ふりかけ普及と食生活改善による栄養改善事業 – 特定非営利活動法人パルシック(PARCIC) https://www.parcic.org 東ティモール、スリランカ、マレーシア、パレスチナ、トルコ・レバノン(シリア難民支援)でフェアトレードを含めた「民際協力」活動を展開するNGO。プロジェクト紹介、フェアトレード商品販売など。 Mon, 15 May 2023 01:40:42 +0000 ja hourly 1 https://wordpress.org/?v=6.4.1 東ティモール:ふりかけ生産のこれから https://www.parcic.org/report/timor-leste/timor_furikakeprj/22612/ Thu, 11 May 2023 07:39:26 +0000 https://www.parcic.org/?p=22612 Boa Tardi(みなさまこんにちは)。昨年夏、クラウドファンディングで多くの皆さまに応援いただいた「ふりかけ・栄養事業」の「ふりかけ」の生産拠点であるアタウロ島を訪問してきました。ふりかけ工場の現在の状況をご報告します。

アタウロ島のきれいな海

2019年から開始した「ふりかけ」普及と食生活改善による栄養改善事業では、学校給食調理担当者向けに栄養の基礎と、東ティモール産の食材を使った「ふりかけ」と地産の食材を活用した推奨メニューの実践調理する教室を開催しました。コロナ禍で学校自体が休校になったり、給食が開始されなかったりした事情もあり、事業期間中はいくつかの学校が給食へふりかけを導入する程度にしか普及ができませんでした。

そのため、学校給食の改善とふりかけ普及のフォローアップを目標に事業終了後に実施したクラウドファンディングでは、多くの方々にご支援をいただき、発育阻害の割合が63%と最も高いエルメラ県の小学校で、75校、250名の調理担当者の方々へ料理教室を実施し、「ふりかけ」を紹介することができました。

このような活動を通じて、同じく東ティモールで学校給食支援をしている国際NGOのケア・インターナショナルが「ふりかけ」に注目してくださり、1トンを超える「ふりかけ」の注文をいただきました。現在アイナロ県、エルメラ県、リキサ県、マナトゥトゥ県の学校給食でふりかけが利用されています。

アタウロの豊かな海の幸(ウニもとれます!)

さて、そんな大量の受注をいただいたアタウロ島の「ふりかけ」工場の様子はというと、現在、工場では、女性グループメンバー7人が生産活動を行っています。

「ふりかけ」の原材料となる干し魚、乾燥モリンガ、ゴマなどは、アタウロ島の女性たち194世帯に栽培・加工研修をおこない、良質な原材料の生産が十分にできる環境を整えていましたが、約3年の間生産量が限られていたため、原材料の調達はセンターで活動するメンバーの家族など近隣者からのみにとどまっていました。今回、大量の原材料が必要になったことで、市場が求める量と質に対応していくためには、改めて研修に参加した女性たちとの協力関係づくり、そして、工場の本格稼働に向けてメンバー自体の関わり方、工場運営、品質管理などの「改善」が必要となっています。

大量受注という機会を得たにもかかわらず、女性グループメンバーは広く地域の女性たちに働きかけるという一歩が踏み出せずにいます。どこにハードルがあるのか、今回の訪問期間内に、女性グループメンバーと村長や集落長、牧師といった地域のリーダーとともに話し合う機会を設けました。

地域のリーダーたちは「ふりかけ」生産工場の行く末に関心を持っており、この機会を活かすこと、そして原材料調達については研修に参加した女性たちを含む地域の人たちとの協力関係づくりを構築することを望んでおり、そのための協力は惜しまない、とアドバイスしてくれました。地域のリーダーたちが「ふりかけ」工場を地域のためによりよい場所にしていこう、と見守ってくれていることを感じることができました。

女性グループと地域のリーダーとの会合

地域のリーダーとの会合の翌日は、女性グループとのより詳細なアクションプラン作成のための作戦会議を行いました。この会合では短期的な目標を共有し、各メンバーの役割分担を明確にして、メンバー全員がひとつの目標に向かって協力し合える関係性を築くことを念頭に話し合いました。

女性たちはケア・インターナショナルからの注文を7月末までに達成することを目標に、月単位の生産目標数量を決めました。この生産目標数量に合わせて必要な原材料の数量を割り出し、調達方法の確認をおこないました。また、メンバーの能力やスキルを活かし、それぞれに適した役割分担(原材料調達、品質管理、清掃、資機材メンテナンス、勤務管理、納品、総務、資金管理会計担当)を決め、メンバー間のチームワークとコミュニケーションを改善することで、グループの生産性の向上を目指すこととなりました。

