“ご先祖さま”と恐れているのだとか。漁に出る前にケンカをしたり、なにか後ろ暗いことがあって海に入るとご先祖さまに襲われると信じているのだそうです。だから漁に出る前にはきちんと仲直りをする。ご先祖さまさまですね。

(東ティモール事務所 伊藤淳子)

 

 

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グルメレポート4 野菜の蔓(つる)を使った料理 https://www.parcic.org/report/timor-leste/timor_gourmet/1400/ Sun, 01 Apr 2012 15:00:32 +0000 http://test.parcic.org/?p=1400


カボチャの蔓と花。花がなくて蔓だけで売られていることが多い。


ジューシーなカボチャの蔓と花の一品


サツマイモの蔓


炒めるとこんな感じ

4回目のレポートも野菜の紹介です。それも野菜の蔓(つる)です。そろそろ肉か魚かと期待されていた方、すみません。

雨季に入って市場の野菜売り場に蔓の類があふれました。カボチャの蔓、いもの蔓、ササゲの蔓、ニガウリの蔓――物価高騰のご時世、一束25〜50セントでそれなりの量になる蔓類は助かります。カボチャの蔓はポピュラーでこれまでもよく食卓に上がっていましたが、いも(サツマイモと中国いもと呼ばれるイモの2種類)、ササゲ、そしてニガウリまで見つけた時には「食べれるの?」と売り子のお姉さんに聞きました。そしてだまされたと思って買って帰ればうちのおばさん(62歳)は美味しく料理してくれます。

蔓はテトゥン語で「dikin(ディキン)」といいます。カボチャの蔓は「lakeru dikin(ラケル・ディキン)」。葉の周りと蔓の周りについている産毛のようなものをすじと一緒に取り除き、油で炒めてニンニクと塩で味付けします。黄色い花がメインで売られていることもあります。噛むと「ジュッ」とあまーい水分が出ておいしい!毎晩ラケル・ディキンでも嬉しいくらいです。でも、マウベシの農家でトウモロコシの粒を砕いて煮込んだ「煮トウモロコシ」にカボチャの蔓を入れて出してくれた際「カボチャの蔓しかなくて…」と恥ずかしそうにしていたので、決して客人に出せるようなおかずではないのだと思います。みずみずしくサッパリとした味で、お世辞でも同情でもなく、おいしいのですが。

いもの蔓「Fehuk dikin(フェフック・ディキン)」はいもの種類によって調理方法も味も違うそうですが、わたしは恥ずかしながらまだ調理方法のほうは習得していません。味は多少苦味もありますがカボチャの蔓と比べると濃厚で、これを食べなれるとからし菜や白菜のような普通の菜っ葉類が味気なく思えてきます。

ササゲの蔓「Fore dikin(フォレ・ディキン)」はさらにしっかりとした味で、どこか記憶にある懐かしい味なのですがそれがなんだか思い出せません。わたしは好きですが相方はあまり好きではないらしく、カボチャの蔓ほどに喜びません。

カボチャの蔓は一束50セント、いもの蔓、ササゲの蔓は一束25セント、2束も用意すれば6人家族のおかずになります。インドネシア軍侵攻後に森に逃げた多くの住民たちは、森の中で食べられるものは何でも食べたといい、こうした蔓類も当時を思い出させてあまり嬉しく思わない世代もあるのかもしれません。が、我が家はすっかり蔓料理にやみつきです!


1. ササゲの蔓

2. 蔓から食べられる部分だけ取り分けたところ

3. 油を温めニンニクを入れて炒めるだけ。
味付けは塩のみ。食材の味がしっかり出ます。

4. しっかりとした味のササゲの蔓の一品

 (東ティモール事務所 伊藤淳子)

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グルメレポート3 南国のフルーツ「パパイヤ」 https://www.parcic.org/report/timor-leste/timor_gourmet/1414/ Mon, 23 Jan 2012 15:00:50 +0000 http://test.parcic.org/?p=1414 3回目は南国のフルーツ、パパイヤです。パパイヤといえば果物ですが、東ティモールでは葉、花、実、そのすべてを野菜としても食します。


