シリア/レバノン/トルコ – 特定非営利活動法人パルシック(PARCIC) https://www.parcic.org 東ティモール、スリランカ、マレーシア、パレスチナ、トルコ・レバノン(シリア難民支援)でフェアトレードを含めた「民際協力」活動を展開するNGO。プロジェクト紹介、フェアトレード商品販売など。 Wed, 15 Nov 2023 02:03:49 +0000 ja hourly 1 https://wordpress.org/?v=6.4.1 [開催報告]トルコ・シリア地震活動報告会 https://www.parcic.org/report/syria_turkey_lebanon/earthquake_turkey_syria/23464/ Fri, 10 Nov 2023 09:48:26 +0000 https://www.parcic.org/?p=23464

10月27日(金)に、『トルコ・シリア地震活動報告会』を開催しました。

報告会では、発災直後に現地へ派遣され活動を行ってきたトルコ駐在の大野木が報告を行いました。

久しぶりの対面のみによる報告会ということで、参加者の方々と直接議論を交えながら会が進行しました。

トルコ・シリア地震

2023年2月6日未明に、トルコ南部のシリア国境近くでM7.8の地震が発生しました。被災者数約910万人、死亡者数約5万人、また多くの建物の倒壊や破損が確認されています。

地震による被害の影響で支援を届けることが困難であり、被災者は冬季の寒さに耐えながらの避難生活を余儀なくされました。

トルコの状況

トルコでは、倒壊した建物が撤去され、跡地にテントやプレハブが設置されました。プレハブに住むことを希望したほとんどの人はプレハブに住むことができています。プレハブ内でお店を開くなど、小規模ながらも徐々に日常生活に戻ることができるよう、復興が進められています。

同時に、アパートやビレッジハウスの建設が急ピッチで行われていますが、十分な戸数を用意するにはまだ時間を要すると考えられます。

届きにくい支援

子どもたちや障がい者、トルコで生活するシリア人、都市部から離れた地域に住む人びとなどは支援を受けづらい状態にあります。

トルコに住むシリア人は越県の際に政府に許可を得る必要があります。しかし、地震発生後、避難のために他県へ移動したシリア人の中には、地震の影響で許可を得られなかった人たちがいます。許可をとらずに移動したシリア人は、政府に知られるのを恐れて政府からの支援を受けられずにいます。そのため、事情があって支援を受けられない世帯に物資を届けました。

また、避難先として住む人が多いプレハブですが、大量生産されたものであるため、障がいのある方などのニーズに応じたプレハブをつくることは難しく、不便な生活を送っている方がいます。

被害の有無、程度に関わらず、村全員を対象に物資を届けました。家が倒壊していない世帯も、倒壊した世帯に台所やシャワーなどを貸すなど、互いに支えあって生活をしています。村の中で区別をしないことで、地震で被害を受けたコミュニティ内で軋轢を生まず、協力して生活していけるようにしています。

生活再建に向けて

家畜の飼育によって生計を立てている世帯では、地震により家畜を飼育する小屋が破損し、寒さと免疫力の低下により、家畜が冬を越せない恐れがでてきています。そのため、冬を迎える前に家畜を売り、廃業する世帯が増えることを懸念しています。パルシックは地元の自治体と連携をとり、家畜が生活できるような大きめのテントを届けられるように準備を進めています。

また、トルコではりんごの生産が盛んで、国外へ多く輸出していますが、震災後にりんごの手入れができず、今年はほとんど出荷することができない状態となっています。りんご生産で有名な「りんご村」は、村全体が大きな被害を受けているため、今後村ごと近隣のビレッジハウスへ移動し、りんごの生産を終えることになる予定です。

シリアの状況

シリアでは内戦が続き人びとは疲弊している中で、今回の地震が発生しました。

パルシックはシリアの提携団体を通して、現地の状況や必要な物資などの情報を確認し、物資の支援や学校・家の修復などを行ってきました。

シリアではオリーブの生産が盛んであり、ヨーロッパ諸国に多く輸出しています。しかし、今回の地震の影響に加え、ヨーロッパの生産量が半減したことで、オリーブの国内の市場価格が上がっています。これを受けて、オリーブの収穫を行う人手を確保し、収穫の支援を行っています。市民がオリーブを買いづらい状況にありますが、オリーブの文化を守っていく必要があります。

また、地震前からコレラが蔓延しており、主に多くの子どもが感染しています。しかし、地震の影響で給水施設の消毒用のポンプが故障してしまいました。そのため、ポンプの交換など衛生環境の改善のために支援を行いました。

感想

トルコ・シリア地震からすでに9か月経過しました。様々な理由で支援を受けられない、または支援が届きにくい人びとがいます。しかし、支援が難しいから諦めるのではなく、支援が必要なすべての人に届ける必要性を強く感じました。

日本国内ではこの地震に対する関心は薄まってきているように感じます。トルコ・シリアは日本から距離が遠い国々であり、実際に直接支援を届けることは難しいですが、現地の状況を伝えるニュースを確認するなど、現地の人びとの状況に関心を示すこと自体が支援や報道をより促進することに繋がると考えます。

