西岸地区での植樹事業 – 特定非営利活動法人パルシック(PARCIC) https://www.parcic.org 東ティモール、スリランカ、マレーシア、パレスチナ、トルコ・レバノン(シリア難民支援)でフェアトレードを含めた「民際協力」活動を展開するNGO。プロジェクト紹介、フェアトレード商品販売など。 Tue, 13 Jun 2023 08:38:06 +0000 ja hourly 1 https://wordpress.org/?v=6.4.1 村に憩いの場を https://www.parcic.org/report/palestine/palestine_olive/22132/ Mon, 13 Mar 2023 06:40:15 +0000 https://www.parcic.org/?p=22132 ヨルダン川西岸地区では毎年、地域の人たちと植樹をしています。今年はラマッラ県のカラーワ・バニ・ゼイト村で行いました。耕作放棄地を再生し、地域の人たちの憩いの場となる公園にするための初めの一歩として、2月14日に植樹イベントを行いました。

カラーワ・バニ・ゼイト村の人たちは、他の西岸地区の地域も同じですが、イスラエルによる占領によって日々の生活に様々な影響を受けています。その一つがごみ問題です。

ヨルダン川西岸地区は統治権によってA地区、B地区、C地区に分けられています(詳細は下記の地図をご覧ください)。カラーワ・バニ・ゼイト村のほとんどの地域がA地区に分類されています。A地区は主に居住地となっていて、ごみ処理場を作るのに適した場所がありません。また、西岸地区には現在ごみ処理場が3か所ありますが、村から近い処理場に運ぶにもゴミを輸送するために通行可能な地区を通ると、輸送費が莫大にかかってしまいます。

そのため、村の内外の道路脇、川、耕作放棄地など至る所にごみが投棄されていて、景観を損なっているのはもちろん、環境問題になっています。

ヨルダン川西岸地区は統治権によってA地区、B地区、C地区に分けられています。A地区、B地区はC地区に囲まれた小島のようになっています。C地区を通り抜けるには検問所を通過しなくてはいけなかったり、C地区内ではパレスチナ人が利用できる道の整備が遅れています

植林する土地の隣には川があります。乾季の間は水が無く、タイヤなどのごみが捨てられているのがわかります

また、カラーワ・バニ・ゼイト村には住民が自由で安全に使える憩いの場がありません。子供を公園で遊ばせたいと思ったら、ラマッラ市内もしくは近郊まで出かけていく必要があります。直線距離ではラマッラ市内まで20km程度ですが、C地区で分断されているため、車で1時間以上かかります。

こういった背景もあり、ごみの不法投棄場所になってしまっている耕作放棄地を、村人の憩いの場としての公園に再生しようということになりました。

植林作業を終えてから、みんなで記念撮影

植林イベント当日は、2月中旬とは思えない暖かさでした。天候のせいで何度かイベントを延期していたので、待ち望んだ天気でした。植林作業をリードしたのは、村の学校の8~10年生(14~16才)の子どもたちです。植林する場所の大きな石を取り除いたり、コンポストを入れたり、わいわいと騒ぎながら汗だくになって作業を進めてくれました。

作業を始める前に農業専門家から、苗の植え方、コンポストの役割などの説明を受けています

「教室で数学の授業を受けるよりずっと楽しい!」と言いながらチームワークよく苗を植えていきます

村長さんもせっせと作業をしていました

子供たちを引率していた先生は、「子どもたちを地域の人たちとのイベントに連れて来れる機会がほとんどないし、みんなで植林作業をするのも初めてです。公園として整備が進んだら、ここで課外活動をしたいです。」とのことでした。2時間以上かけて100本ほどの植樹を終えてから、村の人たちが用意してくれたお昼をみんなで食べてイベントは終了となりました。

今回はアーモンド、ぶどう、いちじく、オレンジ、ざくろ、パッションフルーツなどの果樹もたくさん植えました。苗が少し育ったら公園として開放する予定です。さらに、数年経ったら、果物狩りイベントをしたり、村の女性組合がジャムなどに加工したい、など村の人たちの夢は膨らんでいます。

(西岸事務所 ヤラ)

※この事業は、国土緑化推進機構の緑の募金の助成および皆さまからのご寄付によって実施しています。

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西岸地区:100人植樹会 https://www.parcic.org/report/palestine/palestine_olive/14646/ Wed, 08 May 2019 09:42:59 +0000 https://www.parcic.org/?p=14646 3年目に入ったパルシックの植樹事業。今年はヨルダン川西岸地区ナブルス県の北アシーラ町に、昨年の植樹会でも植えたイナゴマメの木を200本植樹しました。

カラック山にて集合写真

カラック山にて集合写真

北アシーラ内外から植樹ボランティアさんを100人も集めて行う植樹会に、スタッフ一同は緊張していました。
こんなにたくさん来てもらって、少ないスタッフで運営できるのかという不安の一方、去年は定員数を絞りすぎてしまったため、ボランティアさん一人ひとりの植樹本数が増えて負担が大きくなってしまったという反省もあり、今年はコミュニティ内外からたくさん人を集めて、町をあげて植樹会を行うことになりました。

