東ティモール – 特定非営利活動法人パルシック(PARCIC) https://www.parcic.org 東ティモール、スリランカ、マレーシア、パレスチナ、トルコ・レバノン(シリア難民支援)でフェアトレードを含めた「民際協力」活動を展開するNGO。プロジェクト紹介、フェアトレード商品販売など。 Fri, 14 Jul 2023 03:22:40 +0000 ja hourly 1 https://wordpress.org/?v=6.4.1 コカマウとの深煎りな日々⑪~収穫期 https://www.parcic.org/report/timor-leste/timor_coffeefield/22960/ Fri, 14 Jul 2023 03:19:13 +0000 https://www.parcic.org/?p=22960 東ティモールでは数年ぶりに6月には乾季が訪れ、コーヒー産地であるマウベシでも各集落で収穫が進んでいます。収穫が早く始まった集落ディリではコーヒーの実をパーチメントの状態までにする一次加工を終え、首都ディリでの二次加工が進み日本への出荷の準備が進んでいます。

ルムルリ集落でのパーチメント集荷の様子

しかしながら、例年であれば収穫が始まってからは雨が降る日が少なくなるところ、今年は7月に入ってからまた雨季に戻ってしまったかのように雨の日が続いています。マウベシ出身のスタッフや農家は、年々乾季が短くなり雨季が長くなってきていると言います。

雨が長く続いてしまうと足場が悪くなって収穫がしづらくなったり、せっかくコーヒーを収穫してもパーチメントの乾燥が思うように進まなかったりしてしまいます。天候に悩まされるのは今年に始まったことではないため、それぞれの集落で工夫をしながら収穫、加工を進めていきますが、気候変動によりマウベシのコーヒー農家の心配事は間違いなく増えてきています。まずはまた雨がやんで強い日差しが戻ってくるのを祈るばかりです。

雨対策をしたアフリカンベッドで乾燥を進めながら晴れの日を待ちます

コーヒー畑の改善事業が始まって3年半が経ちましたが、古くなった木を台きりした畑では新しい枝が育ち、1年目から事業に参加してきた多くの畑で以前より多くの実をつけるようになりました。また、コーヒーの木は種まきから成木になるまで3~5年かかると言われていますが、新しい畑で苗から育てたコーヒーの木も育ってきていて、畑の様子も毎年変化してきています。

モデル農家、エルダウトゥバ集落のジョアンさんの畑にて

今季は新たに22集落50世帯がこの事業に加わり、参加農家は合計287世帯になりました。今年度の新規参加農家への畑の改善トレーニングもほぼ完了し、すでに集落によっては作業責任者が中心となり、トレーニングを自主的に進められているところもあります。まだサポートは必要ですが、積極的に活動を継続してくれている様子を見ると、コカマウ組合の農家の畑の改善に対する意識の変化を感じることができます。

集落で協力しての活動に自信を見せるディムテテ集落の組合員とパルシックスタッフ

収穫したてのマウベシコーヒーを飲みながらこのレポートを書いていると、朝から霧がかかっていてパッとしない天気だったのですが夕方になって晴れ間が出てきました。今年もみなさんにこの美味しいコーヒーをたくさんお届けできるように、まずは天気が回復して収穫が無事進むように願いながらコーヒー畑のモニタリングを続けていきます。

雨上がりのマウベシ事務所から

コーヒー畑の改善事業で制作した動画(全編テトゥン語、英語字幕あり)

前回のスタッフレポートで紹介したコカマウ組合員向けの動画に英語字幕がつきました。YouTubeの字幕機能をオンにしてぜひご覧ください。

1.コーヒーの木の台切り、畑の改善

2. 苗の定植、畑の開墾

3.  2022年の成果

(東ティモール事務所 工藤竜彦)

*この事業はJICA草の根技術協力事業の業務委託を受けて実施しています。

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[開催報告]東ティモールのこれから~独立記念日に日本と東ティモールで考える~ https://www.parcic.org/report/timor-leste/22777/ Tue, 13 Jun 2023 02:25:58 +0000 https://www.parcic.org/?p=22777 5月20日(土)の東ティモールの独立記念日に、巣鴨にてオンラインと対面のハイブリッドでイベント『東ティモールのこれから~独立記念日に日本と東ティモールで考える~』が開催されました。

巣鴨のオフライン会場は熱気に包まれ、多くの人で埋め尽くされていました。物販ブースや飲み物コーナーもあり、開始前に東ティモールのコーヒーのサービスもありました。

前半は、帰国中の東ティモール事務所代表 伊藤淳子さんによる現状報告、後半は東ティモールで起業している2人と繋いで直面している課題にどう向き合っているのか、クロストークが行われました。

第1部 東ティモールの現状

2002年に国として独立を果たした東ティモールは、様々な政治的な駆け引きや混乱によってなかなか思い通りに国づくりが進んできませんでした。2011年からは「東ティモール戦略的開発計画」に基づき、どの政党が政権を取ってもこの開発計画に沿って国づくりができるようにと現在まで歩んできました。

人工分布

 

この「東ティモール戦略的開発計画」で取り上げられていることの1つは若者たちであり、独立後、国の人口の半分以上は20歳に満たない人たちで構成されています。このことが新しい国にとって大きなチャンスであると捉えられ、若い人が熱意を持って新しい機会にチャレンジしていく熱量は、20年間東ティモールで暮らしている伊藤さんも強く感じていることだそうです。

国家歳入

データラベルがグラフから飛び出ている内訳以外は全て天然資源に関連した国家歳入収入。2022年の段階でも歳入の9割が天然資源収益に依存していることが分かります。

生計手段 (生産年齢人口=16~54歳)

