食べる – 特定非営利活動法人パルシック(PARCIC) https://www.parcic.org 東ティモール、スリランカ、マレーシア、パレスチナ、トルコ・レバノン(シリア難民支援)でフェアトレードを含めた「民際協力」活動を展開するNGO。プロジェクト紹介、フェアトレード商品販売など。 Thu, 03 Jun 2021 10:07:45 +0000 ja hourly 1 https://wordpress.org/?v=6.4.1 レバノンのラマダン、スイーツな日々 https://www.parcic.org/report/syria_turkey_lebanon/syrian_refugees_eat/19223/ Thu, 03 Jun 2021 09:51:47 +0000 https://www.parcic.org/?p=19223 レバノンでは1か月のラマダン(断食)が5月12日に終わりました。ラマダンの最中は、いつもだと飲食が出来る日没後から日の出までの間、人びとは日没の食事(Iftarイフタール)後にカフェで友達と会って夜遅くまで楽しんだり、店も深夜まで開いてるためショッピングを楽しんだりします。しかし、今年は新型コロナウィルスの影響で、夜9時30分から翌朝の日の出まで外出禁止令がレバノン全土で出ていたため、多くの人は日没後も家で過ごしたとても静かなラマダンでした。そのラマダン期間中に食べたレバノンの食事をちょっと紹介。近所のパン屋の人がラマダン期間中特別に、普段はメニューにない料理を作ってくれました。

Khabisa(ハビーサ):ローズウォーターの甘さと香りが効いたゼリー 材料:コーンスターチ、砂糖、ナッツ、ローズウォーター

Mufattaka(ムファッタカ):もち米を使わないが食感は餅のようで、ターメリックスパイスの香りが効いている。 材料:米、砂糖、タヒーニ(ゴマソース)、ターメリックスパイス

Sfouf(スフーフ):ターメリックスパイスが効いたスポンジケーキ 材料:セモリナ粉、タヒーニ、ベーキングパウダー、牛乳、砂糖、ターメリックスパイス

yaqTeen keppe (ヤクティーン キッペ):通常キッペ(ブルゴル米とラムの挽き肉を揚げたもの)にはカボチャは入っていないのですが、特別にカボチャのキッペを作ってもらいました。時期でないためとてもカボチャが固く、手をけがしてしまったそうです。翌日にはカボチャのスープも作ってもらいました。 材料:かぼちゃ、ひき肉、玉ねぎ、ギーオイル、スパイス、ブルゴル米、ヒマワリの種

Meghli(メグリ):ベイルートで有名なプディングのお菓子。赤ん坊が生まれた時に食べるお菓子。 材料:米粉、砂糖、シナモンパウダー、キャラウェイの種、アニスの種、ココナッツパウダー、ピーナッツ

Roz w haleb(ロズ ウ ハリーブ):ミルクプディング 材料:米、ミルク、砂糖、コーンスターチ

Mamoul(マムール):ラマダン終了後の翌日のイードの祝祭で食べるクッキー 材料:セモリナ粉、バター、イースト、ローズウォーター、ウォールナッツ、砂糖、ミルク

(レバノン事務所 大野木)

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シリアの冬に欠かせない保存食「マクドゥース」 https://www.parcic.org/report/syria_turkey_lebanon/syrian_refugees_eat/18282/ Wed, 09 Dec 2020 07:27:20 +0000 https://www.parcic.org/?p=18282 シリアの首都ダマスカスや、その周辺の地域では、9月ごろに収穫したナスをオリーブ漬けにした『マクドゥース』を作ります。冬になると天候が悪くなり野菜がとれなくなることから、秋に保存食を作り、冬から春にかけて食べるのです。

パルシックのスタッフによると、マクドゥースはダマスカスが発祥の地で、各地に広まったそうです。レバノンでもシリアと同じくこの時期にナスの収穫後マクドゥース作りをしている家庭もあります。

今日は、シリアの冬の食卓に欠かせない『マクドゥース』の作り方を紹介します。

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材料(5人家族のスタッフが冬と春に必要な分のマクドゥース)
1.ナス30キロ
2.にんにく500g
3.くるみ2キロ
4.チリペッパー20キロ
5.オリーブオイル4リットル
6.塩500g
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1. ナスを鍋にいれ弱火で煮て柔らかくします。(写真:Aljazeeraより)

2. 一度鍋から出して冷まします。( 写真:Aljazeeraより)