「ふりかけ」工場のあるアタウロ島ビケリ村の人たちは、普段から自分の意見をはっきりと言える人が多いと感じますが、若いメンバーから年功者へ意見することはやはり難しいようです。今回の話し合いの中では、普段言わないような思いを年齢問わず各メンバーが率直に打ち明けていて、それぞれがより効果的に工場運営できるようにしようと考えていることを感じました。

今後も「ふりかけ」工場で活動する女性たちをいくつかの面でバックアップしていく必要があると感じています。特に、事業初期には参加していなかった新メンバーが加わっていることもあり、改めて衛生管理、生産プロセス、導入機械の活用とメンテナンスなどの再研修は必須です。また、ケア・インターナショナルの事業が2025年度まで続き、今後も同様の発注をいただく予定であることから、その間に生産体制を整えつつ、学校給食への販路開拓をメンバーと一緒におこない、女性グループとしての活動の意義や自分たちの生産する「ふりかけ」が東ティモールの栄養改善に役立ち、社会に貢献できることを実感する機会をつくっていきたいと思います。

引き続き、東ティモール産「ふりかけ」の生産と市場開拓のこれからを見守っていただけましたら幸いです。

(東ティモール事務所 伊藤淳子)

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インターン黒沢 東ティモール日誌Vol.9 アタウロ島のふりかけ工場へ https://www.parcic.org/report/timor-leste/timor_furikakeprj/22119/ Fri, 10 Mar 2023 09:12:24 +0000 https://www.parcic.org/?p=22119 Botardi!こんにちは、インターンの黒沢舞衣です。
9月22日から24日にかけて、アタウロ島への出張に同行しました!今回はふりかけ工場の運営がパルシックの全面サポートの手を離れ、事業を現地の漁業組合へ引き渡す手続きをするために、パルシック東ティモール事務所代表の伊藤さんとふりかけ・栄養事業担当の桑原さん、スタッフのマリアさんとともにアタウロ島へ行きました。(ふりかけ事業についてはこちらをご覧ください。)

アタウロ島は首都ディリからよく見える距離にあり、船で1時間ほどの距離です。しかし島には大きな船は近づけないため、下船のために小さなボートに乗り換える必要があり、全員を運んで荷物も降ろし終えるころには3時間ほどが過ぎていました。

今回の出張メンバー。船は片道10ドルで、席の間隔は狭いです

ふりかけ工場があるビケリ村までは、軽トラの後ろにベンチを付けたようなものに乗り、海沿いのがたがた道を30分ほど走って向かいます。私たちは到着するとまず、桑原さんとマリアさんの宿泊先でもある、村長さんの家に挨拶に行きました。なんと息子さんが目の前で木に登ってココナッツを収穫して振る舞ってくれました。私はゲストハウスへ、伊藤さんはグループメンバーの女性宅へと分かれて宿泊したのですが、それは小さい村の中で利益が集中しないようにするためだそうです。

ふりかけ工場に向かうと、約束の時間を過ぎてから、ぽつりぽつりと女性グループの方々が集まって来ました。メンバーは一時14人まで増えましたが、コロナ禍で生産が計画通りに伸びず、グループを抜けてしまった方もいて現在は5人だそうです。しかしこのたび給食用のふりかけの大量発注があり、生産がやっと軌道に乗りそうだということです。運営を全面的に女性グループに任せるために、桑原さんは経理を担当するメンバーに、帳簿の付け方やエクセルの使用方法などの最終確認をしていました。 

経理担当のロデさんは、すでに使い方を覚えていました

ふりかけ工場ではこの日、乾燥させ断裁したサイコロ型の魚を粉末状にする作業を行っていました。機械で乾燥させた魚を食べさせてもらったのですが、旨味がぎゅっと詰まっていてしょっぱく、何だか懐かしい味がしました。その魚を別の機械に投入して粉末状にして、袋に入れて保管します。後日別の材料と一緒に混ぜてふりかけにするそうです。大きな機械音の中、女性たちは真剣な面差しで作業をしていました。

