トルコにおけるシリア難民支援事業 – 特定非営利活動法人パルシック(PARCIC) https://www.parcic.org 東ティモール、スリランカ、マレーシア、パレスチナ、トルコ・レバノン(シリア難民支援)でフェアトレードを含めた「民際協力」活動を展開するNGO。プロジェクト紹介、フェアトレード商品販売など。 Fri, 08 Mar 2019 06:43:00 +0000 ja hourly 1 https://wordpress.org/?v=6.4.1 トルコでの越冬支援 子どもの防寒着配布 https://www.parcic.org/report/syria_turkey_lebanon/syria_humanitarianaid/14540/ Fri, 08 Mar 2019 06:37:18 +0000 https://www.parcic.org/?p=14540 前回のレポートで、2018年12月のシェルターやテントへのブルーシート配布の様子をお伝えしましたが、その後、1月には予定数の配布を完了しました。多くの世帯から、雨漏りがなくなって助かったという声をいただきました。雨漏り問題が無事に解消され、スタッフがホッと一息ついていた頃、また新たな問題が発生しました。厳しい寒さの中、子ども用の暖かな防寒着を持っていないために「子どもが風邪をひいてしまっては困る」と、冬が終わるまで学校へ通学させていない世帯を見つけたのです。

親たちから話を聞いてみると、パルシックの活動地域の村では、多くの世帯が農業や工場での日雇いで収入を得ていますが、冬季は農作業がなく世帯収入が減り、子ども用の防寒着を購入できる余裕がないということが分かりました。通常、国連機関がトルコ全土で越冬支援を行っていますが、今年の冬はシャンルウルファ県での越冬支援は行われず、支援を頼りにしていた世帯はとても困っている様子でした。

訪問先のテントの玄関に散らばっていた子どもたちのサンダル。冬でもサンダルを履いている

訪問先のテントの玄関に散らばっていた子どもたちのサンダル。冬でもサンダルを履いている

パルシックは2018年6月から、シリア人の子どもたちがトルコの学校へ通学できるように、通学登録のサポートをしてきました。すでに通学登録を終えている世帯も増えてきていて、当の子どもたちも学校に通えるのを楽しみにしていることもあり、冬の間でも通学できるよう、子ども用防寒着の購入支援をすることにしました。地元の商店と契約して防寒着が購入できる商品券を配布し、また購入時にはスタッフが商店でトルコ語の通訳をするなどお手伝いをしました。

防寒着購入に関して商店の情報を説明するスタッフ

防寒着購入に関して商店の情報を説明するスタッフ

支援の行き届かない世帯が無いよう、スタッフは一軒一軒村を訪問します。

車で入れない場所にあるシリア人世帯には、歩いて訪問に行きます。

車で入れない場所にあるシリア人世帯には、歩いて訪問に行きます。

購入契約している店舗は街の中心部にあり、子どもたちは普段めったに行く機会のない街に出られること自体も、とても楽しんでいました。

後日、スタッフがそれぞれの村を訪問し、防寒着を購入した子どもたちの様子を見に行くと、きょうだいが多い年下の子どもたちは「いつもはきょうだいのおさがりを着ることが多いから、新しい服が着られてとてもうれしい!」と喜んでいました。

両親と防寒着を買いに来た姉妹。普段街に来ることがないので、様々な商品に興味を示し、手に取っていました。

両親と防寒着を買いに来た姉妹。普段街に来ることがないので、様々な商品に興味を示し、手に取っていました。

購入した防寒着を着ている子どもたち

購入したセーターやベストを着ている子どもたち

購入した防寒着を着ている子どもたち

購入したコートを着ている子どもたち

(シャンルウルファ事務所 大野木)

※この事業はジャパン・プラットフォームの支援によって行っています。

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トルコでの越冬支援 ブルーシートの配布 https://www.parcic.org/report/syria_turkey_lebanon/syria_humanitarianaid/14237/ Thu, 27 Dec 2018 04:40:18 +0000 https://www.parcic.org/?p=14237 2018年に実施してきた子どもたちへの教育支援により、新学年がスタートした時点で入学手続きが完了していなかった子どもたちも、少しづつ学校への入学登録が完了し、通学し始めることが出来るようになってきました。

活動地域のシャンルウルファでは、夏の暑い日差しは既になくなり、12月に入ってから気温は急に下がり、雨の日が多くなってきました。このところ、子どもたちの親から「暮らしているシェルターやテントで雨が降るたびに雨漏りして、子どもが夜もちゃんと眠れません。せっかく学校へ通えても、寝不足で集中して授業が受けられず困っています」という声をよく聞きます。そして実際に部屋を見せてもらうと、天井には雨漏り用のバケツがぶら下がっていて、床にも洗面器が置かれ、生活環境の悪さが目につきました。

