ジャフナ県干物事業 – 特定非営利活動法人パルシック(PARCIC) https://www.parcic.org 東ティモール、スリランカ、マレーシア、パレスチナ、トルコ・レバノン(シリア難民支援)でフェアトレードを含めた「民際協力」活動を展開するNGO。プロジェクト紹介、フェアトレード商品販売など。 Tue, 18 Apr 2017 08:10:27 +0000 ja hourly 1 https://wordpress.org/?v=6.4.1 乾燥魚事業地 ヴェラナイの加工場に岡田副総理ご来訪 https://www.parcic.org/report/srilanka/srilanka_jaffna/1326/ Mon, 07 May 2012 15:00:03 +0000 http://test.parcic.org/?p=1326 2012年5月5日、岡田副総理がパルシックの乾燥魚事業の事業地の一つ、ヴェラナイの加工場にご来訪されました。5月4日、5日という2日間の短いスリ ランカ滞在の中、5月5日は半日、北部での日本政府資金による事業地視察、スリランカで活動するNGOスタッフとの昼食会等に時間を割かれました。


(干しエビをご覧になる岡田副総理、バシル大臣、ダグラス大臣

スリランカ側からは、バシル経済開発大臣、ダグラス伝統産業および小規模事業開発担当大臣、北部州知事等が副総理の北部州ご訪問に同行されました。

パルシックの事業地では、えびやいか、鯛やエイなどの魚の天日干しを見ていただいた後、グループの女性たちによる加工場で干しえびのパッキング作業をご覧 いただきました。その場で副総理から女性たちに、「仕事は楽しいですか?」、「収入はいくらくらいですか?」といった質問があり、女性たちからは「楽しん でいます」、「月収で5000ルピーほどです」との回答が上がりました。岡田副総理には、女性たちが生き生きと働いている姿をご覧頂くとともに、漁に出ら れない漁村の女性たちが衛生的な干物作りという付加価値をつける加工によって収入を得、家計を支えている状況をご理解いただけたかと思います。

女性グループが作っている干しエビ、するめの味見もしていただき、お帰りの際には、女性たちから大きなするめを一枚プレゼントしました。


天日干しの管理をするグループの女性とエイの干物


するめを試食された後に記者にするめを見せる岡田副総理


加工場での女性たちによるパッキング作業をご視察

20分ほどという限られた時間ではありましたが、グループの女性たち、日ごろ女性たちを支援していうるヴェラナイ・トライユール漁協の人々にとって、今後 の活動への励みとなるとても貴重な時間でした。副総理が次の事業地に向かわれた後、漁協長から「このような機会をありがとう」と深々と感謝の言葉を受けま した。

こうして岡田副総理に日本からはるばるお越しいただけたことで、ジャフナおよび北部の復興が日本や海外からも見られていること、特にNGOによる脆弱層を 支援する小さな草の根の活動にも目が注がれていることを、北部の人々も実感することができ、今後の復興・開発への励みになったのではないかと筆者は思って います。

はるばる事業地まで足を運んでくださり、ありがとうございました。

(スリランカジャフナ事務所スタッフ 西森光子)

]]>
南部ウェリガマでのかつお節づくりを視察(後編) https://www.parcic.org/report/srilanka/srilanka_jaffna/1548/ Mon, 22 Aug 2011 16:00:02 +0000 http://test.parcic.org/?p=1548 女性たちとの会議、女性たちの意見

乾燥魚の販売価格は、コロンボのほうがジャフナよりも高いが、輸送費や現金の受け取りまでの時間を考えると、コロンボに商品を送るよりもジャフナで売るほうがいい。スーパーマーケットでの販売は魅力的であるが、普通に売る分にはジャフナ内で売るほうが利益があがる。

パルシックが以前に計画していたが、コスト面の問題、なかなか手続きが進行しないことから、頓挫していたジャフナで店を開く案に女性たちも同意する。パルシック内では一度あきらめようと話し合った案であるが、再度検討を開始することにする。

また、今回南部で見せてもらった活動のうち、かつお節作り用のオーブン、ジャーディ作り、マット作りへの関心が高かった。かつお節作りは、ひとまずは天日干しで試してみることにする。ジャーディは、カライナガルのリーダーが興味をもち、南部からの観光客向けに試しに少量を作ってみることにする。マット作りは雨期にもできる作業であること、ジャフナでも需要があるのに同様の商品があまり出回っていないことから、作ってみることにする。Sobakanthaの女性たちが次回ジャフナを訪問する際に、マット作りを教えられる女性を連れて来てもらい、作り方の研修を受ける。