機械に魚を投入し、出てきた粉末を袋に入れるメンバーの方々

翌日、過去に料理教室(詳しくはvol.3へ)を行った近くの小学校を見に行き、栄養バランスの取れた献立づくりが続いていることを確認したあと、再びふりかけ工場に向かいました。今回の出張の目的は、今後の工場運営に関する、女性グループ、パルシック、村長、土地提供者、漁業組合長での話し合いです。14時に集まる予定でしたが、組合長が17時にディリから戻るということで、私はメンバーの方と雑談をしたり、子どもたちと遊んだりしていました。会議では運営や資金繰り、土地提供者へのお礼に関してそれぞれの考えや不安を話し、パルシック側の意向を伝えて無事合意に至りました。

メンバーの皆さんはとても優しくて面白くて、待つ時間もあっという間でした

アタウロ島は、海がとても綺麗な島です。海で水浴びをする子どもたちや魚を獲りに行く方、網を直している方がたくさんいました。宿泊先のゲストハウスでは新鮮な魚を調理してくださり、毎食がとても美味しかったです。港では、船が着く日には市場が開かれ、魚や、べっ甲で作ったアクセサリー、ココナッツの葉で編んだ小物入れなどが並びます。

しかし野菜はあまり採れないアタウロではディリのものなども売られていて、その値段は高いそうです。滞在中、栄養失調が原因とみられる金髪の子どもを多くみかけ、バランスの良い食事が取れていないのかなと思うことがありました。電気は自治体が提供していて、8時から12時、14時から22時までだけ使えるということにとても驚きました。 

市場に並ぶ魚

今回はビケリ村への出張でしたが、また機会があれば、他の村や観光地も訪れてみたいです。今後女性たちが上手く工場を回して生産を軌道に乗せ、ふりかけが多く消費されて、彼女らの収入が少しでも増えればいいなと思います。   

  (インターン 黒沢舞衣)

インターン黒沢 東ティモール日誌Vol.8 Loja & Café Aroma Timorへようこそ!へ

インターン黒沢 東ティモール日誌Vol.10 首都ディリでの休日~with日本人編~へ

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インターン黒沢 東ティモール日誌Vol.3 アッサベでの料理教室 https://www.parcic.org/report/timor-leste/timor_life/21619/ Thu, 08 Dec 2022 03:08:42 +0000 https://www.parcic.org/?p=21619 Botardi!インターンの黒沢舞衣です。
8月22日から26日まで、栄養チームが実施する、給食調理担当者を対象とした料理教室に同行しました。栄養改善事業は、この夏、クラウドファンディングに挑戦し、日本の皆さまからいただいたご寄付で、特に子どもの栄養状態の悪いエルメラ県中心に料理教室を実施しています。今回はアッサベにある小学校2校に2日間ずつ行きました。(詳しい事業内容はこちらをご覧ください。) 

アッサベまでは途中からとても道が悪く、昼過ぎに出発して到着したのは夜でした。グラグラと揺れる真っ暗な車内から顔を出すと、物凄い数の星が広がっていて本当に綺麗でした。

翌朝、市場で料理教室に使う野菜を購入しました。材料は首都ディリでも買っていきますが、基本的にはその地のものを使うそうです。料理教室は朝9時頃から人が集まりだし、10時頃から始まります。中には1時間、2時間かけて山道を歩いてきた方もいて驚きました。

まずは栄養に関する講義を1時間ほど行います。私は撮影をしながら、参加者の方と一緒に栄養士のスタッフ、マリアさんの話を聞きました。少ない予算の中でも、栄養バランスの取れた給食を作ることが大切だそうです。講義といいつつ、問いかけに皆さんがああだこうだと答えていたことや、時には話が盛り上がっていたことが印象的でした。マリアさんに聞いたところ、東ティモールの人は、学校での先生のように一方的に話をされることを嫌うそうです。対話をするように、一緒に空間を作ることを心がけていると教えてくれました。

ポスターを使って視覚的に分かりやすく説明しています

その後は、講義の内容に沿ったメニューを作ります。皆さんは慣れた手つきでどんどん作業を進めていました。東ティモールではたいてい、まな板はあまり使わずに手元で野菜を切ります。大きな中華鍋のようなものを使って、みじん切りにした小さな紫のエシャロットとガーリックをたっぷりの油で炒めてから他の野菜を投入するのが東ティモール流です。

日本で全然料理をしなかった私は、この四日間で料理を教わりました

完成した料理を、おしゃべりをしながら一緒に食べるのは本当においしかったです。参加者の一人は「栄養について知らないことも多かった、バランスを考えてメニューを組もうと思う」と言っていて、この取り組みが子どもの栄養状態改善に役立てばいいなと思いました。

料理教室後に参加者の方々と観光スポットであるモタバンデイラ(直訳すると旗の川)に行きました。草むらをかき分け岩を登り進んだ先にあった滝は迫力満点でした!