データラベルがグラフから飛び出ている内訳のうち、4分の1は何かしらの定額の収入を得ている人、それ以外は学生や農業、漁業など、自給農業に携わっている人たち、または家事をしている人たちなど。4分の3は収入を得るのがとても不安定な状況にあります。

学生たちは就労年齢になっても受け入れられる就労の機会がほとんどなく、だいぶ前から指摘はされてきたものの、改善や目立った変化がない現状。エネルギーもあり生活をしなければならない若者はイギリス、アイルランド、韓国、オーストラリアなどに仕事を求めて出ていくことが多いそうです。

これからの東ティモール

ASEAN地域で唯一加盟していなかった東ティモールは、2011年から加盟申請し、昨年ようやく承認され具体的な手続きが始まっています。しかし、東ティモールにとってはメリットやチャンスになることは少なく感じられ、むしろ脅威になることの方が大きいのではと言われています。

2023年現在でもASEAN圏内で米ドルを通貨として使っているのは東ティモールのみであり、近隣諸国からドルを稼ぎに来る人が多いそうです。ASEANに加盟すれば、人や物もサービスもさらに自由に行き来ができるようになり、より多くの人たちが仕事をするために東ティモールに来ることができます。ただでさえ東ティモール人が仕事を得ることが難しい状況に、さらに追い打ちをかけることになりますが、それでもASEAN加盟にこだわる理由は、東ティモールが自分たちの力で独立を果たした東南アジアの中でも最も民主的な国であると評価されている矜持と、ASEANという地域で東ティモールも何か役割を果たしたいという強い政治的な願いがあるのだろうと伊藤さんは言います。

東ティモールは多くのことを経験し、最終的に自分たちの力で民主主義を達成しました。独立後20年経っても平和的な国づくりをしていると示したい想いもあるのでしょう。そして、そうなってほしいと伊藤さんたちも願っているそうです。

第2部

第2部は学生NGO HaLuz からの質問を交え、代表でもあり、現地事務所で半年間インターンをされていた黒沢衣さんの進行で東ティモールとのクロストークが行われました。
黒沢さんの現地レポート「東ティモール日誌」はこちら

起業に至った理由 ユニタさん

 

東ティモールの首都、ディリで3軒のSkyra(スカイラ)コーヒーショップを経営。2021年6月から事業を開始。ビジネスマネジメント学科を卒業した後は、ビジネスイノベーションチャレンジというコンテストで入賞し、資金援助を受けて経営されています。

東ティモールでは多くの若者が学業を修め卒業した後は、公務員になることを望むそうですが、自分たち自身が新しい機会を若者たちのためにつくることもできるのではと思ったのが、事業を始めたきっかけだそうです。

東ティモールはコーヒーが有名で、東ティモールのアイデンティにもなっています。多くの人がコーヒーを飲むのに対し、女性はあまり飲まないので、彼女たちにも楽しんでもらえるようなお店にしたいと思ったそうです。甘いものが好きな女性向けに、チョコやクリームなど豊富なメニューを揃えたり、ロゴをカップに印刷したり、ユニタさんらしさがあらゆるところに現れています。

起業に至った理由 アメウさん

ディリ大学の教育学部英語学科を卒業し、Youth Empowerment for Futureという団体の設立者で代表。2019年から活動を開始し、東ティモールの若者たちと野菜栽培、畜産・養殖に取り組んでいます。

東ティモールは天然資源の収益に依存しているため、、農業を1つのビジネスの機会にしたい、農業を通じて自分自身が仕事で収益を得て、他の人にも仕事をする機会を提供したい。同時に、多くの失業者、食の安全、栄養不良の子どもたちが多いなどの社会的な問題に対して、東ティモールが抱える問題に農業は1つの答えになると思ったのが事業を始めたきっかけだそうです。

農業は重労働であり、気候変動などにより自分たちの努力が実を結ばないこともあります。また、市場での競争も大変なことです。ディリ市内のお店で扱われている商品の大部分は輸入品であり、アメウさんたちの国産品はこれらと競っていかなければなりません。不利な状況に立たされることも多いそうですが、価格や品質パッケージなどの面で、それらと競っていけるよう努力を続けているそうです。

お2人のお話を1時間弱たっぷり聞くことができ、オンラインからも会場からも多くの質問が挙がっていました。

ユニタさん、アメウさんが起業家として国の発展のために、そして東ティモールの人たちのために尽力されていること、外国からの競合も多いなか、東ティモールの強みを活かして事業を継続されていること、未来を見据えて行動されている姿に熱意と力強さを感じました。

所感~イベントに参加して~

伊藤さんの現地でのご経験や考察は非常に参考になり、独立を果たしても資源の枯渇や継続的な収益を得ることの難しさ、就労機会の少なさ、若者の就労の現状など学ぶことが多い時間でした。今後のASEAN加盟の動向は、引き続きニュースやパルシックさんを通して、情報を得ていきたいと思います。そして少しでもサポーター会員として関わっていることが東ティモールにも繋がるといいなと願っています。

終了後の交流会もスナックや飲み物をいただき、有意義な時間を過ごさせていただきました。ありがとうございました!