2015年よりシャンルウルファで活動をしているため、郊外の村で暮らすシリア人世帯の約70~80%はシェルターもしくはテントで生活をしているのは把握しています。これまで毎年、冬には越冬支援を実施して、雨漏り対策としてブルーシートの配布を行ってきました。どの世帯へもブルーシートは行き届いていましたが、1年間ずっと使用し続けていたので、そろそろ傷んできたり穴が開いてきてしまったりしていることが分かりました。

これからどんどん冬の厳しさが増していきます。この状況を踏まえて、パルシックは今年もブルーシートを配布しました。子ども以上に両親がブルーシートの配布を喜んでくれ「これでようやく落ち着いて寝ることができる」と多くの世帯から喜びの声をもらいました。現時点で、まだブルーシートが必要な世帯が残っているため、引き続き、渡し漏れのないよう配布を続けていきます。

穴が開いたテントで暮らすシリア人世帯

穴が開いたテントで暮らすシリア人世帯

シェルターの屋根部分にシートを乗せ、石を重し代わりにしている世帯

シェルターの屋根部分にシートを乗せ、石を重し代わりにしている世帯

家の中が雨漏りで床が濡れている状況

家の中が雨漏りで床が濡れている状況

雨漏りがするところにバケツをぶら下げている

雨漏りがするところにバケツをぶら下げている

ブルーシートを受け取る子ども。

ブルーシートを受け取る子ども

ブルーシートを受け取る母親。

ブルーシートを受け取る母親

ブルーシートを運ぶ車の前に集まってきた子どもたち

ブルーシートを運ぶ車の前に集まってきた子どもたち

ブルーシート配布中に目にした、ブランコで遊ぶ子どもたち。奥ではスタッフがブルーシートを運んでいる

ブルーシート配布中に目にした、ブランコで遊ぶ子どもたち。奥ではスタッフがブルーシートを運んでいる

(シャンルウルファ事務所 大野木)

※この事業はジャパン・プラットフォームの支援によって行っています。

 

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トルコ:新学年がスタート、子どもたちへの教育支援 https://www.parcic.org/report/syria_turkey_lebanon/syria_humanitarianaid/13790/ Thu, 04 Oct 2018 09:18:49 +0000 https://www.parcic.org/?p=13790 2018年9月、トルコの学校では新学年が始まりました。

パルシックは2018年6月より新規事業として、学校や政府機関、他のNGOと協力して一人でも多くの子どもたちが学校に通えるように支援を行っていきます。

2017年の調査によると、トルコ全体ではシリア人の子どもの約60%が教育を受けていましたが、パルシックの活動地域の村では約40%に過ぎず、半数以上の子どもは学校に通えていない状態でした。その理由は入学の手続き方法が分からない、手続きに必要なID(身分証明書)が取得できていない、学校が遠い、親が就学に消極的など様々です。

パルシックスタッフはこれまで、毎週村を訪問して“チャイルドフレンドリースペース”を提供し、学校に行っていない子どもたちに対して、グループでゲームをしたり、アラビア語の読み書きや簡単な計算を習ったりするレクリエーション活動を行ってきました。村を訪問するのも毎週同じ曜日の同じ時間に設定し、子どもたちが曜日や時間の概念を理解し、生活リズムを身に着けられるよう促しました。孤立した農村の質素な家で過ごすだけの生活しか知らず、これまで学校に通ったことがなく、同年代の子どもたちと一緒に遊ぶ経験すらほとんどない子どもたちにとっては、落ち着いて座っていることや物事に集中して取り組んだりすること、他の子どもたちと仲良く遊ぶことすら新しい経験であり、チャレンジなのです。チャイルドフレンドリースペース活動を通して、子どもたちは集中力や理解力を養い、社会性や協調性といったスキルを身に着け、学校生活に移行する準備を行ってきました。

当初、親たちは子どもの教育に興味を示さない傾向がありましたが、チャイルドフレンドリースペース活動を実施するにつれ、親たちが子どもたちの変化に気づき始め、徐々に教育の重要性を認識するようになりました。

今後は、子どもたちの就学を妨げている原因を一つひとつ解決して、1人でも多く学校に通えるよう、根気強く支援を継続していきます。

ラマダンの時期に送るメッセージカードを作成した子どもたち。

ラマダンの時期に送るメッセージカードを作成した子どもたち。

隣の村の子どもたちに向けてメッセージの作成中。隣の村に想いを馳せることで、子どもたちの世界が広がります。

隣の村の子どもたちに向けてメッセージの作成中。隣の村に想いを馳せることで、子どもたちの世界が広がります。

針を使わず指だけで毛糸を編むフィンガーニッティングにチャレンジ。何かを作り上げる喜びも子どもたちにとっては新しい経験です。出来上がった帽子とマフラーを身に着けて、達成感いっぱい。

針を使わず指だけで毛糸を編むフィンガーニッティングにチャレンジ。何かを作り上げる喜びも子どもたちにとっては新しい経験です。出来上がった帽子とマフラーを身に着けて、達成感いっぱい。