(インターン 黒沢舞衣)

インターン黒沢 東ティモール日誌Vol.2 首都ディリでの生活へ

インターン黒沢 東ティモール日誌Vol.4 多言語社会の東ティモール

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小学校で栄養ワークショップを行いました! https://www.parcic.org/report/timor-leste/timor_furikakeprj/20699/ Wed, 08 Jun 2022 09:42:02 +0000 https://www.parcic.org/?p=20699 ふりかけ・栄養事業では栄養日記(前回記事参照)を実施している学年の児童を対象に栄養ワークショップを実施しています。このワークショップは、子どもたちが食べ物の栄養素の働きについて学び、バランスよく食べることについて考えることを目的としています。

ワークショップは2日間。1日目は食べ物の写真を使って栄養素ごとに3つのグループに分けるゲームを行います。このワークショップで使用した教材は、東ティモールで保健医療の活動をされている、シェア=国際保健協力市民の会で作成したものを使わせていただきました。

グループに分かれて食品を3つのグループに分けている様子

2日目は1日目の復習をし、3つのグループから食材を組み合わせて、朝・昼・夕のメニューを考えてもらいます。メニューは班ごとに代表者が前で発表するのですが、発表の際に間違えてしまった時には、同じ班から「それはHaburas(注1)のグループだよ!」と声掛けがあることも。みんなで助け合いながら学びを深めています。
(注1 Haburas:身体をつくるもとになる、タンパク質が多い食品グループ) 

朝・昼・夕のメニューを作っています

メニューができあがりました!

グループの代表者がそれぞれのグループで作ったメニューを発表します

さて、上手にメニューは考えられたでしょうか

栄養事業のスタッフは学校で授業をするのは全員が初めての経験です。途中で質問を入れて、子どもたちが理解できているのか確認しながら授業を進めています。

「学校で教える経験がないので、最初は子どもたちを授業に集中させるのが難しかったですが、回を重ねるごとに慣れてきました。最初は何も知らなかった子どもたちが栄養について分かってくれるのがうれしいです。(栄養事業スタッフのマリア)」 

マリアが子どもたちに説明している様子

“お腹が空いているからただ食べる”だけでなく、自分が何を食べるのか、どのように食べたらより身体にいいのか、食事の時に少しでも意識することで、彼らの将来にわたる健康や豊かな食生活につながるのではないかと考えます。また、家庭で栄養や食事について話す機会が増えたらうれしく思います。

(東ティモール事務所 桑原真菜実)

*この事業は外務省NGO連携無償資金の助成と皆さまからのご寄付により実施しています。

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栄養日記~子どもたちの食事記録~ https://www.parcic.org/report/timor-leste/timor_furikakeprj/20249/ Mon, 14 Feb 2022 03:19:38 +0000 https://www.parcic.org/?p=20249 こんにちは、「ふりかけ・栄養事業」担当の桑原です。今回は栄養事業の中の取り組みの一つ、栄養日記についてご紹介します。

栄養日記は一言でいうと食事記録のことです。この事業では小学校4年生を対象に、1週間の食事内容を絵日記のように記録してもらっています。記録の際に頼りになるのがパルシックスタッフで栄養士のハンター。子どもたちの記入だけでは使った食材がわかりにくかったり、実際はおやつを食べたのに書き忘れていたりと不備があるので、ハンターが直接聞き取りし、修正してくれています。記入が終わったらインドネシアの成分表を参考に栄養分析し、結果をシートにまとめて保護者へフィードバックを行います。(東ティモールには成分表がないため、隣国のインドネシアの成分表を参考にしています。)

栄養日記に参加している子どもたち

栄養士スタッフによる聞き取りの様子

栄養日記で興味深いのは、実施する地域や時期によって食べる食材に大きく違いが出てくることです。例えば、事業2年目で実施したディリ県アタウロ島ビケリ村では、特に乾季は魚料理だけ、なんて日も珍しくないのですが、現在活動中のエルメラ県では果物や野菜の種類が豊富な印象です。また、山岳地帯にあたるエルメラ県ではタンパク質は動物性より植物性が身近に食べられているということがわかりました。