(東京事務所インターン 藤川愛永)

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シリア:皆さまのご寄付で給水施設の補修とオリーブ農家の支援を行いました https://www.parcic.org/report/syria_turkey_lebanon/earthquake_turkey_syria/23392/ Fri, 10 Nov 2023 06:48:34 +0000 https://www.parcic.org/?p=23392 2023年2月6日のトルコ・シリア地震から8カ月ほど経ちましたが、シリア北部では震災前から続く紛争による被害もあり、復興はまだまだ時間がかかりそうです。紛争下にあるものの、しばらく治安は安定していましたが、10月上旬からシリア北部で空爆が頻繁に発生し、住民の中には別の地域に避難する人も多く混乱が続いています。

パルシックは、震災直後からシリア北部で被災者支援を行ってきました。最近の活動としては、震災で使えなくなった給水施設の消毒用のポンプを交換したり、今年の冬が終わるまでに必要な量の消毒用塩素を購入したりするなど、シリア北部での衛生環境改善のために皆さまからの寄付金を使わせていただきました。シリア北部では、去年からコレラが発生していますが、消毒用ポンプの修理と塩素消毒液の配付により、コレラの罹患率は大幅に減少しました。

また、シリア北部では10月からオリーブ収穫のシーズンが始まりました。シリア北部はオリーブの有名な生産地で、多くの農家が生活収入をオリーブの収穫に頼っています。しかし今年は、より収入の良い、震災で破損した家屋の修復や新たな家屋の建設に人手が取られてしまい、オリーブ収穫の人手が不足しています。そのため、オリーブ農家は、寒い冬が到来するまでにオリーブの収穫を終えることができるか、とても心配しています。そこで、パルシックでは皆さまからの寄付金で、オリーブ収穫の人手を雇い、500世帯近いオリーブ農家の収穫の支援を行っているところです。

これからも皆さまからいただいたご寄付で、震災で影響を受けた人たちがどんな支援を必要としているか、声をよく聞き、現地提携団体と一緒に、不足している支援を届けていきます。

(トルコ駐在 大野木)

*この活動は皆さまからのご寄付で実施しています。

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トルコ カフラマンマラシュ県の農村地帯での被災者緊急支援 https://www.parcic.org/report/syria_turkey_lebanon/earthquake_turkey_syria/23284/ Mon, 16 Oct 2023 01:35:27 +0000 https://www.parcic.org/?p=23284 カフラマンマラシュ県北西部ギョクスン郡の東部の農村地帯で食料および衛生用品の配付を行うことで、被災世帯の生活改善を目指しています。

被災地の現状

トルコ南東部に位置するカフラマンマラシュ県は、今年2月6日に起こったトルコ・シリア地震の震源地に近く、震災により甚大な被害を受けた県の1つです。県内では約6万8千世帯が住居を失ったと言われています。同県および他被災地では、現在までにトルコ政府が主要都市を中心に大規模な避難施設の設置を行っており、支援活動も主にこの様な施設に対して実施しています。しかし、政府の支援は、郊外や県内遠隔地へ未だ行き届いていないという状況です。

村の人たちの様子

ギョクスン郡東部

パルシックが活動するギョクスン郡東部は、乾燥した気候の平野部と山間部からなり、県内でも有数の農村地帯として知られています。主に小麦、トウモロコシ、テンサイ、りんごといった農作物を生産する農家が多く、また畜産業も盛んな地域です。今回の地震では、特に本震後のマグニチュード7.7を記録した、同県エキノズ郡を震源とする最大余震が起こった断層上に位置するため、大きな被害がでました。点在する村々で多くの住居が倒壊し、多くの世帯が未だ震災後のまま倒壊した家の脇に防災テント・コンテナを設置し生活しています。同地域では、散発的支援活動を除いては、未だ復興を見据えた建設的な支援活動が行われていません。また、村間での支援の相違も見受けられ、特に山間部やその近隣の比較的人口が少なくアクセスが容易でない村へは、被災の規模に関わらず、支援が十分に行き届いていないという状況です。

支援物資を受け取るための登録に集まった人たち

食料と衛生用品配付

この様な状況を鑑み、パルシックでは緊急支援として、ギョクスン郡東部の震源地に近い、特に被災が激しかった9つの村を対象に、食料バスケットと衛生用品の配付を行っています。1世帯4人あたりが1ヶ月に必要な量で計算し、衛生用品に関しては、各家庭内のメンバーが平等に支援を得られるように、特に女性用品と乳幼児とお年寄り用のオムツに重点を置き、定期的な配付を行っています。

食料バスケットを渡しています

トルコでは、現在物価上昇による慢性的なインフレ、それに伴う生活必需品の価格高騰で、国内全土で一般家庭への経済的負担が大きくなっています。本事業対象地では、今回の地震で住居倒壊の他、畜舎の倒壊により家畜を失うなど、これまでの生活基盤を無くした世帯が多くあります。この様な状況に対し、食料と衛生用品といった生活必需品の配付を通し、被災世帯の経済的負担をできる限り減らすことができればと考えています。