パパイヤの花

甘い果実からは想像もつきませんが、パパイヤの葉は猛烈に苦く、マラリア予防に効くと深く信じられています。「ちょっと疲れ気味で体調崩しそうだなー…」という時に若い葉をインスタントラーメンと一緒に煮たり、パパイヤの葉だけを炒めたりして食べると元気がでてくる気がします。苦味は強いですが、あっさりとしていて後に残りません。

パパイヤの花は空芯菜と一緒に炒めるのが一般的です。市場では気を利かせて適量の空芯菜の葉とパパイヤの花を一緒にして売っていたりもします。小さくて黄色い花は食卓に彩を添えてくれますが、若いつぼみはやはりパパイヤのイメージを覆す苦味があります。

そして驚くのがパパイヤの実です。東ティモールで広く使われているテトゥン語は語彙が少ないといわれています。例えば『マリリン(malirin)』という一語は『寒い』『涼しい』『冷たい』のすべてに使われるので、わたしの子どもたちは、水浴びの水を「さむーい」と言って「“つめたい” でしょ!」と訂正され、「にほんはつめたいからすきー(注:冬にしか行ったことがないので)」と言って「その場合は、“さむい”!」と突っ込まれても、なかなか覚えられません。話は脱線しましたが、そのテトゥン語にこれほどの語彙があったのか、と気づかせてくれたのがパパイヤの実でした。


パパイヤの若い実「アイディラ・オキール」


「アイディラ・マンガール」をトラシと一緒に炒めてみました。かなり甘くてツヤまで出ています。

青い未熟な実は「アイディラ・オキール(Aidila okir)」。少し苦味があり皮をむくと乳白色の液が出てきます。花と同じように空芯菜と一緒に炒めたり、ニンニクと塩、インドネシアのエビペースト「トラシ(trasi)」と炒めて食べたりします。しっかりとした歯ごたえ、味付けをしっかりと吸収した果肉はもはやパパイヤではありません。ポルトガル時代を知っている少し育ちの良い人たちは、湯がいて食べるのが一番おいしい、といいます。一度試してみましたが、ぼんやりとした味でわたしはあまり食べつけませんでした。 ちょっと甘みの出てきた半熟の実は「アイディラ・マンガール(Aidila mangal)」。やはり炒め野菜にして食べますが、オキールほどには人気がないようです。果物として食べるには若く、火を通すと甘みが増します。

そして黄色やオレンジ色に鮮やかに熟した実は「アイディラ・タサック(Aidila tasak)」。お馴染みの果物パパイヤです。我が家の庭には雨後の竹の子のように年中パパイヤが芽を出します。熟した実は食べきれないほどで、なるほど、葉や花、若い実を野菜にすればこの恩恵を余すところなく受けることが出来るのだと納得しています。必要なところに語彙は発達するのですね。

(東ティモール事務所 伊藤淳子)

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グルメレポート2 東ティモールのゼンマイ「カブラ(kabura)」 https://www.parcic.org/report/timor-leste/timor_gourmet/1419/ Tue, 17 Jan 2012 16:05:56 +0000 http://test.parcic.org/?p=1419


東ティモールのゼンマイ「カブラ」


ニンニク、塩、ライムで味付けただけのシンプルな贅沢品

2回目は日本でもおなじみ、ゼンマイです。ちょっと違いますが、同じ食用シダ科の植物なのでゼンマイと称しておきます。東ティモールでもゼンマイを食べます。私個人の経験では日本にいるときよりも頻繁に食べます。ゼンマイはテトゥン語で「カブラ(kabura)」といい、響きにもなんだか馴染みがありますね。

ゼンマイを調理する、というと「アク抜きが大変でしょ」と言われますが、東ティモールのゼンマイはアク抜きをしません。指で適当な長さに切った後、ニンニクと一緒に油でいため、少し水を加えて煮立てたあと、塩で味付けをしたところにライム果汁をたらして出来上がり!とっても簡単なうえに、ライムの香りがさわやかな、しゃきしゃきとした歯ごたえの上品なおかずに仕上がります。