レクリエーション活動と同時に衛生についての啓発活動も行いました。シラミの有無をチェックして、シラミ駆除用シャンプーを配布しました。

レクリエーション活動と同時に衛生についての啓発活動も行いました。シラミの有無をチェックして、シラミ駆除用シャンプーを配布しました。

他にも衛生教育の一環で、除菌用固形石鹸を配布しました。特にテントやシェルターに住む世帯の衛生環境が改善できるよう支援しました。

他にも衛生教育の一環で、除菌用固形石鹸を配布しました。特にテントやシェルターに住む世帯の衛生環境が改善できるよう支援しました。

今年は学校に行きたいと期待に胸をふくらませる子どもたち

今年は学校に行きたいと期待に胸をふくらませる子どもたち

※この事業はジャパン・プラットフォームの助成と、みなさまからのご寄付で実施しています。

(トルコ事務所 大野木)

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トルコ:シャンルウルファ県での食糧支援事業を一旦終了 https://www.parcic.org/report/syria_turkey_lebanon/syria_humanitarianaid/13841/ Wed, 12 Sep 2018 02:47:18 +0000 https://www.parcic.org/?p=13841 2015年10月からシリアとの国境県であるトルコのシャンルウルファ県にて、シリア難民の家族への食糧支援を続けてきましたが、2018年5月をもって食糧支援事業を一旦終了しました。

トルコでは、政府によるシリア難民への社会福祉政策の1つとして、緊急ソーシャル・セーフティ・ネットプログラム(ESSN)を実施しています。これは脆弱なシリア難民世帯を対象に、生活費の補助として毎月1人120リラ(約2,400円)の現金を給付する支援プログラムです。このプログラムの支援を受けるためには、受給資格のある世帯は申請に必要な書類を揃えて役所に提出する必要がありますが、パルシックの活動地域は農村地帯で町の中心地から遠いこともあり、多くの世帯は申請方法が分からなかったり、書類を入手できなかったりして取り残されていました。パルシックは2017年6月から、それらの世帯にESSNプログラムへの申請方法を伝え、申請に必要な書類を揃えて役所に提出できるようにサポートする活動も併せて行いました。彼らがESSNプログラムからの支援を受けられるようになるまで食糧支援も継続しました。その結果、1年間で156世帯(約850名)がESSNプログラムの支援を受けられるようになりました。

活動地域には、農作物の収穫時期に季節労働の働き口を求めて移動する世帯が多く暮らしています。また、家賃が払えなくなって農村に移ってくる世帯や、支援を行っている団体がいるからという理由で移動してくる世帯もいます。期間中にも128世帯が活動地域から引越していき、329世帯が引越して来ました。毎月世帯に変更が生じるため情報収集は大変でしたが、スタッフが2チームに分かれ、手分けをして1世帯も取りこぼすことがないよう注意を払いました。

食糧支援はいったんを終了しますが、同地域では子どもの保護事業は継続して実施しています。これからもシリア難民世帯に寄り添いながら必要なサポートを行っていきたいと考えています。

長い間同じ地域で活動していたので、子どもたちに顔を覚えられ、訪問するとすぐみんなが集まってくれた。

長い間同じ地域で活動していたので、スタッフは子どもたちに顔を覚えられ、訪問するとすぐみんなが集まってくれた。

パルシックの活動地域では多くのシリア難民世帯がこのようなテントやブロックのシェルターを建てて暮らしています。

パルシックの活動地域では多くのシリア難民世帯がこのようなテントやブロックのシェルターを建てて暮らしています。

毎月のバウチャーチャージ日は決まって家族で買い物へ出かけるので、いつもこの日を楽しみにしている女の子

パルシックの食糧支援では配布したバウチャーカードを配布し、そのカードに毎月入金(チャージ)を行いました。各家庭はその金額内で必要な食料をお店で購入することができます。毎月のバウチャーチャージ日は決まって家族で買い物へ出かけるので、この女の子はいつもこの日を楽しみにしている。

バウチャーが使用できる店内に掲げられた事業のポスター

バウチャーが使用できる店内に掲げられた事業のポスター

※この事業はジャパン・プラットフォームの助成と、みなさまからのご寄付で実施しています。

(シャンルウルファ事務所 大野木)

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家族で楽しいひととき -シリア難民家族のためのイベント開催− https://www.parcic.org/report/syria_turkey_lebanon/syria_humanitarianaid/13027/ Thu, 22 Feb 2018 22:30:47 +0000 https://www.parcic.org/?p=13027 シリア難民の子どもたちを対象とした移動式チャイルドフレンドリースペース事業では、学習活動のほか、戦争や避難生活により影響を受けた子どもたちの情緒的安定を目指す、心理社会的活動を実施しています。子どもだけでなく家族や親戚全員がストレスを抱えながら生活する中で、子どもと保護者が日常から逸した特別な時間をもち、一緒に楽しんだり想いを伝え合ったりするきっかけをつくるため、家族を招いた特別イベントを事業対象の各村で開催しました。