栄養素別にみると、全体的にカルシウムの摂取が不足していることが見えてきました。エルメラ県ではNGOの食糧支援で給食が実施されていましたが、日本のように牛乳が毎日でることはありません。家庭で乳製品を摂る機会がない児童も多く、毎回カルシウムの値だけ基準より低い結果になる傾向があります。カルシウムは小魚、大豆などの豆類、葉物野菜にも含まれているため、フィードバックの際にはそうした情報も一緒に伝えています。また、栄養日記を実施している児童の保護者に料理教室への参加も呼びかけて、栄養素について知ってもらえるような機会も作っています。

栄養日記の例① 朝食:揚げパン、パン、チョコ味の乳飲料 昼食:ご飯、豆スープ、からし菜の炒め物、水

栄養日記の例② おやつ:タマリンドの実とマサコ(化学調味料)、すだちの実  夕食:ご飯、キャベツの炒め物、水

子どもたちの描く食事のイラストは個性的で、それを見るのも楽しみの一つです。

事業のメインであるアタウロ島で作るふりかけは、魚を骨ごと使っていて、カルシウムも多く含まれています。今後、小さなキオスク(商店)や学校給食で手軽に手に入り、食べられるように販売経路を広げていきたいと思っています。キオスクで販売する10g入りの小さなパッケージも完成しました!

10gのパッケージと、店においてもらうための容器

(東ティモール事務所 桑原真菜実)

*この事業は外務省NGO連携無償資金の助成と皆さまからのご寄付により実施しています。

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東ティモール:ふりかけ事業3年目 ~オンライン料理教室~ https://www.parcic.org/report/timor-leste/timor_furikakeprj/19677/ Thu, 09 Sep 2021 08:41:11 +0000 https://www.parcic.org/?p=19677 久しぶりの投稿となってしまいましたが、4月からふりかけ事業の3年目がスタートしています。3年目の活動内容は以下になります。

① エルメラ県の小学校5校で栄養教育の実施(料理教室、栄養日記、栄養ワークショップ、学校菜園)
② ふりかけ生産を軌道に乗せる
③ ふりかけの普及、プロモーションの実施

新型コロナウィルスの影響で当初の計画通りに進んでいないこともありますが、この環境下でできることから進めていこうと思っています。 そして今日は①の料理教室について現在までの取り組みをご紹介します。この料理教室は、昨年ディリ県内で実施した内容を今年はエルメラ県で実施しています。(参考:1月の記事

東ティモールでは新型コロナウィルス感染拡大の影響で、県を超えた移動の制限が続いているため、本来であれば担当スタッフが小学校を訪れて料理教室を実施するのですが、それができない状況です。そのためオンラインで料理教室を実施することとなりました。エルメラ県に実家のあるスタッフがこの間エルメラに滞在し、参加者のコーディネートや会場準備を行い、ディリのスタッフは事務所からオンライン会議システムを使って料理教室の進行を務めます。不安要素であった電波は、たまに途切れることはありますが、大きな障害なく実施できています。

プロジェクターを設置し、エルメラ県の小学校とディリ事務所をつなぐ。

エルメラ滞在のスタッフ、ハンターが参加者へ説明している。

ディリ事務所から料理教室へ参加。栄養士のズルミラ。

調理の様子

対象の小学校は山の中にある田舎の地域で、参加者がオンラインに慣れていないこともあり、オンラインで料理教室を進めることに不安もありましたが、エルメラにいるスタッフも栄養士なので、栄養素の説明の補足など、現場で参加者へのサポートもできる限り行い、なんとか進んでいます。料理教室は全10回。どこかで感染状況が落ち着き、実際に参加者の方々と顔を合わせることができればいいなと願うばかりです。

(東ティモール事務所 桑原真菜実)

※この事業は外務省NGO連携無償資金の助成と皆さまからのご寄付により実施しています。

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東ティモール:ふりかけ原料の栽培研修の実施 https://www.parcic.org/report/timor-leste/timor_furikakeprj/18709/ Thu, 04 Mar 2021 09:39:16 +0000 https://www.parcic.org/?p=18709 東ティモールの首都ディリから船で3時間ほど揺られるとアタウロ島に到着します。栄養改善事業のふりかけ生産はこのアタウロ島のビケリ村で行われています。今回は、そのビケリ村で行われた、ふりかけの原料の栽培研修についてご紹介します。