3. ナスに切り込みを入れて塩を塗り込みます。2日間寝かせて水分を出します。(写真:Aljazeeraより)

4. ナスに詰めるための詰め物を準備します。チリペッパーから種を取り出し、2日間天日干しにし、砕いたニンニクとナッツを混ぜ合わせます。(写真:Aljazeeraより)

5. ナスの切り込みに詰め物を詰め1~2日間寝かせて、水分を出し切ります。最後に容器にナスをいれ、オリーブオイルを容器いっぱいに流し入れ出来上がり。(写真:Aljazeeraより)

6. スタッフの家で今年作ったマクドゥース。シリア人は、冬の寒さに負けないためにマクドゥースが健康にいいと思っています。

シリアには2種類のナスがあり、1つは日本で目にする細長い黒いナス。もう1つは小ぶりで少し薄紫色のナス。マクドゥースには後者のナスが適しています。

シリアでは、長期化する紛争により失業率が上昇し、欧米からの経済制裁により物価が上昇するなど、人びとの生活状況は依然として厳しいままです。

生活環境の変化に伴い、マクドゥースの材料も少しずつ変化しています。紛争前は、1 キロ500シリアポンド(約100円)で購入できたナスが、現在1キロ5,000シリアポンドに値上がっています。高価なオリーブオイルの代わりに安価な菜種油を使ったり、詰め物のくるみの代わりに安い別の豆類を入れて工夫している世帯もあります。材料が手に入る世帯は、新たに生計を支えるための手段として、マクドゥース生産を始めマーケットで売ったりもしています。冬になると天候が悪くなり、日雇いの仕事が減ることもあるので、収入がなくても食事がとれるように、マクドゥースを作る家もあります。

マクドゥースは、ぶにゅっとしたナスの食感に、少し酸味があり、シリアでは朝ごはんにパンにはさんで食べたりしています。

なかなか簡単に作ることはできませんが、ご興味がある方は是非ご自宅で作ってみてください。

(レバノン事務所 大野木)

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レバノンの山田君 ~インターン日誌~ Vol.2 日帰り旅行、西ベカー編 https://www.parcic.org/report/syria_turkey_lebanon/syrian_refugees_eat/15009/ Fri, 26 Jul 2019 06:53:06 +0000 https://www.parcic.org/?p=15009 みなさんこんにちは、インターンの山田です。

レバノンは毎日暑い日が続いています。天気予報を見なくても常に晴れなので、洗濯物を干すのにはぴったりな環境ですね。レバノンにはきれいなビーチがいくつかあるらしいので、パソコンに向かうだけではなく、たまにはビーチでリラックスする日があってもいいなあと思っているところです。

先日オフを利用して、ベカー県西部へのグリーンツーリズムに参加しました。グリーンツーリズムとは、豊かな自然や地産の農作物を楽しむ旅行のスタイルです。日本でも旅行会社がよく、さくらんぼ狩りツアーなどを催行していますよね。あとは、中学生が学校のプログラムで行くような農村でのホームステイなんかもこのジャンルに分類されます。

まず向かったのは、小さな果樹園。ここでは果物狩りということで、梨やプラムなどを収穫したり、桃をその場でかじったりしました。一番おいしかったのは「マルベリー」という果物。ラズベリーに似た外見ですが、酸っぱさはあまり感じず、むしろ非常に甘くて食べやすかったです。ほかの参加者を見ると、ジュースにでもするのでしょうか、持ち帰り用のかごいっぱいにどっさりと摘んだ実を入れていました。マルベリーを摘むと、実から赤い果汁が大量に飛び散ります。みなさんも食べるときは気を付けてください。

美味しそうに実っているマルベリーの実。赤い実はとても酸っぱいので注意。

おいしそうに実っているマルベリーの実。赤い実はとても酸っぱいので注意。

このマルベリーの樹、日本では聞いたことないなぁと思っていましたが、実は違う名前でよく知られていました。それは、蚕が葉を食べることでも知られる「桑」。うーん、桑の実よりもマルベリーという名前の方が、なんとなくおしゃれで若者ウケもよさそうじゃないですか?ちなみに、食べるのは黒くなった実だけで、一見おいしそうに見える赤い実はとっても酸っぱかったです。