イベントに向けて子どもたちからの意見を聞きながら準備し、子どもたちから家族へ手紙を送ることを決めました。男の子も女の子も、絵を描いたり習った文字を使ってメッセージや名前を書いたりと手紙作りにとても興奮し、また何を伝えたら良いのか迷って手が止まってしまう子どももいました。スタッフの声がけで、家族の誰にどんなことを伝えたいかを一緒に考え、次第に各々自分のアイディアで手紙作りに取り組みはじめました。


熱心に手紙作りに取り組む子どもたち

スタッフと子どもたちとの話し合いで、この手紙は家族に内緒にしておくことにしました。手紙のほかに、子どもと家族が楽しく伸び伸びと時間を過ごせるよう、一緒にできるゲームやプログラムを考えました。保護者の方々には事前に文面や電話で連絡し、保護者を含めた集会として日時をお知らせし、参加を促しました。

イベント当日は、農作業や家事の合間を縫ってほとんどの子どもたちのお父さんやお母さんが参加してくれました。イベントの冒頭で、これまでのパルシックの活動や子どもたちの様子を伝えるため、勉強に励んだり、生き生きと遊びを楽しむ子どもたちの写真をスライドで紹介しました。その後、家族ごとに集まって子どもたちが用意した手紙をプレゼントしました。思わぬプレゼントに、保護者の方々はとても嬉しそうに手紙を受け取っていました。特にお父さんたちからは「自分の子どもが文章や絵で気持ちを表現できるようになって、誇りに思う」、「文字を書いたり絵を描いたりできるようになって、子どもの成長を感じる」という言葉が聞かれました。

一方の子どもたちは、自分の作った手紙を受け取ってもらえ、また絵や文字で表現した自分の気持ちが伝わり、恥じらいながらもとても喜んでいました。


手紙や子どもたちの気持ちを受け取るお父さん達

全体の空気が打ち解けたなかで、保護者の方々にも参加してもらい子どもたちとゲームをしました。普段は農作業や家事などで忙しくしており、子どもと”遊ぶ”機会のない保護者の方々は、子どもたちにリードされながらも笑顔で参加し、なにより子どもたちがいつも以上に楽しそうに遊んでいました。


お父さんやお母さんと遊ぶ子どもたち

遊びの後には、親子の関係とコミュニケーションの重要性について描いた数分間のショートムービーを上映し、全員でオープン・ディスカッションを行いました。保護者の方々からは「子どもたちを無視せず、ちゃんと接することが大切だと思った」、「どんなに大変な状況にあっても、子どもたちの生活や未来を失わないために、気にかけて接することが必要だと感じた」という意見が挙がりました。子どもたちからの意見はありませんでしたが、お父さんやお母さんの感想を熱心に聞いていました。


親子関係や家族コミュニケーションについてディスカッション

イベントの終わりには家族の意見や要望を今後の活動に反映させるため、活動に対するフィードバックや家庭での子どもの様子について聞きました。どの保護者の方々からもこの活動に対する感謝の言葉がまず送られ、特に活動が始まってから子どもたちの言動や学力がぐんと改善されたことが述べられました。家庭や日常でも子どもたちがより自信を持って行動し、友好的でなかった子どもたちに友達ができ積極的になったという点が挙げられました。また、子どもが母国語であるアラビア文字を読み書きできるようになることは、すべての家族の願いと期待でした。

最後にスタッフから、子どもたちや保護者の方々に参加のお礼と、素敵な時間を一緒に過ごし、楽しむことができたことに感謝を伝えました。

(シャンルウルファ事務所 サード)

※子ども保護事業はジャパン・プラットフォームの助成と、みなさまからのご寄付で実施しています。

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シリア難民の子どもや保護者の希望を育むチャイルドフレンドリースペース活動 https://www.parcic.org/report/syria_turkey_lebanon/syria_humanitarianaid/13029/ Tue, 20 Feb 2018 02:51:03 +0000 https://www.parcic.org/?p=13029 トルコでは、シリア難民の子どもたちへ教育や心理社会的支援を届ける移動式のチャイルドフレンドリースペース活動を継続しています。活動を開始してから10ヶ月以上が経ち、初めは感情の表出も乏しく、人の話を聞くことや友達と一緒のグループ活動をすることが難しかった子どもたちですが、いまでは協調性をもちながら自信をもって行動できるようになってきました。
今回は当初から活動に参加している、ある男の子を紹介します。

5歳のカーヒル君はシリアのハサカ出身で、3年前にトルコへ避難してきました。幼少期から戦争、避難、難民生活を体験してきただけでなく、先天性の聴覚障がいという困難も抱えています。支援機関から補聴器を得るためトルコの病院で診断を受けたものの、病院でほかの治療が受けられる訳ではなく、また市郊外の農村地の真っ只中で暮らしているため市内の医療福祉機関へ頻繁に通うことはできません。病院の診断によると30%しか聴こえていないとのことで、両親はカーヒル君がトルコの学校に通えるとは考えておらず、村の小学校でも特別支援教育などは実施されていません。