(ボランティア 杉山 久美子)

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インターン黒沢 東ティモール日誌Vol.12 商品生産地を訪問!~バウカウ 後編~ https://www.parcic.org/report/timor-leste/timor_womanqol/22740/ Mon, 12 Jun 2023 02:26:36 +0000 https://www.parcic.org/?p=22740 Botardi!こんにちは、インターンの黒沢舞衣です。
今回はバウカウでのアロマティモール商品生産地訪問、後半です!(前半はこちら)

次に訪れたのは「FITRI」という生産グループで、行ったときはちょうど3人のメンバーがクランチーピーナッツを揚げていました。クランチーピーナッツは人気の商品ですぐに売り切れてしまうので、なんと週に3回も作ります。

早速作業場所に行って、優しいお母さん方に作り方を教えてもらいました。大量のピーナッツを熱湯に入れて皮を取ったあと、卵と小麦粉を付けます。そのあと大きな鉄なべで揚げるのですが、暑い中高温の油の前でずっとピーナッツを混ぜる姿がとてもかっこよかったです…

アナトさんはグループに売上金を支払いながら、この生産グループは儲かっているのだと言っていました。リーダーの方はお金を子どもの学費の足しにしているそうです。このグループでは木曜と日曜の市場でピーナッツを200ドル分買うのですが、時期によって値段が違い、少ししか買えないときが大変だと言っていました。帰りの車の中で食べたクランチーピーナッツは、今までで一番美味しかったです。

ピーナッツの香ばしい香りに包まれていました

あとの二人は揚げ物中です(左はアナトさんと息子のゼノンくん)

そして宿泊しているナテルシアさんの家でも、「TRM-OCA」というグループのバナナチップスづくりを見させてもらい、私も作業を手伝いました!使うバナナは緑色の大きなもので、皮は硬くてねばねばしているので包丁を使って剥きます。スライスカッターを、油を張った大きな鍋の上にセットして、スライスされたバナナが揚げられていきます。二度揚げたら仕分けをするのですが、量が驚くくらいに多くてとても大変でした。小さい物や壊れたものは家族や近所の人に売ったりあげたりするそうです。形の整ったものは重さを量って袋に詰めます。

訪れた時期はメンバーの多くが神様の家づくり(宗教的な建物で親戚総出で自分たちで作るそうです)に行っていたようで、メンバーではない家族も総出でチップスづくりをしていました。普段はタロチップスとクランチーピーナッツも作るらしいです。また、このバナナチップスはアロマティモールの商品としてパルシックを経由しディリで販売される以外にも、自分たちのパッケージでバウカウとディリの多くのお店に卸しています。

滞在中、私たちは毎日のようにお店を回って在庫を確認し、商品を運んでいました。ディリでもバウカウでもとても人気で、大量に作って高頻度で卸しても、すぐになくなってしまうそうです。しかし単価が安いのでそこまでの収入になるわけではないことと、一時期よりも売り上げは落ちていることを聞き、商売の難しさも感じました。

バナナを揚げているところ

バウカウのお店に並ぶオリジナルラベルのチップス

約1週間の滞在中、ナテルシアさん一家には大変お世話になりました。特にアナトさんにはたくさんの場所へ連れて行っていただき、たくさんのものを見させてもらいました。私は普段事務所で一人暮らしをしているので、東ティモール人の方の生活を体験できたのは嬉しかったです。生活についてはまた別で書こうと思います。

グループ訪問以外で一番思い出に残っている出来事は、コレメタンと呼ばれる、一周忌パーティーに参加したことです。会場には喪服のような暗めの色の服を着た人やそうでない人もたくさん集まっていました。暗い雰囲気なのかと思いきやそれはパーティーで、中央の机に並べられた料理を自由に食べ、喪主の方が挨拶をしたあと陽気なダンスが始まったのでとても驚きました。しかも社交ダンスで、一曲が始まるたびに男性が座っている女性を誘いに行きます。私はアナトさんに踊り方を教えてもらってその後何人かと踊ってみたのですが、息が全く合わず足がもつれてしまって難しかったです。しかしフェスタで踊ったという話は東ティモール人に非常にウケがいいので、習ってよかったです。

この人の多さは準備も大変そうです

家族の皆さんと。本当はあと3人います。真ん中左から2番目がナテルシアさん。いちばん後ろがアナトさん

今回はピクルスとハイビスカスティーを作っている「FENA」というグループは訪問できず残念だったのですが、バウカウの4つの生産グループを訪れて感じたのは、どの商品もとても丁寧に生産されていて品質が高いということです。しかし同時に原材料の価格変動や少ない販売数によって苦労していることや、グループによって売り上げに差があることも分かりました。ビジネスである以上、たくさん売れることに越したことはありません。どうしたらこの高品質で美味しい商品をもっと売ることができるのかと、帰りのバスの中でマーケティングの観点から今回の旅を振り返ったりしました。

(インターン 黒沢舞衣)

インターン黒沢 東ティモール日誌 Vol.11 商品生産地を訪問!~バウカウ 前編~へ

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東ティモール:ふりかけ生産のこれから https://www.parcic.org/report/timor-leste/timor_furikakeprj/22612/ Thu, 11 May 2023 07:39:26 +0000 https://www.parcic.org/?p=22612 Boa Tardi(みなさまこんにちは)。昨年夏、クラウドファンディングで多くの皆さまに応援いただいた「ふりかけ・栄養事業」の「ふりかけ」の生産拠点であるアタウロ島を訪問してきました。ふりかけ工場の現在の状況をご報告します。

アタウロ島のきれいな海

2019年から開始した「ふりかけ」普及と食生活改善による栄養改善事業では、学校給食調理担当者向けに栄養の基礎と、東ティモール産の食材を使った「ふりかけ」と地産の食材を活用した推奨メニューの実践調理する教室を開催しました。コロナ禍で学校自体が休校になったり、給食が開始されなかったりした事情もあり、事業期間中はいくつかの学校が給食へふりかけを導入する程度にしか普及ができませんでした。

そのため、学校給食の改善とふりかけ普及のフォローアップを目標に事業終了後に実施したクラウドファンディングでは、多くの方々にご支援をいただき、発育阻害の割合が63%と最も高いエルメラ県の小学校で、75校、250名の調理担当者の方々へ料理教室を実施し、「ふりかけ」を紹介することができました。

このような活動を通じて、同じく東ティモールで学校給食支援をしている国際NGOのケア・インターナショナルが「ふりかけ」に注目してくださり、1トンを超える「ふりかけ」の注文をいただきました。現在アイナロ県、エルメラ県、リキサ県、マナトゥトゥ県の学校給食でふりかけが利用されています。

アタウロの豊かな海の幸(ウニもとれます!)