トルコ・シリア地震緊急支援 寄付ページへ

(トルコ事務所 土橋弘)

*この事業は、ジャパン・プラットフォームの助成と皆さまからのご寄付で実施しています。

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震災から半年 被災地の日常と課題 トルコより https://www.parcic.org/report/syria_turkey_lebanon/earthquake_turkey_syria/23171/ Tue, 15 Aug 2023 06:53:52 +0000 https://www.parcic.org/?p=23171 *このレポートは7月中旬の被災地の様子です。状況は変化しておりますので、また随時ご報告させていただきます。

トルコ、シリア地震から半年が経過しました。これまで東京から現場の活動をサポートしてきましたが、7月に実際にトルコの被災地を訪問してきた様子をレポートします。

にぎやかな街なかに瓦礫やテントが混在する被災地

東京からトルコのイスタンブールを経由してガジアンテップへ。被災地の一つ、トルコ南東部の都市ガジアンテップは一見すると地震の被害があったとは思えないほど、日常を取り戻していました。

しかし、ガジアンテップから車で1時間程のところにあるパルシックの活動地域カフラマンマラシュは未だにテントで暮らしている被災者が多く、復興にはまだまだ時間がかかるなという印象を受けました。

空き地や人が通るような大通りに建てられたテント、回収されていない瓦礫の山に最初こそ違和感があったものの、二度三度と同じような光景を見ると見慣れてきて、そこに住む人にとっても日常に馴染んだ当たり前の光景になっているのではないかと感じました。

カフラマンマラシュ市の街。商店も開き日常を取り戻している様子

瓦礫が取り除かれた更地、瓦礫が残ったままのところ、崩れた建物が点在している

カフラマンマラシュ市郊外にはトルコ政府が設置したコンテナの避難所が開設され、避難所に入居できた人は衣食住のサポートが受けられます。

一方で、カフラマンマラシュ市内に点在するテントはInformal Settlement(非公式テントサイト)と呼ばれ、被災者自らが支給されたテントやブルーシートなどで6畳にも満たないようなテントを立てて生活しています。 日中は30℃を超す暑さで、テントの中は熱がこもり蒸し暑く、道端にソファーを出して涼む人もいました。

空き地に立てられた非公式テントサイト

テントの外で過ごす人

テントで暮らす支援が届きにくいシリア難民

カフラマンマラシュ市内の非公式テントサイトに暮らす人の多くはシリア人です。 それにはいくつか理由があります。

①政府が開設した避難所は、トルコ人の脆弱世帯(高齢者や女性が世帯主の世帯など)が優先的に入居出来る。

②避難所は主に郊外に設置され市内からアクセスが悪く、どこに住むか選べないため、親族や友人と離ればなれになることを恐れ、自分たちでテントを立ててグループで暮らしている。同じシリア人同士まとまって暮らすこと、小さなコミュニティがあることは、異国の地で暮らす難民にとって重要なセーフティーネットになります。

③テントで暮らす被災者には政府から毎月3,000トルコリラ(約16,000円)の住居助成金が出るため、中には罹災調査で軽微破損と認定され住めることが確認されているが、住居助成金を目当てにテントで暮らす世帯もある。収入源が限られたシリア人にとっては貴重な現金収入となります。(勿論、家が住めないほど損壊し、家を借りるお金がないためやむを得ずテントで暮らす世帯もたくさんいます。)

郊外の大学に設置されたトルコ政府公設の避難所。設備は整っているが、幹線道路沿いのアクセスの悪い場所に設置されているところが多い

その他にも、各世帯によって様々な事情がありますし、一概にテントで暮らすシリア人の背景を伝えることは出来ませんが、非公式テントサイトは政府公設の避難所とは違い、トイレやシャワーもついておらず不衛生な環境、炊き出しや食事の支援もないため全て自分たちでどうにかする必要があります。

トルコ政府は国籍に関わらず被災者に支援を届けていますが、やはりトルコ人の方が優先される点、NGOが活動するには県からの活動許可が必要ですが、シリア難民への支援は優先度が低く許可を取ることが難しい点から、非公式テントサイトで暮らす被災者に支援を届けにくいという課題があります。

農村部の被災地の状況

カフラマンマラシュ市内から東に車で1時間ほどのところにあるリンゴが名産のギョクスン郡を訪問しました。パルシックがいただいたご寄付で食料(小麦粉)を配付したアハメットチック村を訪問すると村長が温かく迎え入れてくれました。

アハメットチック村の崩れたままの家

村長に案内され被災した家を一軒ずつ回った

ギョクスン郡の農村部アハメットチック村は、損壊した家が多く、45世帯が家の近くにテントを建てて暮らしていました。村長は「罹災調査により全壊や重度損壊と認定された家は、自分たちで取り壊すように言われ、今後どのような支援が受けられるかもはっきりしない中、そんなことを言われどうしたらよいんだ」とやり切れない様子でした。

カフラマンマラシュ市内から離れた郊外や農村部も支援が届きにくい地域です。パルシックが食料を配付しに行くと、こんなところに来てくれるなんてと喜ばれ、必要な支援を届けることはもちろんのこと、日本から心を寄せている人がたくさんいることを示すことも大事だと感じました。