家の前で遊ぶカーヒル君ときょうだい

パルシックの活動が始まる前は近所の友達と遊ぶことも難しく、障がいのため仲間にも入れてもらえませんでした。両親やきょうだいでさえ”聞こえない、障がい者だ”と見なし、カーヒル君が伝えたいことが理解できずコミュニケーションがうまく成立せず、最終的にはお互い叩く、物にあたるなど暴力的な行動となっていました。他の支援機関から支給された補聴器も使い方の説明が十分でなく壊してしまい、不快なノイズ音がするため着用を嫌がり補聴器なしで生活していました。父親が何度か支援機関へ電話をしましたが、連絡が取れませんでした。家族はカーヒル君に話しかけるよりも、身振り手振りだけでコミュニケーションしており、本人も自分が”おかしい”と感じていたためか発声しようとしていませんでした。

訪問当初の私達とのコミュニケーションでは、カーヒル君はいつも恥ずかしがるような笑顔で言葉はありませんでしたが、相手の目や口をみて読み取ろうとしたり、遊びに積極的で人との交流を楽しもうとしたりする傾向がみられました。また、子どもたち全員で発声するときにはカーヒル君も口を開けてなにか言っているようでしたが、個別に指名されると口を閉じてしまいました。


訪問を始めた当初のカーヒル君

週1回のパルシックの活動では個別のスピーチセラピー[1]などは取り入れられませんでしたが、カーヒル君の明るい性格も考慮し、他の子どもたちを含めたインクルージョン[2]活動のなかで本人や周囲が”障がい”を気にせず発達できるようプログラムを考えてきました。学習活動では文字や数字の読み書きと共に発声練習に焦点を当てアウトプットを増やし、遊びの中でも参加することや表現することを大いに褒め、自己効力感(自分がある状況において必要な行動をうまく遂行できる能力を持ち合わせているかの認知)を伸ばしました。また、両親にもカーヒル君の成長を逐次報告し、困難がありながらも発達の素質があることを伝え、積極的に話しかけることや指示を出す時にも身振りだけでなく言葉と共に説明してほしい点などをアドバイスしました。

活動が始まって2ヶ月後、アラビア語文字の発音を練習している際に、指名されたカーヒル君から初めて文字の発声「ba」が聞こえました。その場にいたスタッフ全員が思わず顔を見合わせ、本人の声を初めて聞き喜びと驚きを隠せませんでしたが、他の子どもたちと同じように大いに褒めました。その頃から、ゆっくりではありますが次第に文字だけでなく言葉の発音も聞かれ、「先生」と呼ぶようになりました。何か伝えたい時や文句がある時は、明瞭ではありませんが簡単な文章で身振り手振りを使いながら話すようになりました。学習活動では、答えが分かっていてもいなくても、真っ先に手を挙げています。


家族や友達の前でも堂々と質問に答え、補聴器を付けて活動に参加するように

使っていなかった補聴器は、支援された団体へ改めてコンタクトを取り修理してもらい、パルシックの活動に参加しているときは装着に慣れることから練習を始めました。未だ日常生活で常に装着する習慣はついていませんが、暴れるほど嫌がっていた補聴器を、活動時には自ら着けて参加するようになりました。

[1] スピーチセラピー
難聴、脳卒中の後遺症や失語症、他の精神疾患などにより言語・聴覚・音声の障がいをもった人に対する、スピーチセラピスト(言語聴覚士)による音声や言語、摂食嚥下やコミュニケーション全般に関する訓練・検査・指導

[2] インクルージョン活動/教育
障がい児と他の子どもを分けて教育する分離教育に対して、単に通常活動に障がい児を含めるのが統合教育(インテグレーション)。「インクルージョン」では障がいの有無に関わらず、子どもの個々の違いを認めニーズに対応し、すべてを包み込む活動や共生社会を目指す。対象村の活動では難聴の子どもだけでなく、発達の遅れやコミュニケーション/対人関係の難しさをもつ子どももいるため、全体がそれぞれの困難や強みを受け入れながら学習及び心理社会的活動に参加できるようプログラムを計画。

カーヒル君の母親より

息子の行動の改善は目覚ましく、以前よりも幸せそうで、自信をもって行動しているように見えます。きょうだいとのコミュニケーションも良くなりましたし、他の子どもたちとも遊ぶようになって友人関係を作れるようになりました。なにより言葉を発するようになり、最近では文章を話し、息子のために配慮してくださっている活動の成果だと思います。息子の成長がとっても嬉しいですし、もっと多く訪問して活動を実施してほしいです。


お母さんとのコミュニケーションも増えるように

カーヒル君のように、未だ他に教育や保護支援を受けられないシリア難民の子どもたちがたくさんいます。避難生活を送っているトルコの学校などの公立機関で、彼ら/彼女らが見守られる状況ができるまで、子どもたちの発達や成長を保護していくことを目指します。