女性たちの感想

参加した女性たち全員から「今回こうして視察旅行に参加できて本当によかった。パルシックがすべてアレンジしてくれたことに心から感謝する。おかげで本当にリラックスした時間が過ごせた。ウェリガマの女性たちの活動を見られたことは、今後の活動にとって役に立つものである。南部の女性たちが自分たちで稼いで、自分たちで家をきれいにしていったことに感銘を受けた。この旅行のことは一生忘れない。」と各々に大変な感謝の言葉が述べられた。

中でも、トゥンプライから参加していた女性グループの一人は話している途中で感極まって泣き出し、次のように話した。「この旅行中は心底リラックスして過ごすことができた。今回の旅行は村を離れる初めてのチャンスだった。今までは北部の生活しか知らなかった。南部の女性たちが自分たちで生活を改善していっている姿に感銘を受けた。自分たちも夫に頼るだけではなく自分たちで稼いで生活を改善していきたい。」

この女性は、前夜パルシックの女性スタッフと話をしていたときに、これまでのつらかった結婚生活を告白し、泣き出したとのこと。16歳で結婚して以来、夫からDVをずっと受けてきた。夫はアルコール中毒者で、酒を飲んで帰ってきては彼女に手をあげているとのこと。この旅行も夫には反対されており参加を迷っていたが、当日の朝に決意してできたという。

日ごろは元気にたくましく振舞っており、パルシックスタッフも彼女の家庭内での不幸を想像だにしていなかった。ジャフナの女性たちの様々な不幸は家庭の中、あるいは小さなコミュニティ内だけに隠されており、なかなか表面化しにくい。生まれ育った家庭が貧しくダウリ(婚資金)が十分に払えなかったために結婚後に夫に捨てられたという話、DV被害など、家族や結婚にまつわる女性たちの不幸な話を耳にすることがよくある。

他方、ウドゥトゥライから参加した若い寡婦世帯の女性は、今回の旅行への感謝の言葉とともに、パルシックの乾燥魚事業で生まれて初めて十分な収入を得ることができ、先日初めて4歳になる一人息子の誕生日を祝うことができたという喜びと感謝を報告した。彼女は息子の誕生日前にしっかり働き1万ルピー以上の収入を得ていた。このことは彼女の自信にもつながり、以前よりも行動的でたくましくなったように見える。

トゥンプライではいまだウドゥトゥライのように女性たちの収入が増えておらず、たとえ寡婦世帯ではなく夫がいたとしても、夫の下で苦労して生きている女性も多い。事業を軌道に乗せることで、女性たちの収入確保につなげたい。


全員で集合写真


途中のゴールでも写真撮影

視察を終えて

参加した全員が本当に今回の旅行を楽しんでいるようであり、とてもよい機会であったと思う。加えて、女性たちとの話し合い、パルシックスタッフの反応から、全員が様々なアイデアを得るとともに、以前よりも前向きな気持ちをもって帰途に着いたと思われ、今回の旅行がとても意義のあるものであったと実感した。

南部の人が北部のことをほとんど知らずにジャフナを観光旅行で訪れるように、北部の人たちも南部のことを知る機会がなかった。こうした小さな積み重ねが双方の相互理解にもつながっていくように思われた。Sobakanthaも今回のパルシックの訪問が相互理解、平和構築の一歩につながることを期待していたとのことである。今後ともパルシックスタッフ、乾燥魚事業の女性とともに、ジャフナを離れて他の地域を訪問する機会を持ちたいと思う。ジャフナだけにいると、パルシックスタッフも女性たちもジャフナでの行動様式、価値観の縛りが強く、そこから違う視点で物を見ることが難しい。乾燥魚事業がより発展するよう、南北の相互理解への小さな一歩となるよう、次の機会も探したい。

(パルシック 西森光子)

]]>
南部ウェリガマでのかつお節づくりを視察(前編) https://www.parcic.org/report/srilanka/srilanka_jaffna/1539/ Mon, 22 Aug 2011 15:00:33 +0000 http://test.parcic.org/?p=1539 7月29日から8月2日まで、乾燥魚グループの女性6名とパルシックスタッフで、南部のウェリガマでの女性グループによるかつお節づくり、コロンボとワウニヤの乾燥魚市場を訪問しました。