トルコ政府は復旧・復興に向けた避難所の設置や被災者への支援制度を急ピッチで整えていますが、今回の地震により、トルコでは5万6,000人が亡くなり、規模の大きさから半年経っても十分な支援を受けられていない人が多くいることが分かりました。

これまで活動許可の取得の難しさやニーズがあるのに届けられないもどかしさを抱えながら活動を続けてきましたが、復興にはほど遠い被災地の様子を目の当たりにし、試行錯誤をしながらも生活再建に向けた必要な支援を届けていく必要性を強く感じました。

引き続きのご支援をよろしくお願いいたします。

(東京事務所 小栗清香)

※この事業は、ジャパン・プラットフォームの助成と皆さまからのご寄付で実施しています。

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震災から半年 家屋修繕 シリアより https://www.parcic.org/report/syria_turkey_lebanon/earthquake_turkey_syria/23048/ Thu, 10 Aug 2023 09:16:06 +0000 https://www.parcic.org/?p=23048 トルコ・シリア地震の発生から半年が経過しました。

シリアには邦人の入域が出来ないため、パルシックは提携団体を通じて遠隔でシリア北部での震災支援を行っています。震災直後は、緊急支援として、医療や食料支援を行ってきましたが、現在は、震災により軽微破損した家屋200世帯の修復支援を行っています。

今回の震災で、シリア北部では、約1万軒の建物が崩壊し、約4,500人が亡くなり、約1万人がけがを負いました。2011年から始まったシリア紛争の影響を受け、震災以前からシリア北部だけで450万人の人口のうち、300万人が紛争により家を失い避難民となった人たちが生活していました。シリア国内の経済も紛争および欧米諸国の経済制裁により悪化し、シリア北部では330万人が食糧支援を必要としている状況で、震災前からすでに生活は厳しい状況でした[1]

台所の地震被害の様子 トルコ・シリア地震

台所の地震被害の様子

壁の地震被害の様子 トルコ・シリア地震

壁の地震被害の様子

パルシックは、震災により軽微破損し修復が必要な世帯への支援を行っています。建物の構造上の破損でない部屋の壁に少しひびが入ったり、レンガの壁が一部崩れたり、窓が割れたりと、なんとか家に住み続けることは可能ですが、修復支援をしているどの世帯からも「今は平気でも自分たちで建てた家のため、次に大きな地震が来たら今度は倒壊するのではと心配」という声を聞きました。中には心配になりすぎて修理されるまでは近所の親類の家もしくは、テントで生活している世帯もあります。シリア北部の人びとにインタビューをすると、今まで今回のような大規模の地震を体験したことがなく、震災によるトラウマを負っているのだと感じられます。震災前から内戦の影響により壊れている家も多く、修繕希望者の中から対象者を絞るのに時間がかかってしまいましたが、対象者の選定が終わったところから随時修繕を進めています。

修復作業の様子 トルコ・シリア地震

修復作業の様子

修復作業の様子 トルコ・シリア地震

修復作業の様子

もともと経済的に厳しい生活状況があったため、修復を行いたくても、収入がなく修復ができない世帯や、家以外の行き場所がない世帯は、被害のあった部屋だけ使わず生活を続けていますが、常に不安を抱える毎日があり、今回の修復支援の対象になった世帯からは、これでようやく安心して暮らしが再開できると、期待の声を多く聞きました。現在、日中の気温が40度まで上がり修復作業は大変ですが、被災者が一日も早く安心した生活を再開できるよう、熱中症に気を付けながら修復作業を行っています。

シリアでは、これから食料配付を行うための準備を進めています。震災から半年経過しましたが、前述の通り、元々多くの国内避難民が国連や NGOなどの支援を受けながら生活を続けていたため、被災者の生活再建はほとんど進んでいません。食料を配るだけでは状況は改善されませんが、それでも差し迫って食料が必要な状況で、必要な支援を届けながらどのように生活再建に繋げていくか、悩みながら活動を続けています。引き続き皆さんには活動を見守り、心を寄せていただけると嬉しいです。

[1] OCHA, North West Syria: Situation Report (21 July 2023), P1, 21st July

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(トルコ事務所 大野木)

この事業は、ジャパン・プラットフォームの助成と皆さまからのご寄付で実施しています。

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トルコ:在宅被災者への食料とガスの配付 https://www.parcic.org/report/syria_turkey_lebanon/earthquake_turkey_syria/22889/ Tue, 27 Jun 2023 08:00:31 +0000 https://www.parcic.org/?p=22889 トルコ・シリア地震の発生から4か月が経過しました。現在、パルシックが活動拠点としているカフラマンマラシュ市内では、崩壊した建物の撤去がかなり進み、被害の大きかった旧市街地のマーケットには、コンテナが立ち並び、震災による被害を受けたお店がコンテナで営業を再開し始めました。