1年弱で、ぐんとお兄さんになったカーヒル君

(シャンルウルファ事務所 マフムード)

※子ども保護事業はジャパン・プラットフォームの助成と、みなさまからのご寄付で実施しています。

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トルコ シリア難民の子どもたちと楽しくリサイクル https://www.parcic.org/report/syria_turkey_lebanon/syria_humanitarianaid/12671/ Fri, 24 Nov 2017 04:30:14 +0000 https://www.parcic.org/?p=12671 トルコでは、シリア難民の子どもたちへ教育や心理社会的支援を届けるため、移動式のチャイルドフレンドリースペース活動を4月から実施しています。

事業当初から、活動のなかで子どもたちの水分補給を目的にミネラルウォーターを配布しています。簡易的なプラスチック容器に入った200mlのミネラルウォーターは、トルコの飲食店などで一般的に提供されています。

しかし飲み終えたミネラルウォーターの容器について、子ども保護チームでは当初から懸念をもっていました。事業地のシャンルウルファ県では、市内でもゴミの分別はしておらず、特に村ではゴミを路上に投げ捨てることは一般的で、トルコ人もシリア人もゴミ処理や環境保全に意識が向いているとは言えません。

配布している200mlパック詰のミネラルウォーター。飲み終わったゴミは日常的に道端へ捨てられる

配布している200mlパック詰のミネラルウォーター。飲み終わったゴミは日常的に道端へ捨てられる

水分補給のため毎活動時にミネラルウォーターを配布

水分補給のため毎活動時にミネラルウォーターを配布

このような一般的習慣を考慮し子ども保護チームでは、子どもたちの創造力を促進しながら環境汚染を地域で防ごうと、子どもたちへ“リサイクル”の発想を提案していくことを始めました。まずは子どもたちにゴミの“リサイクル”について説明し、飲み終えたミネラルウォーターのプラスチック容器を、次にどのように使用できるか訊ねてみました。これまでゴミの再利用について気づきがなかった子どもたちも「筆立てみたいにして、ペンや鉛筆を入れられる」、「お金をカップのなかに入れて仕舞っておける」、「容器のなかで花を育てられる」など、次々にアイディアを出し始めました。

子どもたちとの話し合いや村の状況を考慮して、チームではこのプラスチック容器を再利用しながら子どもたちとともにマイクロ・ガーデニングに挑戦することを決めました。村に住むほとんどのシリア人、トルコ人家族は農業で生計を立てており、子どもたちも農作業を手伝っているため植物の栽培は身近に感じることができます。また農業に熟練した両親が活動に参加することができ、子どもたちと一緒に楽しんだりと、家族内のコミュニケーション機会を増やすこともできます。

容器を再利用して植物を育てるというアイディアは、子どもたちの好奇心をそそりました。チームから提供したのは、コットンと種のみ。コットンを使用したのは、種を発芽させるには土よりも容易で、子どもたちが種の変化を観察しやすいためです。種は、簡単に発芽しシリア人家庭で日常的に食されるインゲン豆とレンズ豆を選びました。スタッフの説明を聞きながら、子どもたちひとりひとり自分が飲み終えたミネラルウォーターの容器内にコットンを敷いて種を置き、水を注ぎました。プラスチック容器には自分の名前を書き、みな自分が育てる特別な種を抱えて帰りました。

スタッフから育て方の説明

スタッフから育て方の説明

コットンの上に種を置く

コットンの上に種を置く

種は2週間ほどで発芽し、コットンを敷いたカップから土へ苗を植え替えました。子どもたちの家族も、発芽した苗をコットンから土に移す手伝いに参加したり、子どもたちにアドバイスしてくれたりと活動に積極的に参加してくれました。また、同じ村に住むトルコ人の子どもたちも参加し、興味をもって楽しんでいました。

お母さんも子どもたちと参加

お母さんも子どもたちと参加

畑の隣に子ども達の苗を植える

畑の隣に子ども達の苗を植える

リサイクルカップからぐんぐんと成長した苗

リサイクルカップからぐんぐんと成長した苗

子どもたちからは「自分たちの家の周りに土はあるけど、なにも生えてなくてなんだか寂しかった。家の周りに植物が植えられると嬉しい」、「野菜を植えられると家族で食べることができて、食べ物をもっと増やせる」という声が聞かれました。保護者は「子どもたちが1日中、苗を眺めて育つ様子を観察している。いつになったら食べられるようになるか聞いてくる」と話していました。

ミネラルウォーターを飲みながら、育った苗と一緒に

ミネラルウォーターを飲みながら、育った苗と一緒に

やんちゃな子ども達が種の世話をすることで、子どもたちも成長

やんちゃな子どもたちが種の世話をすることで、子どもたちも成長

育てる楽しさを体験した子どもたち

育てる楽しさを体験した子どもたち

(シャンルウルファ事務所 マフムード)