植樹当日の朝。冬晴れの、肌がピシッとなるような気持ちのいい天気。

第1の任務はパルシック事務所のある中心都市ラマッラーのバス停で参加者数名を拾い、集合場所のナブルスのバス停に向かうこと。
現地の時間感覚だと15~30分遅れなどはざらですが、誰一人遅刻者はいませでんした。現地人以上に現地の時間感覚に慣れ切ってしまった駐在の日本人が最後に滑り込みセーフをしたくらいでした。

第2の任務は集合場所ナブルスのバス停で他のボランティアと合流し、マイクロバスで北アシーラの町役場に向かうこと。
バス停につくと、すでにたくさんボランティアが集まっていましたが、肝心のバスの姿がありません。その後、待てど暮らせどバスは来ず、待ちくたびれるボランティアと焦るスタッフ。さらに、当日ドタキャンをするボランティアも相次ぎ、来るか来ないかの確認電話をかけるなど、あっちにこっちにと対応に追われます。結局バスは45分遅れで到着。ボランティアたちの辛抱強さに救われました。

こちらでは「インシャーアッラー」という言葉を1日20回は聞く・・・というのは言い過ぎかもしれないですが、みんな頻繁に口にします。直訳すると「神の御心のままに」となるのですが、ニュアンスとしては、誰かと約束を取り付けるときや、願いや期待をかけるときに文の前か後ろに付けて使います。
「99%絶対だ」という本気度の高いものから、「気が向けばね」、「そうなるといいね」ぐらいの軽いもの、また「オッケー」の合図まで、文脈を読む必要があります。
植樹の前日までにバス会社に何度もしつこく確認したため、私たちは「バスが集合時間10分前にバス停に到着すること」で「99%」を取り付けていたつもりだったのですが、どうやら「当日バスがバス停に来ること」があちらの「インシャーアッラー」にかけられていたようです。

オリエンテーション会場も大混乱

オリエンテーション会場も大混乱

朝の大混乱がありつつも、何とかアシーラ町役場で朝一のオリエンテーションを終え、ボランティアさんと植樹を手伝ってくれる地元農家さん混合のグループでそれぞれ北アシーラ町の植樹場所に向かいました。今年の植樹場所は、地域の公立マスカット中学校を囲む道路沿いと、荒地状態となっていた町役場所有の公共の丘、カラック山の2か所。

ゴミとがれきで溢れるカラック山

ゴミとがれきで溢れるカラック山

秒速約20メートル級の風が吹きつけることもあるカラック山は、植樹の2カ月前まで、がれきと粗大ゴミの溢れる投棄地と化していました。

北アシーラには4,000ドノム[1]( 1ドノム=1,000平方メートル)にも及ぶ耕作放棄地があります。
こうした空き地を放置しておくと新たな入植地建設などのために土地接収の対象になることもある上、ゴミが投棄されやすくなります。こうして違法に捨てられる大量のゴミは、パレスチナ自治政府が管轄する正規のゴミ処理場が3か所しかない西岸地区全体の大きな課題となっています(さらに現在稼働中のゴミ処理場は2か所のみ)。
今回植樹に際して片づけられたゴミは、また別の投棄地に移動されただけなのかもしれません。ゴミ処理場の整備や廃棄するゴミの量自体を減らさないことには、根本的な問題の解決にはなりません。それでも、こうした環境問題をボランティアが学び、自分たちで手を加えて見違えらせることで、町の景観を守る大切さや、自分たちの住む場所に愛着を感じてもらうことが植樹会の目的の1つでもありました。

[1]面積の単位。ドノムはテュルク語のdonmekに由来し、元々の定義は大人1人が1日に耕すことのできる面積であった。よって、その面積は人によって、また土地によって異なっていた。現在でも、かつてのオスマン帝国の版図にあった地域で使用されている。

この日、マスカット中学校での植樹を先に終えたボランティアグループがカラック山の植樹にも応援に駆け付け、カラック山に計175本のイナゴマメを植樹することができました。
西岸地区ではイノシシ(現地の人は「豚(ピッグ)」と呼んでいるため日本人はいつも困惑する)による農作物の被害が深刻となっているため、害獣除けの囲いも設置しました。

パレスチナのシンボルクーフィーヤを巻いた北アシーラ村長も植樹会で汗を流す

パレスチナのシンボル、クーフィーヤを巻いた北アシーラ村長も植樹会で汗を流す

後日、町役場の職員が一本一本、囲いに印をつけながら本数を数えました。

スプレーで1本ずつ、この丁寧さがあれば今後もちゃんと育ってくれるはず

スプレーで1本ずつ、この丁寧さがあれば今後もちゃんと育ってくれるはず

植樹も終わりに近づいたころ、植樹に参加してくれた地域の農家さんたちが火をおこして、その場でオスマン帝国期から西アジア地域一帯で食べられている家庭料理シャクシューカを作りはじめました。
トマトやタマネギ、唐辛子に卵などを煮込んで作るシャクシューカ。
よく働いたあとに食べる熱々の出来立てシャクシューカは、登山後、山頂で食べるカップラーメンのおいしさと似ていて、とにかく身体に染みわたります。