さて、そんな大量の受注をいただいたアタウロ島の「ふりかけ」工場の様子はというと、現在、工場では、女性グループメンバー7人が生産活動を行っています。

「ふりかけ」の原材料となる干し魚、乾燥モリンガ、ゴマなどは、アタウロ島の女性たち194世帯に栽培・加工研修をおこない、良質な原材料の生産が十分にできる環境を整えていましたが、約3年の間生産量が限られていたため、原材料の調達はセンターで活動するメンバーの家族など近隣者からのみにとどまっていました。今回、大量の原材料が必要になったことで、市場が求める量と質に対応していくためには、改めて研修に参加した女性たちとの協力関係づくり、そして、工場の本格稼働に向けてメンバー自体の関わり方、工場運営、品質管理などの「改善」が必要となっています。

大量受注という機会を得たにもかかわらず、女性グループメンバーは広く地域の女性たちに働きかけるという一歩が踏み出せずにいます。どこにハードルがあるのか、今回の訪問期間内に、女性グループメンバーと村長や集落長、牧師といった地域のリーダーとともに話し合う機会を設けました。

地域のリーダーたちは「ふりかけ」生産工場の行く末に関心を持っており、この機会を活かすこと、そして原材料調達については研修に参加した女性たちを含む地域の人たちとの協力関係づくりを構築することを望んでおり、そのための協力は惜しまない、とアドバイスしてくれました。地域のリーダーたちが「ふりかけ」工場を地域のためによりよい場所にしていこう、と見守ってくれていることを感じることができました。

女性グループと地域のリーダーとの会合

地域のリーダーとの会合の翌日は、女性グループとのより詳細なアクションプラン作成のための作戦会議を行いました。この会合では短期的な目標を共有し、各メンバーの役割分担を明確にして、メンバー全員がひとつの目標に向かって協力し合える関係性を築くことを念頭に話し合いました。

女性たちはケア・インターナショナルからの注文を7月末までに達成することを目標に、月単位の生産目標数量を決めました。この生産目標数量に合わせて必要な原材料の数量を割り出し、調達方法の確認をおこないました。また、メンバーの能力やスキルを活かし、それぞれに適した役割分担(原材料調達、品質管理、清掃、資機材メンテナンス、勤務管理、納品、総務、資金管理会計担当)を決め、メンバー間のチームワークとコミュニケーションを改善することで、グループの生産性の向上を目指すこととなりました。

「ふりかけ」工場のあるアタウロ島ビケリ村の人たちは、普段から自分の意見をはっきりと言える人が多いと感じますが、若いメンバーから年功者へ意見することはやはり難しいようです。今回の話し合いの中では、普段言わないような思いを年齢問わず各メンバーが率直に打ち明けていて、それぞれがより効果的に工場運営できるようにしようと考えていることを感じました。

今後も「ふりかけ」工場で活動する女性たちをいくつかの面でバックアップしていく必要があると感じています。特に、事業初期には参加していなかった新メンバーが加わっていることもあり、改めて衛生管理、生産プロセス、導入機械の活用とメンテナンスなどの再研修は必須です。また、ケア・インターナショナルの事業が2025年度まで続き、今後も同様の発注をいただく予定であることから、その間に生産体制を整えつつ、学校給食への販路開拓をメンバーと一緒におこない、女性グループとしての活動の意義や自分たちの生産する「ふりかけ」が東ティモールの栄養改善に役立ち、社会に貢献できることを実感する機会をつくっていきたいと思います。

引き続き、東ティモール産「ふりかけ」の生産と市場開拓のこれからを見守っていただけましたら幸いです。

(東ティモール事務所 伊藤淳子)

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インターン黒沢 東ティモール日誌 Vol.11 商品生産地を訪問!~バウカウ 前編~ https://www.parcic.org/report/timor-leste/timor_womanqol/22583/ Tue, 09 May 2023 07:32:09 +0000 https://www.parcic.org/?p=22583 Botardi!こんにちは、インターンの黒沢舞衣です。

9月26日から10月2日に、アロマティモール商品(詳しくはvol.5へ)が生産されているバウカウの女性グループを訪ねました!バウカウは東ティモール東部の北海岸に位置する都市で、5つの生産グループがあり、それぞれ違う商品を作っています。今回は、商品の集積場所でもあるグループ、「TRM-OCA」のリーダーのナテルシアさんのお宅に泊まらせていただき、他の3つのグループも見に行きました。

バウカウはディリから東に3時間ほどの場所にあり、私は一人でバスに乗って向かいました。東ティモール第二の都市と呼ばれているだけあって栄えている範囲が広く、店や家、人の数は多かったです。ナテルシアさんの家には10人が住んでいて、私を温かく迎えて下さいました。普段は息子のアナトさんが、全生産グループの商品を集め、パルシックとのやり取りを行っているようで、早速翌日から生産現場を回らせてもらえることになりました。

「VERTUDE」は、222gのVCO(Virgin Coconuts Oil)を作っているグループです。メンバーは7人ですが、訪れた日は2人でした。ココナッツが市場に並ぶ木曜と日曜に50個ずつ買い、5個を使って1ボトルのVCOを作るそうです。パルシックが作った手順のポスターが貼られた作業小屋の中で実際に作る様子を見せていただき、私も体験させていただきました。まずココナッツをカタナと呼ばれる大きなナイフで大胆に切って、水の入ったバケツの中で洗います。機械を使って細かく粉砕したら、水を加えます。布を使って3回こしたものを一日置き、次の日に分離した油の部分を掬うのだそうです。