その後チーズ工房を見学したり、その地域だけのローカルな料理をいただいたりしました。そして最後に向かったのは、ワイナリー。レバノンはワインづくりに適した気候で、近年国内での消費量や海外への輸出も増えているそうです。今はまだ収穫の時期ではありませんが、ブドウがしっかりと実っているのがわかりました。ワインはとても飲みやすく、おいしかったです。

ブドウ畑の様子。収穫後ワインになるまでさらに数年を要します。

ブドウ畑の様子。収穫後ワインになるまでさらに数年を要します。

食を堪能した素敵な週末になりました。山を楽しんだので、冒頭で述べたように次は海ですかね。あとは少し涼しくなったら、世界遺産の遺跡も行ってみたいと思います。

レバノンの山田君 ~インターン日誌~ Vol.1へ

レバノンの山田君 ~インターン日誌~ Vol.3へ

(インターン 山田蒼太

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シリア南東部 デリゾールのトリュフご飯 https://www.parcic.org/report/syria_turkey_lebanon/syrian_refugees_eat/14595/ Tue, 02 Apr 2019 11:32:23 +0000 https://www.parcic.org/?p=14595 パルシックの活動地、トルコのシャンルウルファでは、日本で高級食材として知られているトリュフが採れます。トリュフの山での収穫期は3月と4月の2か月間で、地元のマーケットではこの時期に1kg 約100リラ(約2千円)で購入することができます。

このトリュフはトルコ語ではケメ(Keme)と呼ばれています。2019年現在、シャンルウルファにいる多くのシリア難民はシリアの南東部のデリゾール県から避難してきており、スタッフから聞くところによると、なんとそのデリゾール県でもトルコと同じ時期にトリュフを収穫できるとのこと。デリゾール県ではチャマー(Chama)と呼ばれていて、砂漠で採れるのだそうです。

今回は、デリゾールで食べられているトリュフご飯をご紹介します。

長いお米を洗い、鍋で調理していきます

長いお米を洗い、鍋で調理していきます

肉は羊の肉を使います

肉は羊の肉を使います

羊乳バター(Ghee/ギー)をいれます

羊乳バター(Ghee/ギー)をいれます

羊肉を炒め、塩とスパイスで味付けし、そこに切ったトリュフを入れます

羊肉を炒め、塩とスパイスで味付けし、そこに切ったトリュフ(チャマー/Chama)を入れます

できあがり(手前の鍋)

できあがり(手前の鍋)

 

トリュフ自体に余り味はなく、何となくマッシュルームが入っているご飯のような感じでした。

(トルコ事務所 大野木)

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シリアのダマスカス名物シャクリヤ https://www.parcic.org/report/syria_turkey_lebanon/syrian_refugees_eat/13224/ Sat, 12 May 2018 01:18:01 +0000 https://www.parcic.org/?p=13224 シリアで、ラマダン(断食)の1日目やラマダン明けの祝祭時に、家族揃って食べられる料理をご紹介します。

白いシャクリヤから連想される「純粋」なイメージから、ダマスカスやアレッポでは、ラマダンやラマダン明けの祝祭時の初日に食べることがあります。日本でも手に入る食材で作ることができます。ぜひお試しください。

シャクリヤの作り方

材料

  • ヨーグルト
  • コーンスターチ(とろみ付け、少々)
  • 塩(少々)
  • 鶏肉

作り方

  1. 鍋にヨーグルトと水とコーンスターチを混ぜ、好みのゆるさになるまで弱火で煮詰め、塩を好みで加える。
  2. 鶏肉は一口大にして火を通し、鍋に加え、鶏肉に味がしみてきたら火を止める。
  3. 器にご飯を盛り、その横に出来上がったシャクリヤを添える。
  4. シリア北部のアレッポでは、香り付けとしてニンニクとミントを入れます。お好みでどうぞ!

シリアやトルコでは、ライスに短いパスタを一緒に入れて鍋でご飯を炊きます。
パスタの種類は、ソモリナ粉で作っているドゥルム ブダイ(トルコ語でdurum buğdayı)が使われます。

ライスと一緒に炊くドゥルム ブダイ

ライスと一緒に炊くドゥルム ブダイ

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食べ物から見える中東(パン) https://www.parcic.org/report/syria_turkey_lebanon/syrian_refugees_eat/13097/ Thu, 08 Mar 2018 05:32:02 +0000 https://www.parcic.org/?p=13097 レバノンのスーパーマーケットの入口では必ず、袋入りのホブズ(ピタパン)が山積みされています。小麦の栽培が古代エジプトで始まり、中東で誕生したといわれるパンは、毎日の食卓に欠かせません。それだけにパンの価格は人びとの生活に影響を与えかねず、中東各国では政府補助金によって、パンの価格を低く抑えてきました。