コンテナで再開した靴屋さん

いたるところにコンテナが設置されています

もちろんこれらのコンテナは、一時的な措置であり、更地になった場所には新しい建物の建設が始まり、被災したお店も修復される予定です。政府は同時にコンテナよりもっと大きな店舗の建設も行っています。建設終了時には、コンテナの仮店舗の一部も移動する予定です。地震からの復興が進む一方で、今回の震災の規模がとても大きかったことから、市内にはまだテント暮らしの人たちも1万人以上います。その人たちのテントからコンテナの仮設住宅への移動の目途はまだ立っていません。

市内にまだ多く見られるテント

3月後半からは、カフラマンマラシュ県庁と共同で活動を行いました。もともと震災以前から政府から社会福祉支援を受けていた世帯と震災後に支援が必要となった世帯のうち、住宅の被害が大きくなかったため現在も自宅に暮らしている在宅被災世帯に、食料の配付を行いました。テントやコンテナに移動した世帯は、国連やNGOからの支援を受けていますが、自宅に滞在している世帯には支援が行き届いていませんでした。地震により、県外に移動した人も多くいましたが、避難先で仕事が見つからずに戻ってきている人もいると聞いています。地震により仕事を失うなど、もともと経済的に困難していた家族の生活はより厳しくなっているため、カフラマンマラシュ県庁と調整し配付を決めました。

食料バスケットの配付

また震災当初は市内のガスが止められてしまい、調理ができない状態だったため、ガスボンベも一緒に配付しました。現在市内ではガスは復旧しましたが、郊外ではガスが各家庭まで供給されず、ガスの値段も上がり、購入するのが難しい世帯も多いため、ガスの多くは市郊外で配付しました。

ガスボンベも一緒に配付

市内を中心に支援を行っている団体が多いため、支援物資が郊外の村に配送されたときは、ようやく支援が来たと、喜びの声を多く聞きました。トルコ政府は復旧、復興を急ピッチに進めており、それに合わせて人びともテントからコンテナの仮設住宅へ、さらに新築の家へと移動しており、人の流動性は当分落ち着くことはない状況ですが、日々変わる現場でのニーズに応えられるよう、一日も早く、被災者の方たちが、また元の生活に戻れるようこれからも活動していきます。

市郊外の村の様子。現在もがれきは撤去されていない

使えなくなって外に出された電化製品

(トルコ事務所 大野木)

この事業は、ジャパン・プラットフォームの助成で実施しています。

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シリア農業支援ご報告―小麦・野菜が育っています! https://www.parcic.org/report/syria_turkey_lebanon/syrian_refugees_return/22826/ Tue, 13 Jun 2023 10:20:42 +0000 https://www.parcic.org/?p=22826 こんにちは!前回の記事では、2022年度の農業支援事業の2022年夏の収穫状況をお伝えしましたが、その後2022年10月から新たにホムス県で農業・食品加工・養鶏事業を開始しました。今回はその新しい食糧生産支援事業の報告です。

シリアの食糧・農業の状況

シリアの食糧・農業を取り巻くそもそもの状況に関しては、過去の記事に記載した通りです(『シリア国内での食糧生産活動を開始しました』、『シリア国内での女性に対する食糧生産活動支援』)が、以下に簡単にアップデートしてみます。

  • 2011年以降のシリア危機の中、多くの男性が徴兵や国内外への避難などによって不在となり、農機具や農業インフラは破壊や盗難に遭うなどした。
  • 武力紛争や経済制裁による制裁経済状況の悪化と物価上昇に、ウクライナ危機やコロナ禍明けの世界的な物価上昇が重なり、畑は持っていても質の良い種や肥料、燃料を買う余裕がないなどの理由で、農業活動を縮小・停止してしまった農家が多く存在する。例えば主食の小麦の生産は2022年には危機前の1/4にまで減少した。
  • 結果、2022年の時点で人口の約7割を占める1,500万人の人びとが食糧・農業支援を必要とするような状況に(*1)。

最近のシリア関連の話題

さらに2022年秋以降のシリア関連ニュースを見ていきましょう。紛争とそれに続く制裁が続いてシリア国内に住む7割の人びとが食糧支援を必要としているなか、レバノンやトルコといったシリア難民を多く受け入れている周辺国が、自国にいる難民をシリアに帰還させようとする圧力が高まっている状況が見えてきます。

  • レバノンではIMF支援の条件である必要な経済改革が行われず支援を得られないまま(*2)経済状況は悪化の一途をたどっており、シリア難民を受け入れるレバノンで人びとの不満がシリア難民に向かっている。レバノン政府はシリア難民のシリアへの自発的帰還を進めようとしたが、国際社会の批判を浴び中断(*3)。

*1 UNHCR “2023 Humanitarian Needs Overview: Syrian Arab Republic” Dec 2022
*2 IMF warns Lebanon at ‘very dangerous moment’ (zawya.com)
*3 Safe Return and Voluntary Repatriation for Syrian Refugees from Lebanon: What Needs to Happen Next? – Lebanon | ReliefWeb