※子ども保護事業はジャパン・プラットフォームの助成と、みなさまからのご寄付で実施しています。

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シャンルウルファ 家庭菜園の促進 https://www.parcic.org/report/syria_turkey_lebanon/syria_humanitarianaid/12420/ Tue, 24 Oct 2017 05:36:56 +0000 https://www.parcic.org/?p=12420 2015年10月から、シリアとの国境県にあるトルコのシャンルウルファ県にて、シリア難民の家族への食糧支援を続けてきました。テントや土壁の手造りの住居で、農作業をしながら避難生活を送るシリア人家族の生活状況は、支援開始当初から大きくは変化していません。継続的な食糧支援により最低限の食糧は確保され、多くの世帯で子ども用の食品や衛生品などが購入できる余裕もできましたが、慢性的な食糧不足は続いています。パルシックでは、供給される食糧だけでなく、シリア人家族が自家用の農作物を栽培・収穫できるよう、シリア人の食生活や土壌に適した野菜(モロヘイヤ、オクラ、トマト、キュウリ、ナス等)やハーブ(ミント、パセリ)の種を配布し、避難先での家庭菜園の普及も促進しています。

シャンルウルファ県に住むシリア難民はトルコ人が運営する農地で働き、農地の一部を自由に栽培できるスペースとして借りています。その場合、トルコ人農家は大抵、農地にシリア人家族が使うテントやシェルターを建て、家賃や土地代を無料にする代わりに、シリア人に農地の管理をお願いしています。

モロヘイヤは、シリア人はよく鶏肉と一緒に炒めて食べるのですが、トルコの農家ではモロヘイヤを栽培していないため、シリアやトルコ近隣より一般的な野菜と比べて高い価格で輸入されたものを購入しています。しかしパルシックが調査すると、このモロヘイヤの種をトルコ国内で入手できることが分かりました。そこで4月にシリア人世帯に種を配布し、借りている農地の各スペースで栽培を始めました。7月には1回目の収穫ができ、モロヘイヤは収穫してもまたすぐ育つので、どの世帯でも合計5回~6回ほど収穫することができました。

シリアでなじみのある食材を家庭菜園で採れるようになり、どの世帯もとても喜んでいます。

生まれて初めての家庭菜園、近所のトルコ人の農家からアドバイスを受け、トマト、ナス、キュウリを栽培。

生まれて初めての家庭菜園、近所のトルコ人農家からアドバイスを受け、トマト、ナス、キュウリを栽培。

働いているトルコ人の農地の一部を使わせてもらいナスやキュウリの栽培。

働いているトルコ人農家の畑の一部を使わせてもらい、ナスやキュウリを栽培。

家の前の土地を家庭菜園用に区切って使用。

家の前の土地を区切って、家庭菜園に使用。

雇われているトルコ人の農家が、この1列のみ自由に使っていいと言われ、キュウリの栽培。

雇い主のトルコ人農家が1列のスペースを貸してくれ、そこでキュウリを栽培。

4世帯が住む建物にある土地を、4分割してそれぞれの世帯が野菜を栽培している。どの世帯も女性達が家庭菜園を担当。

4世帯が住む建物のまえの土地を4分割してそれぞれの世帯が野菜を栽培している。どの世帯も女性たちが家庭菜園を担当。

配布した種から育ったモロヘイヤ

配布した種から育てたモロヘイヤ

配布した種から育ったオクラ

配布した種から育てたオクラ

配布した種から育ったナス

配布した種から育てたナス

※この事業はジャパン・プラットフォームの助成と、皆さまからのご寄付で実施しています。

(シャンルウルファ事務所 大野木)

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離れていても、つながる体験 −シリア難民の子ども達とラマダーン特別プログラム− https://www.parcic.org/report/syria_turkey_lebanon/syria_humanitarianaid/12413/ Thu, 24 Aug 2017 03:04:39 +0000 https://www.parcic.org/?p=12413 ラマダーンとはイスラム暦のなかでも神聖な第9月の27日間を指し、ムスリムにとって最も大切な義務の1つである断食が日の出から日没まで行われます。ラマダーンは一般的に「断食」のイメージが強くもたれますが、実際は断食だけでなく様々な禁欲の励行や生活摂生が求められ、アッラー(イスラム教の神)への感謝や弱者への共感が励まされます。宗教的な儀式のひとつでありながら、断食明けの1日の初めの食事である「イフタール」は、人びとが集って飲食を共にし、家族いかんに関わらず非常に家庭的な温かみに包まれる時間になります。

このムスリムにとって大切なラマダーンを、難民として避難先のトルコで過ごす子どもたちとも一緒に祝いたい、就学機会がなく、仲間との共同体験ができない子ども達に特別な経験をしてもらいたい、という思いから、子ども保護事業の一環としてラマダーン特別プログラムを実施しました。「ラマダーン」という言葉をひと文字ずつ対象村で装飾・作成し、最後に繋げて「ラマダーン」という1つの作品として完成させ、離れた村で避難生活を送る子どもたちの共同体験を育むというものです。また、作成中の様子や完成後の様子、他村の子ども達へのビデオメッセージを写真や映像として撮影しました。これをスタッフがまとめ映像作品として編集し、各村で上映して、それぞれが繋がってひとつのものを創り上げた感覚を持ってもらえるよう工夫しました。