ふりかけの材料となるのは、干し魚、ゴマ、乾燥モリンガ、ウコン、ナンキョウです。2019年には、原材料の加工方法についての研修を行っており(詳細は昨年の記事)、今回は前回の研修のフォローアップと、ゴマ、モリンガ、ウコン、ナンキョウの栽培方法の研修を、工場前の試験農場で実施しました。研修は昨年同様、Pala(パラ)、Iliknamo(イリクナモ)、Ilidua(イリドゥア)、Uaroana(ウアロアナ)、Fatuu(ファトゥー)の5集落を対象としています。

栽培研修をするにあたり、パルシックに農業専門のスタッフがいないため、現地NGOでの経験があるアルビノさんに協力してもらいました。彼はまだ20代前半と若いですが、農業の知識が豊富で、女性たちへの説明もわかりやすく、スムーズに研修を進行してくれました。

畑を耕している様子

ナンキョウを植えている様子

植え方について説明を受ける女性たち

きれいに整備された畑

モリンガとウコンはとても馴染みのある食材ですが、ゴマとナンキョウはアタウロ島であまり見かけない食材です。そのため、参加者の中には見たことがないという方も何人かいました。ゴマはアタウロ島の環境(海が近く気温が高い)でも生育できますが、ナンキョウは標高が高く、涼しい気候でよく育つようで、海に近く、暑いビケリ村では栽培は難しく、今後、継続的な調達方法を考えていく必要がありそうです。

ナンキョウ:ショウガ科の植物。見た目もショウガに似ていますが、サイズはショウガより大きく、スパイシーな香りがあります。

参加者からは今回植えた作物がどのくらいで収穫できるのかといった質問や、自分の畑で植えている他の作物(空心菜やトウモロコシなど)についても質問が出て、雨季に向けて、畑での作物の栽培に力を入れたいというのが伝わってきました。

研修から数日経つと、試験農場では一番にゴマから芽が出てきました。栽培研修を実施した時期は雨の降る日が少なかったのですが、現在は本格的に雨季に入り、研修で植えた植物もかなり生長してきました。ふりかけ工場で働く女性たちが工場での仕事の合間に畑の草刈りもやってくれています。今後、これらの原料が各集落で収穫され、そしてふりかけ工場で買い取りできる時期が来るのが楽しみです。

芽が出てきました

現在の畑の様子

(東ティモール事務所  桑原真菜実)

※この事業は外務省NGO連携無償資金の助成と皆さまからのご寄付により実施しています。

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東ティモール:学校給食の改善を目指して~料理教室の様子~ https://www.parcic.org/report/timor-leste/timor_furikakeprj/18606/ Fri, 29 Jan 2021 08:50:13 +0000 https://www.parcic.org/?p=18606 昨年はディリ県内の小学校5校を対象に全10回の料理教室を行いました。給食調理担当者の栄養や衛生に関する知識向上、給食メニューの改善が目的で、給食調理担当者のほかに教員、保護者数名が集まり、3~10名ほどの規模で実施してきました。

料理教室では、各学校の調理場を使わせてもらうのですが、建物はあるものの、ガス、水道はその建物内に通っていないので、火は薪で焚き、水は近くの水道のある場所から汲んできて大きなバケツにいれて使用します。料理を始めるまでの準備でひと苦労ですが、みなさんは慣れた様子で作業していました。調理は、現地スタッフで栄養士のズルミラさんを中心にみんなで協力して行います。

調理の様子

そして調理の前後や待ち時間に栄養の知識も学びます。パルシックが作成したマニュアルやビデオ、時には食材の写真やフリップチャートを使用しながら栄養素や栄養バランスについて理解を深めます。

みんなで栄養バランスについて学んでいます。

料理ができあがったら、校長先生やほかの先生方も呼んでみんなで試食をします。マサコ(東ティモールで一般的な粉末の化学調味料)は使用せず、塩・こしょうとニンニクやショウガなど香りのある食材を活かした味付けとなっていますが、美味しいと好評でした。

出来上がった料理。左上から、豆のサラダ、ほうれん草の和え物、小魚のピリ辛炒め、緑豆とサツマイモのお汁粉。

試食会

全10回ある料理教室の最後の回はまとめの回となっており、参加者に1日の献立を考えてもらいました。少し難しいかなと思いましたが、みなさんバランスの良いメニューが考えられていて驚きました。また、給食調理担当者には1週間の学校給食のメニューも考えてもらいました。その中で、ある学校の給食調理担当のリタさんは1週間のメニューにふりかけを使ったメニューを取り入れてくれました!ふりかけの紹介も実施していたのでとても嬉しかったです。