  • シリア政府と敵対してきたトルコも、ついにシリア政府との関係正常化に向けた協議を開始し、シリア難民についても議題に上がっていた(*4)。そうしたなかで2月6日、シリア難民・国内避難民も多数存在するトルコ南部・シリア北西部を被災地とするトルコ・シリア大地震が発生(*5)。
  • レバノン政府は、2023年4月頃から不法滞在状態のシリア人の拘束・シリアへの強制送還を開始(*6)。
  • 5月、シリア政府はシリア危機以降参加資格が停止されていたアラブ連盟への復帰を12年ぶりに果たし(*7) 、日本を含む西側諸国からの制裁が続きながらも(それによって経済状況は悪化し、人道支援を必要とする人口はシリア危機以降最大の1,460万人を記録しながらも(*8))、少なくともアラブ諸国の中ではシリアを代表する正当な政府として認められる。
  • 同月、決選投票までもつれ込んだ大統領選で何とか再選されたエルドアン大統領のトルコ政府(*9)も、国内のシリア難民に対する不満の高まりを受け、6月の国家安全保障会議でシリア人の帰還について協議していることを初めて公に認める(*10)。

*4 https://english.almayadeen.net/news/politics/defense-ministers-from-russia-syria-turkey-to-meet-in-coming
*5 Türkiye-Syria Earthquake Response | United Nations
*6 Lebanon Steps Up Forceful Removals of Syrian Refugees – Lebanon | ReliefWeb
*7 Arab League brings Syria back into its fold after 12 years | Arab League News | Al Jazeera
*8 hno_2022_rev-1.15.pdf (humanitarianresponse.info) *9 Turkey’s Erdogan celebrates presidential election run-off win | Elections News | Al Jazeera
*10 In first for Turkey, National Security Council addresses Syrian refugee return – Al-Monitor: Independent, trusted coverage of the Middle East

パルシックの農業支援

このように、経済が疲弊し、既に食糧が不足している、そこに仮に国外のシリア人のシリアへの帰還が進めば(もちろん、いくら滞在先の国の国家権力や人びとに「国に帰れ」と言われ、または嫌な思いをさせられたとしても、戻った先の国で身の安全が確保されている等の確証がなければ帰還することは困難です)、さらに食糧のニーズが高まることが予想されます。このことから、シリアの人びとがふたたび自立的に食糧を生産できるようになるための支援が、まさに今必要とされているのです。

この事業では、小麦・野菜農家やオリーブ農家の支援と、乳製品などの食品加工や養鶏の支援をホムス県の村々で行っています。今回は、小麦・野菜農家支援について写真とともにご報告します。

このままうまくいけば、小麦の収穫は6月後半、本格的な野菜の収穫は7月以降を予定しています。その様子はまたの機会にお伝えしますので、皆さまお楽しみに!

(レバノン事務所 風間)

※この事業はジャパン・プラットフォームの助成と皆さまからのご寄付で実施しています。

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発災から2か月:トルコ・シリアでの活動報告 https://www.parcic.org/report/syria_turkey_lebanon/earthquake_turkey_syria/22403/ Thu, 13 Apr 2023 09:48:21 +0000 https://www.parcic.org/?p=22403 トルコでの活動

トルコ・シリア地震の発生から2か月が経過しました。現在トルコではイスラム教徒たちが日の出から日没まで断食をするラマダンの期間になっています。3月23日からラマダンは始まり、1か月続きます。去年までであれば、ラマダンの期間は、日没後の食事(イフタール:Iftar)は家族や友人たちと一緒に食べ、街のいたるところでクリスマスのように蛍光の飾りがあり、夜はネオンがとても美しく、イスラム教徒とっては1年で一番楽しみにしている期間でもありました。ただ、今年は、被災地では被災した人を思って飾りつけを自粛したり、毎年一緒に食事していた人がいなかったり、いつもと違ったラマダンの様子が見受けられます。

先日、ゼンショーホールディングスの職員6名が、パルシックの活動先に派遣され、一緒に炊き出しなどの支援活動を行いました。今回はその様子をご報告します。

参考:【ゼンショーHD】トルコ・シリア地震支援 ゼンショー社員が被災地で炊き出しに貢献(プレスリリース)

現在滞在しているガジアンテップ市には、被災者に配る食事を作る給食センターのような大きな施設があります。この施設は、シリア内戦でシリアの人たちがトルコに避難してきた時から食事を作っていて、1日最大30万食作ることができます。ラマダンの期間中は毎日5,000食を作り、ガジアンテップ市内の生活困窮世帯に対して、食事を提供しています。

大きな鍋でスープを作る

出来上がった料理をパッキング

震災で調理施設が壊れてしまった近隣のアディヤマン市からの支援要請を受けて、ガジアンテップ市職員が調理器具をアディヤマン市に持参し、ラマダンの炊き出しを手伝ったりもしていました。

アディヤマン市の公園。ガジアンテップ市のキッチンカーが派遣され、公園内のテントで生活する被災者へ毎日食事提供をしている

同じく公園に設置されたガジアンテップ市役所の炊き出しテント。ここで毎日6,000食が作られ、市内の被災した世帯に届けられる

ゼンショーホールディングスの職員と私は、ガジアンテップ市の調理施設とアディヤマン市での炊き出しをお手伝いました。ラマダン期間中のお腹の空いている時間帯に調理をすることはイスラム教徒には簡単なことではありません。しかし、被災した人たちはこの炊き出しを生命線としているため、市の職員さんたちは大変な作業を愚痴もこぼさず、もくもくと作業していました。