約30年間に及ぶ内戦でスリランカの南北は分断されてきたため、北部の一般の人でコロンボ以外の南部の町を訪れた経験を持つ人はあまりいません。今回の視察先の南部の町ウェリガマ、その途中にある有名な観光地ゴールへの訪問は、女性たちにとってもパルシックスタッフにとっても初めての体験でした。その新鮮な喜びと視察を通して学んだこと、女性たちの感想をご報告します。

7月29日(金)

予定よりも遅れて朝8時過ぎに事務所を出発。途中のワウニヤで乾燥魚店を訪問し、品質、価格、生産地を確認する。乾燥魚店はジャフナのお店と同様の小規模な店舗が5-10軒ほど並んでおり、巨大な市場が形成されているわけではなかった。どの店でもマナー産のものが多く、よい品質のものを作れば、いつでも買い取るという店主が多かった。パルシックチーム全員の感想としては「パルシックの乾燥魚の品質がより高い」というものだった。

ワウニヤからアヌラーダプラ、プッタラム、チロー経由でコロンボに着。コロンボ着時には21時をこえており、朝早くに村から出てきた女性たちはぐったり疲れていた。宿に着いてこの日の活動は終了。

7月30日(土)


▲今回ボランティアで協力してくださったバーニさんとパルシックスタッフのアジットが2人で代表のニルミニさんの説明を通訳。シンハラ語から英語へバーニさんが、英語からタミル語にアジットが通訳。

朝7時過ぎにコロンボ事務所を出発し、11時過ぎにはウェリガマ着。
ウェリガマでは女性グループを支援しているローカルNGO、Sobakanthaの事務所を訪問する。Sobakanthaはコミュニティモビライゼーションのトレーニングを受けたニルミニさんという女性が1998年に始めた団体である。最初は、南部でも特に貧しいミリッサ地域での収入向上策として村でレンガ造りを始めた。その後小規模なマイクロファイナンス、ヤム作り、かつお節づくりなどの様々な収入向上活動を組み合わせて行っている。トリンコマリにも事務所を持ち、活動している。

今回の訪問の目的であるかつお節事業は、日本大使館の草の根無償資金協力の支援を受けたもので、近くのホテルに商品を販売したりもしているそうであるが、マーケティング、販売はまだまだ課題であるとのこと。もっと他の地域でも売りたい、ジャフナでも売りたいとのこと。

用意してくれた昼食をご馳走になった後、実際に村での活動を訪問する。まず、大使館の支援で購入したかつお節づくり用のオーブンを拝見する。薪式のオーブンで、魚を洗い内臓を取った後、数分間カレーリーフ、タマリンド、ターメリック、塩を入れたなべで煮た後に、オーブンに入れて3日間火を通せば完成するというもの。皆興味深く拝見する。翌日オーブンに入れるまでの過程を見せてもらう。

 
▲大使館の草の根無償資金で購入した薪式のオーブン、雨期でも生産できる。

各グループで行っているかつお節以外の工芸品の製造場所も見学する。玄関マットなどに使われるマットづくり。細かな作業のレース作り、携帯カバーや人形、小さなかばんなどのニット製品など、さまざまな製品を見る。いずれもよくできたもので、皆で興味深く見学した。一通り歩いて見て回ったところで、この日の活動は終了。

 
▲パルシックスタッフが喜んで購入したマット、ジャフナではこのタイプのマットは見かけない。

7月31日(日)


▲パシックの女性グループも
魚を開く作業に参加

8時半にゲストハウスを出発し、オーブンでのかつお節作りを見学、実際にパルシックの女性も手伝わせてもらう。手で魚の内臓と頭を取った後に洗い、沸騰したなべに入れて数分間ゆでた後、魚を半分に割って骨をとるという作業。短時間でできるもので、非常に簡単。後は、オーブンに入れてしまえば終わり。

その後、コヤ(ココナツの皮から作るロープ)工場を見学する。コヤ作り用の機械が置かれており、工程の説明を受ける。 一通り活動を見学した後、双方が感謝の言葉を述べて締めくくった。ニルミニさんはジャフナで事業を開始する計画もあるそうで、ぜひともジャフナを訪れたいとのことだった。パルシックとSobakanthaの架け橋となり、2日間通訳として参加してくれたバーニさんからは、数年前に訪れた際よりも女性たちが豊かになっているとの報告があった。以前は小さな古びた家だったのが、今は家にタイルが敷かれてきれいになっているとのこと。パルシックの女性たちもバーニさんの話をうなずきながら聞き、活動の成果、収入の向上を実感していた。