皆さんはとても手慣れていて、私に優しく教えてくださりました。たくさんお話をした中でも、2017年から2年間指導を行っていたパルシックスタッフのともみさんとのエピソードや、市場のココナッツはすぐに売れてしまうため、もっと作りたくてもなかなか作れないことが印象的でした。まだ小さな息子さんやお孫さんがたまにふらっと現れてはキラキラした目で女性たちを見ていたのが微笑ましかったです。

布を使って絞る作業は力が要りました

商品を手にみんなで記念写真

クリーミーピーナッツバターを作っているのは、「FIB」というグループの5人の女性たちです。商品生産は3か月に1回程度のようでお邪魔したときには作っていなかったのですが、私のためにわざわざピーナッツを少しだけ買いに行ってくださいました…!どのグループも作業用の建物はグループリーダーの方の家の隣にあって、他のメンバーはたいてい近くに住んでいます。今回はリーダーとその家族の方に、工程を一通り見せてもらいました。初めにlafatikと呼ばれるパームの葉で編んだバスケットを使って、ピーナッツを選別します。オーブンで30分加熱して、皮がするっと剝けるようになったピーナッツをまだ熱いうちに一つ一つ綺麗にしました。もう一度lafatikに入れて、焦げすぎたものや皮などを器用に取り除きます。私も試してみましたが、手首のスナップを使ってlafatikを動かすのがとても難しくて上手にできませんでした。最後に機械に入れて下に瓶をセットしたら、ピーナッツバターが出てきます!出来立ての温かいバターはまた違った美味しさがあり、とても贅沢な気持ちになりました。

このグループは他にもバジルソルトを作っていますが、これも作るのは3ヶ月に一度くらいだそうで、昔は15人いたメンバーも今は5人に減ってしまいました。ディリ事務所の在庫が少なくなって電話が来たら作るので、もっとたくさん売れるようになったらいいなと思いました。

皮むきを体験しました

こちらでもピーナッツバターを手に記念撮影

私は今回初めて東ティモール人の方のお家に泊まったのですが、4人の小さな子どもたちはとても賑やかで、大人たちもおしゃべり大好きで、ずっとどこかから声が聞こえていました。滞在中、親戚の具合が悪いというので、近くにある家をよく一緒に訪ねました。ある日お墓に行くというのでついていくと、何十もの親戚の墓石一つ一つにろうそくと花びらを手向けて体調が良くなることを祈願していて、とても興味深かったです。

別の日には車で少し離れた山に向かい、占い師のような老人を訪ねました。老人は私たちが持参したひよこを生贄に一人で何か儀式をしたあと、一緒に行った家族の一人に不吉なことが続く原因について話をし、そのあとお祓いのようなものをしていました。現地の言葉、マカサエ語を話していたので詳細は理解できませんでしたが、話を聞く限り水子供養のようです。東ティモールはカトリックの国ですが、同時に彼らは土着信仰も持っていて、それが併存しているのは非常に面白く、貴重な経験をしたなと思いました。

おじいさんと一緒に住んでいる男の子が儀式を手伝っていました

(インターン 黒沢舞衣)

インターン黒沢 東ティモール日誌Vol.10 首都ディリでの休日~with日本人編~へ

インターン黒沢 東ティモール日誌Vol.12 商品生産地を訪問!~バウカウ 後編~へ

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インターン黒沢 東ティモール日誌Vol.10 首都ディリでの休日~with日本人編~ https://www.parcic.org/report/timor-leste/timor_eat/22312/ Mon, 27 Mar 2023 08:23:33 +0000 https://www.parcic.org/?p=22312 Botardi!こんにちは、インターンの黒沢舞衣です。

先日東ティモール人の友人と過ごす休日を紹介したので、今回は日本人の方と過ごす休日について書きたいと思います。私は首都ディリで日本人と休日を過ごす際は、ソフトボールに参加したり、レストランやカフェに行ったり、マリーンアクティビティを楽しみます。

東ティモールにいる日本人の数は、他の国よりも少ないように感じます。そして住んでいる方の多くは、東ティモールで仕事をしている人かその家族です。歳の近い大学生は、私を含め4人しかいません。特に今はコロナ禍で青年海外協力隊の派遣が停止されているため(*)、普段よりも日本人の人口は少なく、長く住んでいる方々はお互いを見知っているそうです。

日本人の方々と交流する場として、毎週日曜日の朝行われているソフトボールがあり、私も時間があるときに参加しています。毎回10人から20人ほどの、大使館やNGOなどで働く人などが集まって、初心者も経験者も関係なくプレーができるのが楽しいです。

また私は、ピースウィンズ・ジャパンでインターンをしていた大学生の方とディリで知り合い、よく一緒に食事に出かけていました。レストランでの食事の単価は5ドルから15ドルほどと日本とあまり変わらないのですが、東ティモール人たちは高いと言って行かないので、レストランで誰かと食事をしたいときは日本人を誘う必要があります。いつも私は自炊をしているので、たまに食べる美味しい料理はご褒美です。私のおすすめは、「mie doben」のミーゴレンという麺料理と、「jeitu burger」のハンバーガーです。