メニュー作成の様子

東ティモールでは学校が通常通り開かれていても、給食は政府の予算の都合で実施されないことが多々あります。2020年は新型コロナウィルスの影響もあり、学校給食はほとんど実施されませんでした。現在は緊急事態宣言が発令されていますが、1月中旬から新学期が始まる予定です。料理教室での学びをすぐに学校給食に活かすことができないのは残念ですが、参加者のみなさんには家庭でもバランスの良い食事を意識してほしいと思います。

最後に参加者に証明書を渡しました。

(東ティモール事務所  桑原真菜実)

※この事業は外務省NGO連携無償資金の助成と皆さまからのご寄付により実施しています

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東ティモール渡航レポート https://www.parcic.org/report/timor-leste/timor_furikakeprj/17632/ Mon, 07 Sep 2020 07:40:32 +0000 https://www.parcic.org/?p=17632 はじめまして、7月20日から東ティモールの栄養改善事業担当に着任し、7月22日に東ティモールに赴任しました、桑原です。

私にとって、東ティモールは4か月ぶりです。というのも、私は2018年の7月から青年海外協力隊として東ティモールに派遣されており、今年の3月に新型コロナウィルス感染拡大のため一時帰国となっていました。そのまま協力隊としての任期は終わってしまいましたが、今回ご縁があり、パルシックのスタッフとしてまた東ティモールに戻れることになりました。嬉しい反面、新型コロナウィルスの流行もあって、移動に不安もありました。このご時世の海外渡航、そして東ティモールでの隔離生活はなかなか経験できないことだと思い、私の体験をまとめてみました。

7月21日

成田空港第2ターミナルに到着。通常東ティモールへはバリ(インドネシア)を経由して行くのですが、現在東ティモールへの定期路線は国の水際対策の一環で運休中。そのため今回は国際連合世界食糧計画国連(WFP)が運航する国連人道支援航空サービス(UNHAS)を利用することとなり、まずはUNHASの発着場所であるクアラルンプール(マレーシア)へ向かいます。空港内は閑散としていて、お店もほとんど閉まっていました。チェックインカウンターや手荷物チェックなど普段であれば人が並んでいる場所もほとんどスタッフのみ。時間に余裕をもって移動していましたが、通常よりもかなりスムーズに進むことができました。

閑散としている空港内

前後の座席は空いており、私の座席は横の列にも誰もいませんでした。

搭乗ゲートの変更や30分ほどの遅延はありましたが、無事に離陸。機内の座席の間隔はかなり広くとられていたように感じます。深夜にクアラルンプールに到着し、翌朝の乗継便のため、ターミナル内にあるホテルで休みました。

7月22日

いよいよ東ティモールに向かいます。クアラルンプールの空港内も成田空港同様、お店はほぼシャッターが下りている状態でした。定刻通り飛行機が飛び、3時間ほどたったころでしょうか。着陸のアナウンスがあると、窓の外には見慣れた首都ディリの街並みが見えてきて、東ティモールに戻ってきたことの実感がわいてきました。久しぶりの東ティモールに気持ちも高まります。飛行機を降りるとマスクをした職員が大勢いて迎えてくれました。そのまま入国審査へ進みますが、ここで健康チェックが入ります。パスポートと、日本で受けたPCR検査の結果などを提出して無事に通過しました。

到着時の空港の様子

健康チェック担当の医師たちは防護服とフェイスシールドを装着し、完全防備でした。

その後、預け荷物を受け取り、通常とは異なる出口で待機し、隔離施設ごとに車が分けられて、順番に出発していきました。

待機場所。ゲートの先には行けません。車もすぐ近くまで来てくれるので、荷物を移動させてそのまま乗り込みます。

そして、到着日から2週間の隔離生活がはじまります。今回隔離施設として指定されていたのはホテルティモールというホテルですが、とても素敵な部屋で、快適に過ごすことができました。 食事はレセプションから送られてくるメニューの中から選択し、スタッフが部屋の外まで運んできてくれます。

部屋の様子

ある日の昼食。メニューはフライドチキン、サラダ、豆ごはん(赤飯に近かったです)