他の村の子ども達と一緒に完成した「ラマダーン」の絵画作品

他の村の子ども達と一緒に完成した「ラマダーン」の絵画作品

ひとつのものを仲間と創り上げる、という体験が日常で欠けている子どもたちは、1枚の大きな紙に一緒になにかを描く、ということ自体が難しいことがあります。ペンやクレヨンの取り合い、場所の取り合い、役割分担の難しさ、他者に対するコントロール欲求など、学校など年齢に適した社会参加の機会を失い、社会性の学びに遅れがある子どもたちは、1つの活動のなかでも困難に直面することがあります。しかし、スタッフの介入のなか、見守られた環境で作品を制作し、子どもたちは今までになかった体験を楽しみ成功させようと、お互いを尊重して集中して取り組むことができました。

完成した映像作品を鑑賞する子どもたち

完成した映像作品を鑑賞する子どもたち

他村へのビデオメッセージを撮影する際、子どもたちは自分がテレビのスターになったような気分になり興奮が収まらない様子でしたが、スタッフと共に数回のNGカットを乗り越え撮影もこなすことができました。映像作品の上映では「ラマダーン」という文字だけでなく、他村の家屋の様子や子どもたちの身なり・行動にも注目しており、普段は自分の村から出かける機会もない子どもたちにとって、非常に刺激的な体験となりました。

避難先で困窮した生活を送る子どもたちにも、特別な体験、好奇心や希望を育むことのできる体験を、今後もチームスタッフと共に探っていきます。

(シャンルウルファ事務所 高田)
※この事業はジャパン・プラットフォームの助成と、皆さまからのご寄付で実施しています。

 

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シリア人の子どもたちと一緒に、子どもたちのために https://www.parcic.org/report/syria_turkey_lebanon/syria_humanitarianaid/12045/ Sun, 09 Jul 2017 02:30:42 +0000 https://www.parcic.org/?p=12045 トルコでのシリア難民の子どもたちを支える活動では、2人のシリア人スタッフ、シバとマフムードが計画や活動内容を考えています。今回はその2人から、子どもたちと活動する想いを聞きました。

子どもが子どもらしく

(シバ:トルコ事務所、チャイルド・プロテクション・オフィサー)

誰もがそれぞれの人生を生きていて、どんな状況でも一人ひとりの権利が尊重されなければなりません。戦争でさえ、誰からも、その人の権利を奪うべきでありません。子どもは、“子ども”として生きる権利があり、お金を稼いだり食糧を買えるように“おとな”として働くことだけが、尊重されるべきではありません。

“子ども”として、彼ら/彼女らには遊んだり、学んだり、夢を見たり、想像したり、希望を持ったり、自分の感情や意見を表現する権利があります。子ども時代の豊富な経験により、彼らは将来自立したパーソナリティを持つことができます。子ども時代には、恥ずかしがったり、恐れたりすることなく自己表現をしてよいのです。

子どもたちが自尊心を持ち、他者への尊重ができるようになって初めて、異文化社会からも尊重されるようになると思います。

子どもたちの将来、シリアの未来のために

(マフムード:トルコ事務所、チャイルド・プロテクション・オフィサー)

すべての子どもたちはおとなになる前に、天使の心を持っています。私はそんな子どもたちのために、子どもたちと一緒に活動することで自分自身も穏やかな気持ちになることができます。

シリア人の子どもたちは、戦争の後、大変厳しい状況で生活しています。戦争前から、都市部で生活する家族と、農村部で生活する家族では考え方に違いがあり、農村部で生活する保護者は子どもの発達や教育にあまり関心はありませんでした。そして戦争後、家族自身が厳しい経験をし、経済的困難に直面しながら生き抜かなければならなくなり、保護者の子どもへの関心は更に弱くなってしまったように感じます。子どもの権利や発達する可能性が、ますますないがしろにされるようになってしまいました。

私たちの活動は、まだほんの小さなもので、ほんの少しの子どもたちしか対象にできません。しかし私たちの活動を通じて、シリア人の家族が子どもたちの権利や教育、発達、将来を一緒に考えるようになってきています。この活動が長く続けば、私たちはシリア人の子どもたちの将来のため、シリアという国の未来のために、とても大きなことができると確信しています。

多くの支援機関は食糧支援等に事業が集中しており、子どもたちのことを本当に考えているとは思えないことがあります。私は日本のみなさまに支えられながら、子どもたちの生活を大切にし、シリアの再建に希望を持てる活動ができることに、心から感謝しています。

一緒に活動している子どもたちと共に

一緒に活動している子どもたちと共に

(シャンルウルファ事務所 シバ、マフムード、高田)

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