どちらの店も事務所から近く、歩いて行けます

10月には、東ティモールでインターンをしている大学生3人で、ホエールウォッチングに行きました!「Tasi feto (女性の海)」と呼ばれる、東ティモールの北側、アタウロ島との間の海には、この時期にクジラが通るそうで、いくつかのダイビング会社がツアーを催行しています。 私たちは参加者4人とガイドの小規模なツアーに参加し、朝7時から6時間かけて、海を東側に進み戻ってきました。私は開始早々船酔いをしてしまい、もうダメだと思ったのですが、なんと!ようやく回復をしてきた頃に、クジラを見つけることができました!その後も何匹もクジラを目撃することができ、潮を吹きながら泳ぐクジラの横を並走できました。ダイビングライセンスを持っていれば、クジラの近くまで潜ることも可能だそうで、いつかダイビングをマスターして、ティモールの海をもっと楽しめたらと思いました。

(*)青年海外協力隊の派遣は2023年1月から再開されました。

私は人生で初めてクジラを見たのですが、その大きさと迫力は感動的でした

(インターン 黒沢舞衣)

インターン黒沢 東ティモール日誌Vol.9 アタウロ島のふりかけ工場へ

インターン黒沢 東ティモール日誌 Vol.11 商品生産地を訪問!~バウカウ 前編~へ

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お花がつなぐ女性たちの連帯で、子どもの栄養改善を https://www.parcic.org/report/timor-leste/timor_eiyokaizen/22142/ Tue, 14 Mar 2023 08:17:16 +0000 https://www.parcic.org/?p=22142 2023年3月から、外務省NGO連携無償資金協力の助成を受け、新事業「女性の生計向上を通じた子どもの栄養改善」がスタートしました。

東ティモールは130万人の人口のうち41.8パーセントが1日1.50ドルの貧困ライン以下で生活をしているといわれていますが、お腹を空かせた子どもを大人が放っておかない社会でもあります。なので「食べられない」子どもは少ないものの、5歳未満で発育不全の子どもの割合は47パーセントと、栄養バランスの悪さが問題となっています。

パルシックは2019年から「ふりかけ普及と食生活改善による栄養改善事業」を3年半実施してきました。この事業では、東ティモール産の食材を使った「ふりかけ」を学校給食を通じて普及させると同時に、学校給食調理担当者向けの料理教室を開催し、地域の女性たちが地域でとれる食材を使って栄養バランスの良い献立を考えられるようになることを目標としました。

料理教室に参加する女性たち

料理教室に参加する女性たち

女性たちは栄養に関する知識を学ぶことにとても前向きで、料理教室の修了証を手にした時も、事業終了後に抜き打ち訪問したある学校で、学んだことを実践している様子を披露してくれた時も、とても誇らし気でした。一方で、女性たちにとっては学んだことを家庭で実践したいと思っても経済的理由で食材を揃えることができないという現実もあります。発育不全の子どもの割合が最も高い地域が実はコーヒー産地と重なっており、コーヒーからの現金収入が家庭での栄養改善につながらないのは、男性が自分の好きなことにお金を使ってしまい、女性が自由に使い道を決められる収入が限られていることの現れでもあります。

抜き打ちで訪問したアタウロ島の小学校。この日の献立は、市場で買った豆とジャガイモと人参のスープ

前事業からのこの学びを考える中で、わたしたちは切り花に目をつけました。東ティモールはキリスト教徒が人口の9割以上を占め、教会行事やお墓参り、結婚式や葬儀には花が欠かせません。首都ディリでも地方の農村でも、各家庭の庭先にブーゲンビリアや山丹花など彩り豊かな花を植え、お墓参りのときに使います。安くて日持ちのする中国産の造花も大人気でしたが、カトリック教会がミサで造花への祝福をしないと決めて以降、生の切り花への需要が一気の高まり、首都ディリには生花店がいくつも出来ました。しかし、国内で商業用に栽培された良質の切り花はなく、どの生花店も隣国インドネシアのジャワ島からはるばる空輸で仕入れた切り花を高値で販売しています。

マウベシの民家の庭先を彩る花々

ディリ市内の生花店で売られるジャワ島産の切り花

年間を通じて気温が20度前後のコーヒー産地で、女性たちが良質の切り花を栽培しディリでの需要に応え、定期的な収入を得ることができれば、毎日の献立に工夫をする経済的余裕が少しは生まれるのではないか。そう考え、この新しい事業をスタートさせました。

3月1日、在東ティモール日本大使館で契約書への署名式をおこないました。子どもの栄養改善を重点課題に掲げる大統領府、事業のカウンターパートとなる保健省、農水省から代表者が立ち会ってくださり、偶然にも全員が女性で、事業内容にとても共感してくださいました。会場にはコーヒー産地のマウベシから取り寄せた花束と、ディリの生花店で購入した花束を、どちらも10ドル分ずつ用意し、事業開始時点でのボリュームの違いや品質の違いをみなさんと確認しました。

地方の女性たちが丹精込めて栽培する切り花を、ディリで働く女性たちに喜んで使ってもらい、時間がかかるであろう子どもたちの栄養改善に女性たちが一緒に取り組める仕組みを作りたいと思います。

署名式の様子。手前に写っているのはマウベシ産の花束 (C)Embassy of Japan in Timor-Leste

(東ティモール事務所 伊藤淳子)

*この事業は外務省NGO連携無償資金の助成と皆さまからのご寄付により実施しています。

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インターン黒沢 東ティモール日誌Vol.9 アタウロ島のふりかけ工場へ https://www.parcic.org/report/timor-leste/timor_furikakeprj/22119/ Fri, 10 Mar 2023 09:12:24 +0000 https://www.parcic.org/?p=22119 Botardi!こんにちは、インターンの黒沢舞衣です。
9月22日から24日にかけて、アタウロ島への出張に同行しました!今回はふりかけ工場の運営がパルシックの全面サポートの手を離れ、事業を現地の漁業組合へ引き渡す手続きをするために、パルシック東ティモール事務所代表の伊藤さんとふりかけ・栄養事業担当の桑原さん、スタッフのマリアさんとともにアタウロ島へ行きました。(ふりかけ事業についてはこちらをご覧ください。)