そして、毎日天気が良く、朝日と夕日が綺麗! 窓から眺めるのが毎日の日課でした。私が日本を出発した時、日本は梅雨の時期で、毎日曇りか雨という天気だったので、久しぶりの夏空がとても嬉しかったです。

朝6時半ごろの景色

また、隔離期間中はドクターから健康状態を確認するテキストメッセージが送られてきたり、保健省のスタッフが部屋まで来て、聞き取りで健康チェックが行われたりしました。また、1週目を過ぎたあたりでPCR検査も行われました。日本と違い、喉と鼻(鼻は左右両方)で検体を採取されました(もうPCR検査はしたくないです)。

8月6日

そうこうしながら2週間がたち、検査結果も陰性とわかり、隔離解除となりました。4か月ぶりのディリの街並みは、大きな変化はあまり感じませんでしたが、手洗いタンクが設置されていたり、マスク着用必須のスーパーがあったりなど、新型コロナウィルスへの対策が随所に見られています。

協力隊のころの活動先の保健省。手洗い場所が設置されていました。

新型コロナウィルスに限らずですが、日々の健康管理を怠らず、健康第一で過ごしていこうと改めて感じました。

以上で私の渡航レポートは終わります。

今回の渡航にあたり、多くの方が関わってくださいました。そのことに感謝し、東ティモールでの事業に精一杯取り組んでいきたいと思います。

(東ティモール事務所  桑原真菜実)

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新事業地・アタウロ島で本格始動!「ふりかけ普及と食生活改善による栄養改善事業」 https://www.parcic.org/report/timor-leste/timor_furikakeprj/15371/ Tue, 01 Oct 2019 09:50:54 +0000 https://www.parcic.org/?p=15371 9月からアタウロ島ビケリ村5集落 Pala(パラ)、Iliknamo(イリクナモ)、Ilidua(イリドゥア)、Uaroana(ウアロアナ)、Fatuu(ファトゥー)における食品加工基礎、ふりかけ原材料の加工についての研修が始まりました。

1日目の食品加工の基礎研修では、下記のポイントを重点的に伝えました。

  • 売れる商品を作ること、消費者のニーズを理解すること
  • 人・モノの衛生管理
  • 品質管理、安心・安全な商品をつくること
  • 商品化までの過程
  • コストとは、原価計算・記録すること
  • 商品の流通、マーケットを創ること
  • ふりかけとは~製造・販売・消費~

アタウロ島のおばちゃんたちは、豊かな海からの恩恵を受け、日々、魚を干物に加工したり、海藻を育てたり、ナマコを乾燥させたり、貝やタコ、イカ、ウニを獲ってきて仲買人や観光客に売ったりする商売をしています。海での仕事はケガ等のリスクも大きいですが、その分、東ティモールの他地域、特に山間部の日々の収入と比べて、格段に利益も大きいと言えます。

おばちゃんたちの中には今まで、NGOや政府機関から海産物を使った加工品をどうやってつくるか、という研修を受けた方もたくさんいました。しかし、原価計算やマーケットにどうやってつなげるのか、といったことまでの研修は受けておらず、改めて「自分の商売は本当に儲かっているか」について考える機会になったようでした。

2日目のふりかけ原材料加工の研修では、干魚、モリンガの加工方法、ゴマ、ナンキョウ、ウコンの栽培から収穫までについて、私たちスタッフもおばちゃんたちの技術や知恵を聞きながら、アタウロ島の文化や環境を学びながら進めました。今回研修を実施した5地域では、モリンガの花や葉は日常的にお粥やとうもろこしのスープに入れたりして食しています。雨期にはモリンガがありすぎて豚のえさになる、というくらいで「モリンガが収入になるのか!」とちょっと嬉しそうなおばちゃんたちの声も聞かれました。

9月18日には、ふりかけ製造のためのセンターにおけるこれらの原材料の買取り価格を決める大事なミーティングをBIATA(アタウロ島漁業組合)、各集落の女性たちと実施しました。まずはこの金額でやってみよう、とお互いに納得するカタチでまとまり、10月中旬にセンターが完成次第、買取りを開始していきます。

研修の様子

ベロイのマーケットの様子

育てている海藻

イリドゥア集落でのモリンガと緑豆とカボチャのお粥

干魚の塩分を塩分計でチェック

午後の部の前に、眠気覚ましのための歌とダンスを

研修後にモリンガの乾燥を実践

9月18日のミーティング

建設中のセンター

(東ティモール事務所 林 知美)

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