この日も用意してくれたお昼ごはんをご馳走になり、ウェリガマを後にする。途中のゴールとヒッカドゥワに立ち寄った後、この地域特産のジャーディという魚の加工製品店を見学する。水と塩とタマリンドに魚をつけ込んだもので、5年間保存できるとのこと。圧縮パックにして販売している。乾燥魚作り一筋で生きてきたカライナガルのリーダーは、他のマット作りなどではなく、このジャーディに関心を示した。

8月1日(月)

午前中にぺターの乾燥魚市場を見に行く。多くは卸売店で中には小売店もある。輸入物(インドネシア、タイ、台湾、ドバイなど)が多く、見た目がよく価格もさほど高くないため輸入品が増えているそう。ネゴンボ、マナー、ジャフナからの国産物も一部あった。ワウニヤのものよりコロンボ市場の干物は全体として品質がよく、価格が高かった。商店主たちは品質さえよければ、いつでも買い取るとのことだった。量よりも品質が大切、直接お店に発送すればよいとのこと。ただし、最初に幾分の前払い金を払うが、残りはすべて売れてからの支払いになるとのことで、実際にお金を受け取れるまでは時間がかかる。  乾燥魚市場の後新たに建設された鮮魚市場を訪問する。既に時間が遅く一部の店しか開いていなかったが、マグロなどの大型魚が見られた。その後、スーパーマーケットを訪れて、乾燥魚パックの品質、価格を確認し、この日の見学は終了。

視察旅行の締めくくりとして、女性たちと会議を持った。

(パルシック 西森光子)

後編へ続く

]]>
干物作り研修を行いました! https://www.parcic.org/report/srilanka/srilanka_jaffna/1534/ Sat, 26 Mar 2011 15:00:19 +0000 http://test.parcic.org/?p=1534 2011年2月15日から3月5日まで、ジャフナ県内の3つの地域(カライナガル郡アンバル漁協、ヴェラナイ郡トライユール漁協、トゥンプライ・イースト郡トゥンプライ・イースト漁協)で、各5日間の干物作り研修を行いました。乾期のこの時期、お天気にも恵まれ、干物作りに専念できた3週間でした。

スリランカの人々には日本人と同様に干物を好んで食する食習慣がありますが、干物の国内需要量を国内産のみでは賄いきれず、輸入した外国産干物に依存しているのが現状です。スリランカの干物の輸入量は1983年以来急激に増えていき、なかでも北部での戦闘の激化が干物の輸入を押し上げた要因の一つとされています。

内戦が終わり、北部での漁業が本格的に再開された今、ジャフナで干物作りを始める準備が整いました!パルシックは昨年10月からこの事業をスタートし、雨期が終わるのを待ち、ようやくこの研修へと漕ぎ着けました。

今回の研修では、日本から干物作りの専門家を招いて日本方式を取り入れ、より衛生的で低塩の干物作りの方法が伝えられました。具体的には、ハエや蛆の発生を防ぐために歯ブラシで血合いをきれいに取り除くことや、干物をより速く乾かして品質を高められるよう、魚を干す前に布巾で水分を取り除くこと、塩の量を減らして塩に漬け込む方法などです。

こうした新たな知識と、女性たちがこれまで培ってきたスリランカ方式が混ざり合うことで、より衛生的でありながら、スリランカの人々に親しまれる干物作りを目指しています。

ジャフナ県ではイワシ、アジ、タイ、エイ、エビ、イカ等、獲れる魚の種類が地域ごとに異なっており、地域の漁獲に合わせて多様な干物づくりが行われています。

研修に参加した女性たちは、干物作り・販売を通した収入向上、家計の安定に期待を抱き、研修後も懸命に生産をつづけていますが、現時点ではまだ収入が安定しないことから、より収入が低い寡婦世帯の女性は十分に参加できていません。

今後、参加女性を増やしていくことが、大きな課題の一つです。また、女性たちが工夫を重ねてより良質の干物づくりを行いつつ、「衛生的で低塩」という強みをうまく生かして、いかに販路を拡大していけるかということも課題の一つとなっています。

ひきつづき、今後とも干物事業の進捗について、皆さんにご報告していきます。

(パルシック 西森光子)

]]>