アタウロ島は首都ディリからよく見える距離にあり、船で1時間ほどの距離です。しかし島には大きな船は近づけないため、下船のために小さなボートに乗り換える必要があり、全員を運んで荷物も降ろし終えるころには3時間ほどが過ぎていました。

今回の出張メンバー。船は片道10ドルで、席の間隔は狭いです

ふりかけ工場があるビケリ村までは、軽トラの後ろにベンチを付けたようなものに乗り、海沿いのがたがた道を30分ほど走って向かいます。私たちは到着するとまず、桑原さんとマリアさんの宿泊先でもある、村長さんの家に挨拶に行きました。なんと息子さんが目の前で木に登ってココナッツを収穫して振る舞ってくれました。私はゲストハウスへ、伊藤さんはグループメンバーの女性宅へと分かれて宿泊したのですが、それは小さい村の中で利益が集中しないようにするためだそうです。

ふりかけ工場に向かうと、約束の時間を過ぎてから、ぽつりぽつりと女性グループの方々が集まって来ました。メンバーは一時14人まで増えましたが、コロナ禍で生産が計画通りに伸びず、グループを抜けてしまった方もいて現在は5人だそうです。しかしこのたび給食用のふりかけの大量発注があり、生産がやっと軌道に乗りそうだということです。運営を全面的に女性グループに任せるために、桑原さんは経理を担当するメンバーに、帳簿の付け方やエクセルの使用方法などの最終確認をしていました。 

経理担当のロデさんは、すでに使い方を覚えていました

ふりかけ工場ではこの日、乾燥させ断裁したサイコロ型の魚を粉末状にする作業を行っていました。機械で乾燥させた魚を食べさせてもらったのですが、旨味がぎゅっと詰まっていてしょっぱく、何だか懐かしい味がしました。その魚を別の機械に投入して粉末状にして、袋に入れて保管します。後日別の材料と一緒に混ぜてふりかけにするそうです。大きな機械音の中、女性たちは真剣な面差しで作業をしていました。

機械に魚を投入し、出てきた粉末を袋に入れるメンバーの方々

翌日、過去に料理教室(詳しくはvol.3へ)を行った近くの小学校を見に行き、栄養バランスの取れた献立づくりが続いていることを確認したあと、再びふりかけ工場に向かいました。今回の出張の目的は、今後の工場運営に関する、女性グループ、パルシック、村長、土地提供者、漁業組合長での話し合いです。14時に集まる予定でしたが、組合長が17時にディリから戻るということで、私はメンバーの方と雑談をしたり、子どもたちと遊んだりしていました。会議では運営や資金繰り、土地提供者へのお礼に関してそれぞれの考えや不安を話し、パルシック側の意向を伝えて無事合意に至りました。

メンバーの皆さんはとても優しくて面白くて、待つ時間もあっという間でした

アタウロ島は、海がとても綺麗な島です。海で水浴びをする子どもたちや魚を獲りに行く方、網を直している方がたくさんいました。宿泊先のゲストハウスでは新鮮な魚を調理してくださり、毎食がとても美味しかったです。港では、船が着く日には市場が開かれ、魚や、べっ甲で作ったアクセサリー、ココナッツの葉で編んだ小物入れなどが並びます。

しかし野菜はあまり採れないアタウロではディリのものなども売られていて、その値段は高いそうです。滞在中、栄養失調が原因とみられる金髪の子どもを多くみかけ、バランスの良い食事が取れていないのかなと思うことがありました。電気は自治体が提供していて、8時から12時、14時から22時までだけ使えるということにとても驚きました。 

市場に並ぶ魚

今回はビケリ村への出張でしたが、また機会があれば、他の村や観光地も訪れてみたいです。今後女性たちが上手く工場を回して生産を軌道に乗せ、ふりかけが多く消費されて、彼女らの収入が少しでも増えればいいなと思います。   

  (インターン 黒沢舞衣)

インターン黒沢 東ティモール日誌Vol.8 Loja & Café Aroma Timorへようこそ!へ

インターン黒沢 東ティモール日誌Vol.10 首都ディリでの休日~with日本人編~へ

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インターン黒沢 東ティモール日誌Vol.8 Loja & Café Aroma Timorへようこそ! https://www.parcic.org/report/timor-leste/timor_womanqol/22042/ Fri, 24 Feb 2023 08:57:22 +0000 https://www.parcic.org/?p=22042 Botardi!こんにちは、インターンの黒沢舞衣です。

今回はディリにある私たちのカフェ、「Loja & Café Aroma Timor(*)」 を紹介します。2021年9月にオープンしたこの店は、ディリの中心部にある国立大学や政府庁舎などの近くに位置します。事務所からも近く、私はよく遊びに行ったり、仕事を手伝ったりしています。*パルシックのレポートでは、「カフェ・アロマ・ティモール」と訳しています。Lojaは「お店」という意味。

外観

このカフェでは、マウベシ産のコーヒーと、東ティモール産の野菜や果物を使ったスイーツが味わえるほか、アロマティモール商品を通常より安く、好きな量だけ買うことができます。まさに生産者と消費者をつなぐこのカフェは、居心地も最高です。私はたいていカフェで大学の課題をしたり、このインターン日誌を書いたりします。

落ち着いた店内は、作業や友人や家族との団らん、打ち合わせなどに利用されています

私のこのカフェの好きなところは、美味しいコーヒーとスイーツ、そして素敵な店員の方々です。マネージャー、バリスタ、パティシエの役割があり、6人が働いています。 カフェのマネージャーであるトジーさんは、その豊富な経験でカフェ運営を引っ張っています。とても気さくな方で、私と会うと必ずグータッチをしてくれます。 カルメンさんは私の一歳年上で、とても気の合う友人です。ラテアートが上手で、よくスワンを作ってくれます。私にも教えてくれるのですが、一向に上達しません。