シリア人の家庭ではごはんもパンで包んで食べます。パンは欠かせません。

シリア人の家庭ではごはんもパンで包んで食べます。パンは欠かせません。

美味しいパンを安く買えるのは嬉しいことですが、例えば、 世界最大の小麦輸入国であるエジプトでは、観光客減少や外貨不足の中、補助金が大きな財政負担となっており、500万人の難民や外国人労働者を抱えるヨルダンでは今年、 ついにパンへの補助金を打ち切り、パン価格を最大100%引き上げることにしましたが1、パンの値上げはこれまで数多の暴動を引き起こしてきました。

一方、150万人のシリア難民やパレスチナ難民と膨大な累積債務を抱えているレバノンでは、パンの価格は1袋1ドルに保たれています。しかし、1袋の重量は1,500g(2005年)から年々減量され、今では1袋900gです。レバノン政府がこのような価格固定政策を行えた理由の1つは、パン製造の機械化の普及にあるかもしれません。パルシックが支援している難民キャンプ内のパン工場も、機械でサイズや重量を自動調整し、均質なパンを製造することができます。

手作りのパンを売る小さな店は、スークでもあまり見かけなくなりました。しかし、今も昔ながらの釜で一枚一枚焼いてくれるのが、マナイーシュ屋さんです。マナイーシュとは、チーズやひき肉などの具材をトッピングして窯で焼いたパンで、キュウリやトマトを挟んだり、異なる具材を組み合わせたりと、オーダーも自由です。薄い生地を球形の鉄板で焼いたサージと呼ばれるパンも、人気があります。お客さんで賑わうカウンター越しに、パンが焼きあがるのを待つのは楽しいものです。

マナイーシュ屋さん。薄いパン生地で、ほうれん草を餃子のように包んでいます

マナイーシュ屋さん。薄いパン生地で、ほうれん草を餃子のように包んでいます

マナイーシュの種類はいろいろ。300度の釜で一気に焼きあげます。

マナイーシュの種類はいろいろ。300度の釜で一気に焼きあげます。

お豆腐のような、真っ白いレバノンのチーズはコクがあって美味です。

お豆腐のような、真っ白いレバノンのチーズはコクがあって美味です。

中東では、パンは命の糧といっても過言ではありません。また、パンを得るのは時に命がけでもあります。イスラエル侵攻下のパレスチナでは、人びとは身の危険を冒してパン屋へ向かい、内戦時のレバノンでは、パン屋で並ぶ人びとは銃口を向けられ、食糧を分捕られました。そしてシリアでは、パン屋で並ぶ人びとは空爆の標的になり、今も虐殺の続く東グータではパンの価格は平均価格の22倍に跳ね上がり、食糧 は人びとに届いていません。

2018年3月でアラブの春から8年が経ちますが、その背景には、2007年から2008年の食糧価格高騰があると言われています。エジプトはじめ小麦を輸入に頼る中東各国では、世界の穀物価格の高騰が打撃となります。今や穀物は燃料や投資対象としても利用され、例えばバイオエタノール用のトウモロコシ栽培の増加で穀物生産量が減少したことや、サブプライムローン問題により証券から農産物の先物取引へ投資マネーが流れたことなどが、価格高騰の要因になりました。

小麦とパンの発祥の地で、一切れのパンも得られない人びとがいることは何とも辛いことですが、中東で起きていることは決して遠い場所の話ではありません。パルシックも、レバノンのシリア難民キャンプでパンを製造し配布することで、命の糧をつなぐ取り組みを行っています。

パルシックが支援するパン工場で製造したパンで、シリア人のお母さんたちがサンドイッチを作っています。

パルシックが支援するパン工場で製造したパンで、シリア人のお母さんたちがサンドイッチを作っています。

1.ヨルダン政府は今年1月16日、各種生活必需品・サービスの値上げを伴う一般予算法を可決した。小麦1kg当たりの価格は0.25JODから0.4JOD(60%増)、ピタパンの値段は2倍となる。1JOD=0.7USD
2. Bread Price Capping Policy。レバノン財務省が策定した、パン1袋の価格をLL1,500(1USD)に固定してパンの補助を行う政策。詳細はhttp://www.finance.gov.lb/en-us/Finance/Rep-Pub/DRI-MOF/Thematic%20Reports//Thematic%20Report%20Wheat%20subsidy%20Final%202.pdf
3. BBC News, 2018/2/22 https://www.bbc.com/news/world-middle-east-43148010