炊き出しの料理。ご飯と具沢山のスープにデザート

日没後、私たちも一緒に食事をいただきました

アディヤマン市では、避難テントと炊き出し用のテントが同じ敷地にあったため、テント生活をしている人たちと交流をする機会がありました。大変な生活環境の中、多くの子どもたちから、早く学校に行きたいという声を聞きました。

被災した県でも被害が比較的少なかったガジアンテップ市では学校はすでに再開していますが、被害の大きかったアディヤマン市では学校も被害を受けたため、まだ再開していません。他の被害の大きかった地域では、大きなテントを設置して授業を一部再開したりしていますが、それでもテントが足りず、週1回の授業だけなどとなっています。特に被害の大きかったハタイ県、カハラマンマラシュ県、アディヤマン県、マラティア県で学校に大きな影響が出ています。

炊き出しのテントの中が気になって、覗き込んできた子どもたち

今後も、こうやって他の活動にも参加しながら、ネットワークを広げ、多くの人の声を聞き活動を続けていきます。

アディヤマンの子どもたち

(トルコ駐在 大野木)

シリアでの活動

地震によりシリア国内では、880万人以上が影響を受け、35万人が避難を余儀なくされていると推定されています。長引く紛争の影響により、震災前から人口の半分以上が、家族が生活するために必要な食料を十分に得られず食料不安の状態にありました。地震の影響により物価はさらに上昇し、さらに生活に必要な物が入手しにくい状況にあります。

そのような状況下で多くの方にご寄付をいただき支援を届けることができていること、皆さんからの温かい気持ちに心から感謝いたします。

シリアでは、医療品の調達及び配布に続き、在宅被災者と避難所で暮らす被災者にストーブと衛生用品を配付しました。

まだまだ寒い日が続いていたのでストーブは大変喜ばれました

ストーブを搬出する様子

1世帯ずつ配付登録を行いました

ストーブを持ち帰る親子

家屋が全壊したり、大きな被害を受けたりして住めなくなった家族は、テントで避難生活を始めましたが、雨風をしのげる以外に何も揃っていないため、いただいたご寄付で寝具を調達しました。

避難テントの中は仕切りもありません

調達したマットレスを避難テントに設置する様子

3月後半から、トルコ、シリアではラマダン(断食月)が始まりました。 ラマダンの間、イスラム教徒たちは日の出から日没まで断食をします。イスラム教徒にとって1年で一番神聖な月で、日没後には親族で集まり食事を楽しみ、お祭りのような雰囲気があります。

シリアおよびトルコではラマダンに合わせて食料バスケットの配付準備を進めています。 地震発生から2ヵ月が経過し、徐々に日常を取り戻しつつありますが、復興に取り組むにはまだまだ時間がかかります。

引き続き、皆さまからのご支援をどうぞよろしくお願いいたします。

トルコ・シリア地震緊急支援 寄付ページへ

(パルシック東京事務所 小栗清香)

*この活動は皆さまからのご寄付で実施しています。

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越冬支援ご報告 : アルサール市の学校に灯油を届けることができました! https://www.parcic.org/report/syria_turkey_lebanon/syrian_refugees_lebanon/22391/ Wed, 12 Apr 2023 06:56:03 +0000 https://www.parcic.org/?p=22391 パルシックでは、2022年10月から2023年2月にかけて、レバノン北部アルサール市の子どもたちが通う学校に灯油を配布するための越冬支援キャンペーンを実施しました。

募集が終了したキャンペーンのお知らせページはこちら↓
「極寒の地で勉強に励むシリア難民とレバノン人の子どもたちに、暖房用灯油を届けたい!」

こちらのキャンペーンにご協力いただきました皆さま、誠にありがとうございました。1,836,000円のご寄付が集まり、レバノン人とシリア難民の子どもたちが学ぶ全29教室に、無事に3か月分相当の灯油を届けることが出来ました。

灯油ストーブ(写真手前)を囲み授業を受ける生徒たち

レバノンは例年に比べると比較的暖冬ではあったものの、標高約1,500メートルの山間部に位置するアルサール市では、2月には最低気温がマイナス4度にまで下がりました。また、積雪のため道路が塞がれ、10日間も休校となるなど、学校にとって厳しい状況が続いていました。

雪に覆われたアルサール市の難民キャンプ

積雪で道が塞がれています

灯油が配付される前は、教室のあまりの寒さに耐えきれず席を立ってしまう子もいるなど、授業の継続が困難だったと語る先生もいます。しかし、暖房用ストーブが稼働すると、子どもたちは暖かい教室にほっとした様子で、集中して授業を受けることが出来たようです。

冬でも暖かい環境で過ごせました

また、大変ありがたいことに、目標金額を超えるご寄付を皆さまよりいただくことができたため、同市にある他の5つの学校にも、寒さの厳しい時期に約2週間分の灯油を購入することが叶いました。