ナンドさんは他店での経験も多く持つバリスタで、お客さんがいないときはよく歌っていて面白いです。小柄ですがとても力持ちで、毎週の買い出しを担当しています。 アタさんはバリスタとパティシエを兼任する器用な方です。お店が暇なときには、私にテトゥン語を教えてくれます。先日オフの日に可愛い娘さんを連れて来ていました。

機械とドリンクメニュー。私はカフェモカが好きです

スイーツは毎日朝から、時間をかけて丁寧に、しかしとても慣れた手つきで作られています。 ルシアさんはタルトの生地とパンを作るプロです。よく冗談交じりに私に話しかけてくれます。一緒に古着市場に行くと誰よりも真剣に服を探す、お洒落で優しいお姉さんです。 ネンシアさんはいつも私を気にかけてくれるチャーミングで面白いお姉さんで、レジ前によくいます。器用な手先で次々とお菓子を作る姿はとてもかっこいいです…

バラエティ豊かなデザート。どれも絶品です

私は残りのインターン期間で、このカフェを生産者と消費者をより繋げられるような、生産地の情報をより発信できる場にできたらと考えています。皆さんも東ティモールを訪れる機会があれば、ぜひ私たちのカフェにいらしてください!

左上から時計回りにカルメンさん、ナンドさん、私、トジーさん、ルシアさん、ネンシアさん、アタさん

(インターン 黒沢舞衣)

インターン黒沢 東ティモール日誌Vol.7 マウベシのコーヒーをカッピング!へ

インターン黒沢 東ティモール日誌Vol.9 アタウロ島のふりかけ工場へへ

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コカマウとの深煎りな日々⑩~コーヒー畑の改善事業4年目へ https://www.parcic.org/report/timor-leste/timor_coffeefield/22008/ Mon, 13 Feb 2023 09:30:35 +0000 https://www.parcic.org/?p=22008 アイナロ県マウベシ郡でのコーヒー畑の改善事業は2022年11月で4年目に入りました。3年目までに237世帯がこの事業に参加し、古くなったコーヒーの木の台切りや、新苗の植え替えなどをしてコーヒー畑の若返りを進めています。

事業開始から活動を継続しているリタ集落のクレメンティーノさん

2022年はコーヒーの裏作の年に当たり、さらに天候不順により収穫初期にひと月に渡り大雨が続いたため収穫前のコーヒーの実が落ちてしまい大不作の年となりました。 2019年に台きりを始めたコーヒーの木にコーヒーの実がなっているのも確認ができていたのですが、これらも加工まで進めることができず、事業の達成状況の確認は次の収穫期に持ち越しになりました。しかし、私たちの活動は確実に各集落で浸透してきています。

巡回モニタリングの様子

2022年9月には、新型コロナウイルス感染症拡大の影響で中断していた専門家の招聘を再開、約1か月半の滞在で3年間の進捗を実地で確認してアドバイスをもらいました。また、カッピングと呼ばれる品質チェックのテイスティングを実施し、どのサンプルも問題がないことを確認してもらいました。

パルシックスタッフのネルソンが専門家のアドバイスを農家さんに伝える

首都ディリのカッピングラボでのカッピング(品質チェック)の様子

4年目に当たる2023年は、各集落から2名ずつの56世帯を加えてコーヒー畑の改善活動を進めていく予定です。 2023年1月からは例年通り事業に参加する新規メンバーの登録とGPSを使った各圃場の調査を進めています。

各集落でヒアリングをしながら調査を進めます

東ティモール政府は2022年度補正予算で、東ティモールコーヒー協会をパートナーとし、8,000ヘクタールのコーヒー畑を改善することを決めました。コカマウ(マウベシコーヒー生産者協同組合)の中でも当事業と政府事業を並行して実施していくことになります。それぞれの活動を通してコーヒー農家間で混乱が生じることのないよう、新苗の植え替えと台きりを組み合わせながらマウベシ全体のコーヒー畑の若返りを図っていきます。

古くなった木を切りコーヒー畑を整えていきます

1月18日には2023年に入って初のコカマウ代表者会議が行われ、そこで本事業で作成した3本のビデオのお披露目会がありました。 初年度から積極的に活動を継続しているモデル農家3人が出演して、組合員向けに畑の改善方法やここまでの活動成果がまとめられています。

農家さん向けに3本とも公開するのはこれが初めてでした。 映像を通してですが、各集落の代表者たちはモデル農家の畑の様子に興味津々で、自分たちの集落でもこのような活動をしていくのだというポジティブな声も聞くことができました。

前のめりになってビデオを見る集落の代表者たち

5か年計画のコーヒー畑の改善事業も残り2年を切りました。 1年目から継続してきた内容がコカマウ組合の中でもかなり浸透してきて、今年でコカマウ組合に所属しているコーヒー農家全体のほぼ半分の農家がこの事業に参加することになります。

集落ごと、コカマウ全体で助け合いながらコカマウの農家たちが自立的に畑の改善を継続してコーヒー生産に取り組んでいけるような環境づくりを進めていきます。

2022年からコカマウに加入したマウンレテ集落の皆さん

コーヒー畑の改善事業で制作した動画(全編テトゥン語)

1. コーヒーの木の台切り、畑の改善

2. 苗の定植、畑の開墾

3,2022年の成果

(東ティモール事務所 工藤竜彦)

※この事業はJICA草の根技術協力事業の業務委託を受けて実施しています。

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