(レバノン事務所 白井)

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シリアの味や香りをトルコで −トルコで買えるシリアの品々− https://www.parcic.org/report/syria_turkey_lebanon/syria_humanitarianaid/8869/ Thu, 24 Mar 2016 09:46:45 +0000 https://www.parcic.org/?p=8869 シャンルウルファ県では市街地でも農村部でも、歩いていれば必ずアラビア語を耳にし、シリア人経営のレストランやちょっとしたカフェ、商店も簡単に見つけられます。

それでも、ここはあくまでトルコ。生活必需品や食品の多くは、トルコ産のものになります。

シリア人家族が食糧バウチャーを利用できるハラン市の契約商店でも、ほとんどの商品はトルコ産。

そんな店内でもシリアの人びとのために、シリアからやってきた品々が陳列されている棚があります。

否応なく異国で長く滞在しなければならないシリア人家族が、家庭でひとときの安らぎを感じられる味や香り。今回はそんな品々をご紹介します。

オリーブオイル

1リットル500円ほどのシリア産のオリーブオイル

1リットル500円ほどのシリア産のオリーブオイル

 

紛争下にありながら、世界のオリーブオイル生産量第4位を誇るシリア。

特にシリア南西部のダルアー県はオリーブオイル生産地として有名です。サラダや炒め物にはもちろんのこと、シリアパン(直径30cm、厚さ5mmほどの平べったい丸型パン)につけただけで、ごちそうになるほどの香りの良さです。

オリーブオイルに砂糖を少々加えパンにつけて食べるシリア人もおり、オイルのまろやかさと甘さが引立ち、フレッシュな味と香りを楽しむことができます。

ファラーフェル

商店で売られているファラーフェル粉

商店で売られているファラーフェル粉

シリア人スタッフのムナが作ってくれたファラーフェル。野菜のピクルスと一緒にいただく。

シリア人スタッフのムナが作ってくれたファラーフェル。野菜のピクルスと一緒にいただく。

 

パレスチナや他の中東諸国でも一般的に食されているすり潰した豆のコロッケ。

ヒヨコマメを使うか、ソラマメを使うかは国や地域によって異なり、どんな香辛料を加えるかによって風味や食感も多彩になります。

国、地域、飲食店、家庭により、まったく味が異なる体験をすることは稀ではありません。

家庭で簡単に作る時には、ファラーフェル粉を水で戻し、専用の成型器で押し出しながら油に落とし揚げていきます。

揚げたてのファラーフェルは食べ始めると止まらなくなってしまうおいしさ。時間がたっても、シリアパンに潰したファラーフェルとトマト、イタリアンパセリ、ピクルス、ソースなどを載せ巻き上げれば、おいしく腹持ちのよいファラーフェル・サンドイッチのできあがりです。

ザータル

ゴマがたっぷり入ったザータル

ゴマがたっぷり入ったザータル

 

基本的には乾燥した粉末状のタイムに塩やオリーブオイル、ゴマを加えたもので、他のスパイスを調合したものもあります。

タイムの香りにゴマの香ばしさが加わり塩分と多少の酸味が調度良く、食欲をそそるスパイスです。

シリアパンにオリーブオイルを少量つけた上に、ザータルをつけて食べるのが一般的です。

(ムルヒーヤ)モロヘイヤ

ニンニクやレモン汁を加え炒めたムルヒーヤ

ニンニクやレモン汁を加え炒めたムルヒーヤ

 

トルコの商店で販売されているのは乾燥状のものですが、シリアでは自分で育てて使用する家庭も多いようです。

収穫期の夏にはフレッシュなままで使用し、保存用に乾燥させて冬でも楽しむことができます。

ニンニクやレモン汁、好みで鶏肉を加えて炒め、炊いた米やシリアパンと一緒に食べます。

マルタデッラ

マルタデッラとチーズを挟んだサンドイッチは朝食向き

マルタデッラとチーズを挟んだサンドイッチは朝食向き

 