首都ディリから標高500〜600メートルほど山を登ると、沿道でよくこのゼンマイが売られています。一束25セントだったのが最近は50セントに値上がりしました。これがディリの市場に来ると束が少し小さくなります。前回の「クラウル」と並んで、市場で見つけると即買い!のおかずですが、味付けを濃くしてやはり付け合せ程度に出すのが一般的なようです。でもマウベシ事務所の食卓に山盛りのカブラを出した時はスタッフみんな喜んで食べてくれたので、もしかしたら贅沢品なのかもしれません。

(東ティモール事務所 伊藤淳子)

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グルメレポート1 「クラウル」 https://www.parcic.org/report/timor-leste/timor_gourmet/1423/ Wed, 11 Jan 2012 15:00:56 +0000 http://test.parcic.org/?p=1423 東ティモール料理ってなんですか?

東ティモールに来て10年がたちました。日々いるだけで日本人滞在記録を更新しています。「じゃあ、東ティモールのことは何でも知っていますね」と言われるのがとても怖い。

聞かれて困る質問のひとつに、「東ティモール料理ってなんですか?」というのがあります。ないはずはないのに即座には出てこない。当ホームページ「ジャフナダイアリー 〜スリランカ漁村生活〜」にはスリランカ北部の食文化がレシピ付きで掲載されていますが、同じものを東ティモールから発信してくださいと言われると2日でネタが尽きます。街中にある気軽な食堂はほとんどインドネシアの影響を受けたものだし、ティモールの女性たちが腕を振るって作る晴れの日の食卓は、料理名を聞くとどれもポルトガル語だし。

有名なもので魚を香辛料と一緒にバナナの葉に包んで焼いた「saboko(サボコ)」という料理があります。これは主に沿岸の漁師町で売られています。水田のないマウベシのような地域で主に食されるトウモロコシは、もぎたてを茹でて食べるのは旬だけ。普段は保存してあるトウモロコシの粒をはがし木臼で搗いて豆類やカボチャの茎と一緒に煮込み、塩や唐辛子を好みでかけて食べます。その名も「batar dan(煮トウモロコシ)」。そのまんま!です。

日本料理を代表する天ぷらや寿司、味噌汁のように広く一般に食されている「東ティモール料理」とは?――そんな疑問が頭にあって、ときどき、食卓に「これは?!」と思うものが出ると記録に残しています。これから折を見て、その「東ティモール・グルメ」シリーズをお届けしたいと思います。東ティモール料理と呼べるのかどうか知らないので東ティモール・グルメと称します。一般家庭で日常的に食されているもので、そしておいしいです。「煮トウモロコシ」のように料理名というのがなく、ただ野菜の名前で呼ばれていたりします。また家庭によって調理の仕方が違ったりするかもしれません。

一番のおススメ料理「クラウル(klaur)」

前置きが長くなりましたが、1回目の今回ご紹介するのはわたしの一番のおススメ「クラウル(klaur)」です。暑い地域で自生しているというクラウル。苦〜い葉っぱを酸味の強いゴレンシと一緒に長時間(3カップほどの水が煮詰まるまで)煮込みます。途中でかき混ぜすぎると苦みが出るので放っておくことがコツです。ドロドロに煮上がった様子はまったくおいしそうに見えませんが、口に入れると程よい酸味と何ともいえない舌触りでやみつきになります。東ティモールでは物価が激しく上昇しており、野菜も急ピッチで値上がりしている昨今、クラウルは一山25セントとお手頃価格なのもうれしいです。わたしは1ドル分を料理しても物足りないくらいですが、一般的にはおかずというより付け合せ程度に出されます。


1. これがクラウル。雑草みたいです。

2. 材料はクラウル、ゴレンシ、エシャロット、塩、油

3. この状態で煮込むこと1時間弱…

4. できあがり!見た目を裏切るおいしさです。

(東ティモール事務所 伊藤淳子)

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