アルヌール学校以外の学校も、同様に暖房対策を必要としていました。しかし、経済危機下の物価の高騰により、灯油の購入が容易ではない状況に頭を悩ませていたのです。 パルシックは現地の提携団体と話し合い、これらの学校にも支援を実施することを決めました。 合計6,500リットルの灯油は各学校の規模に合わせて配付され、生徒たちは寒さを凌ぐことが出来ました。

5校の1つであるアルマラズ学校の校長は、「私たちの学校にも越冬支援を実施していただき、本当にありがとうございます。皆さまの助けにより、安心して教育を提供し続けることができました。生徒たちも、暖かい教室に喜んで集まってきました」と感謝の言葉を伝えてくれました。

感謝の気持ちを伝えるアルマラズ学校の校長先生

灯油を配付した他の学校の様子

冬の寒い時期でも、元気いっぱいに学んでいます

現在は人びとを悩ませていた雪もすっかり解け、桜に似たアーモンドの花が咲き、街には暖かな春が訪れています。こうして厳しい冬を乗り越え、子どもたちが今この瞬間も学業に励むことが出来るのは、皆さまのお力添えがあってこそ叶うものです。 パルシックは、引き続き教育事業を通して子どもたちを見守り、そして皆さまにもその様子をお伝えしていきます。今後とも引き続き、どうぞよろしくお願いいたします。

アルヌール学校の前で記念写真

(レバノン事務所 佐藤)

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トルコ・ハタイ県での支援活動 https://www.parcic.org/report/syria_turkey_lebanon/earthquake_turkey_syria/22155/ Mon, 13 Mar 2023 10:11:38 +0000 https://www.parcic.org/?p=22155 トルコ・シリア地震の発生から1か月が経過しました。この間にトルコでは皆さまからのご寄付を地震で被災した人たちへの物資配付に使わせていただきました。これまでガジアンテップ市郊外に住むテント世帯から、カフラマンマラシュの郊外に住む世帯、ハタイ県のシリア国境付近の村へと、支援の要請をいたるところから受けては、物資を調達し配付してきました。

ハタイでの支援の窓口となってくれた女性組合のファティマさん(右)と支援物資を運んでくれたドライバーのエムレさん(左)

配付した下着、オムツ、生理用品など

先日ハタイ県に支援物資を配付した際に、被害がとても大きかったハタイ県の中心地を訪問しましたが、あまりの被害の状況に言葉を失ってしまいました。ハタイ県には約200万人の人口がいましたが、約130万人が被災し、約80万人が家を失ったとされています。 ハタイ県の郊外のそれ程被害は見受けられないような場所でも、たくさんの崩れた建物を目の当たりにし、自分たちの家も危ないのではないかという不安から、多くの人たちが家の庭などにテントを設置していました。 家を失った被災者は、まずは家族や親戚がいる場所に引っ越し、行く場所がなければ、政府が設置した避難キャンプに移動するなど滞在場所を確保していました。

ハタイ県に向かう道中。いたるところに非常用のテントが張られていた

ハタイ県で配付を行った場所は、比較的建物の被害が小規模だったため、被害の大きな県庁所在地のアンタキヤから、多くの人が何も持たずに避難してきていました。着の身着のままで避難してきたため、服や靴の支援が必要ですという声を多く聞きました。洗濯機や手洗い用品もそろっていないため、洗濯が出来ず下着などは使い捨てていました。

ハタイ県だけでなく、訪問先やガジアンテップ県内でも、多くの人が、地震発生後、携帯と財布だけをもって、靴も履かずにスリッパで急いで外に逃げて、それ以後家に戻っていない人たちもいるため、靴が必要なのだと、話を聞いていく中で分かってきました。

物資の配付が行われるテント。毎日、3~400人が利用しているという

テントの中の様子。必要なものを受け取れる仕組みになっている。震災直後から毎日ボランティアが仕分けし、テント内の物資の整理を行っている。警察も現場の安全管理を行っていた

今回の地震では被害規模が大きく広範囲にわたるため、まだまだ建物の取り壊し、そして瓦礫の撤去にも時間がかかりそうです。同時にトルコの約200万人の被災者はテントやコンテナの一時避難所で生活をしているため、避難生活を送る人たちの生活環境も早急に整えていく必要があります。一時避難所のスペースの確保から、避難所内でのインフラの整備も必要なため、現在トルコ政府、国連、NGO等が連携して各地域のニーズを共有し、迅速にそして効率よく支援が行き届くように調整を行っています。

ガジアンテップのほうからちょくちょくと物資が届いていた

コンテナの仮設住宅の設置準備が行われていた

パルシックも現在、カフラマンマラシュ市役所からニーズの聞き取りを行い、食料バスケットを在宅被災者に配付する予定です。それだけでなく、以前のトルコでの活動で構築したネットワークを活かして、支援が何らかの理由で届いていない世帯の声も拾い活動を行っていきます。

引き続き、ご支援をよろしくお願いいたします。

トルコ・シリア地震緊急支援 寄付ページへ

(トルコ駐在 大野木)

*この活動は皆さまからのご寄付で実施しています。

 

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