パレスチナの朝食にもよく登場する鶏肉または牛肉のソーセージで、缶詰状になっています。
炒めた卵などといっしょにシリアパンに挟んで、サンドイッチにして食べることが多いようです。

サーディン

なぜか「青年たち」という商品名のサーディン

なぜか「青年たち」という商品名のサーディン

 

缶詰状になったイワシのオイルサーディンで、レモンを搾りシリアパンと一緒に食べます。
トマトやヨーグルトと一緒に食べるシリア人もいます。

ドゥミ

インドネシアが発売元だが、トルコ語で「野菜味インスタント麺」と書かれている

インドネシアが発売元だが、トルコ語で「野菜味インスタント麺」と書かれている

 

日本でいうインスタントラーメンですが、パンが主食のシリア人でも多くの人びとが好んで食しています。

袋には乾麺と袋入りのだし、スパイス、オイルが入っており、野菜や鶏肉だしのあっさりしたスープにスパイシーな辛みがある味付けです。具材をのせず麺とスープだけで食べることが多いようです。

シリアコーヒー

袋詰めにされたシリアコーヒー粉

袋詰めにされたシリアコーヒー粉

 

いわゆるアラビック・コーヒーと呼ばれるもので、粉末状のコーヒー豆にスパイスを混ぜ、専用の小さな鍋で湧かしたものです。

小さなカップにそのまま注ぎ、上澄みを飲みます。混ぜるスパイスはカルダモンやサフランで、すでに調合されたものが販売されていますが、好みに合わせて自分で調合する人もいます。

トルコ・コーヒーと似ていますが、トルコ・コーヒーは基本的にスパイスを混ぜず砂糖を多く入れ、注ぐと泡立ちが多くよりなめらかな口当たりになります。

紅茶

シリア人に人気の「エル・ルハ」の紅茶

シリア人に人気の「エル・ルハ」の紅茶

 

日常的に最もよくシリアの人びとに飲まれているのが紅茶。たっぷり砂糖を入れて飲むのが一般的です。

一言に紅茶といっても、トルコで飲まれているものよりも茶葉が大きめの特定の茶葉でないと、「紅茶」と言えないようです。

シリア人のどのお宅に訪問しても、小さなグラスに入った紅茶がもてなされます。

マッタ(マテ茶)

専用ストローで飲むマテ茶

専用ストローで飲むマテ茶

 

コーヒーや紅茶ほどの需要はないものの、マテ茶もシリアの人びとから愛飲されています。

紅茶よりも茶葉の香りは青々しく、茶葉を入れたカップにお湯を注ぎ、専用の金属製ストローで飲みます。

専用ストローは先端が袋状で小さな複数の穴が開いており、茶こしの機能を兼ね備えています。

ズフーラ(ハーブティー)

色とりどりの草花が入ったズフーラ

色とりどりの草花が入ったズフーラ

 

アラビア語で「花々」と呼ばれているハーブティーは、見た目も美しい花々のお茶です。

バラ、カモミール、ミント、セージなどが入っており、春に収穫されたこれらハーブを乾燥させて作ります。

冬でも春の香りを感じられリラックス効果のあるお茶ですが、胃痛や生理痛などを緩和させる、薬効茶としても愛飲されているそうです。

マーア・ザフル

華々しい「王族」という商品名のマーア・ザフル

華々しい「王族」という商品名のマーア・ザフル

 

バラやカモミールの花々からとれた、アラビア語で「花の水」と呼ばれるエキス。主に米を使ったお菓子づくりに、香りづけとして利用されます。

女性は化粧水やスキンケア・マスクとしても利用しているそうです。

 

シリアの人びとが生活の一部として日常的に食していたこれらの生産物ですが、紛争後にはシリア国内での価格が高騰し、4倍から5倍で売られているものもあるようです。

トルコでの販売価格は、紛争前のシリア価格よりも高いものの、現在のシリア価格よりは安いこともあります。

慢性的な食糧不足下では、最低限の食糧しか手に入れることができません。また老齢の方は特に、これらの味や香りから強くシリアを感じ、郷愁をいだき悲しみも味わうことがあるそうです。

以前のように食事を「楽しむ」までには、まだまだ時間がかかりそうです。

(シャンルウルファ事務所 高田)

 

※この事業は、サポート・トゥ・ライフ(Support to Life)の協力のもと、ジャパンプラットフォームの助成により実施しています。

https://www.japanplatform.org/programs/syria-iraq-conflict2015/

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