シャクシューカ

シャクシューカ

西岸各地から集まった現地、海外ボランティアさんが、植樹したての丘の上に広げた大きな1枚のシートに座って、話に花を咲かせます。

「多様な文化をもったボランティアがひとつのグループになって作業できたことが、今回の植樹会の成功につながったと思います」
とのコメントをくれたボランティアさんの言う通り、植樹のもう1つの醍醐味が異文化交流です。

海外のお姉さんたちと英語を使って積極的に交流するのは、地球環境基金の助成事業で3年間一緒に活動を続けてきたジャマイン環境クラブの学生たち。いつもはシャイな男子学生たちが自然の中でちょっと開放的になっておしゃべりを楽しむ姿に、パルシックスタッフは少しくすっとしていました。

一方、熟練のオリーブ農家が大勢助っ人にかけつけてくれた植樹会、
「楽しかったけど個人的にはもっとがっつり作業をしたかった。これだけたくさんボランティアがいたら、穴掘りからやっても良かったかも」
と少し物足りなさが残ったボランティアさんもいました。
来年は「重労働」と「気持ちのいい汗のかける作業」の匙加減を、しっかり追及してみたいと思います。

さて、今回の植樹会で緑化できたエリアは耕作放棄地のほんの一部にすぎませんが、植樹後の写真をみると、数カ月前までゴミで溢れていた場所とはまるで想像がつきません。

植樹ビフォー

植樹ビフォー

植樹アフター

植樹アフター

カラック山から望める景色は、そこをゴミ山にしておくにはもったいないほど美しいです。
眼下に広がるオリーブ畑は、だれかの祖父やそのまた祖父の時代に植えられ、そうして長い年月、人の手が加えられることによってつくられてきた人間の営みそのものだと思います。

カラック山からの景色

カラック山からの景色

植樹後バスに乗ってボランティアが去ったカラック山を見つめながら「この景色がずっと残ってほしいな」と、その日1番の「インシャーアッラー」を願いました。

(パレスチナ事務所 関口)

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聖書にも登場する木、イナゴマメを植える https://www.parcic.org/report/palestine/palestine_olive/13074/ Fri, 02 Mar 2018 02:26:40 +0000 https://www.parcic.org/?p=13074 2018年2月3日、大雪にみまわれ寒々とした日本列島を横目に、20℃を上回る小春日和のパレスチナはヨルダン川西岸地区ナブルス県にて、イナゴマメという木の植樹イベントを行いました。

植樹前に参加者と集合写真

植樹前に参加者と集合写真

植樹の舞台は、ナブルス県から南西16キロに位置するジャマイン町。

地域循環型農業事業で有機堆肥作りに取り組む現地の農家さんや町役場職員、環境クラブの学生、また地元大学などからのボランティアさんたちと協力して、600本の木を植えることができました。

パルシック主催の植樹イベントとしては昨年から2度目になります。昨年、植樹の木として選出されたのはパレスチナでおなじみのオリーブ。違法入植地による土地接収を防ぎ、地域の緑化を推進するため、ジャマイン町の耕作放棄地に1,050本のオリーブの木を植えました

「オリーブの植樹イベント」というと、いかにもパレスチナらしい行事ですが、イナゴマメは日本ではあまり馴染みのない木です。イナゴというとバッタに似たあれか、なんらかの豆なのか……?

ところがこのイナゴマメ、聖書にも名前が登場するくらいこの地域に根付いた昔ながらの植物なのです。英語名はキャローブ(carob)、現地ではイナゴマメ(kharoub)と呼ばれ、街路樹としてパレスチナのいたるところに見られます。

事業を始めるにあたって農家向けに行ったオリエンテーションでは、農業専門家サーデクが、イナゴマメに関するおもしろい知識をあれこれと教えてくれました。

パレスチナといえばオリーブの木がイメージとして先行しますが、イナゴマメもまたパレスチナの歴史や暮らしに大きな役割を果たしてきました。背が高く、存在感のあるイナゴマメの木は、イギリス委任統治時代の革命家たちにとって絶好の隠れ場となりました。イナゴマメの下に集まり、身を隠しながら食事や作戦会議を行っていたそう。一方で、子どもやお年寄りからは、悪魔の宿る木と信じられ、恐れられていました。蛇がとぐろを巻いたような形のさやのせいか、この理由は定かではありません。

巨大なイナゴマメの木陰に集まるイギリス委任統治時代のパレスチナ人たち

巨大なイナゴマメの木陰に集まるイギリス委任統治時代のパレスチナ人たち

とぐろを巻いたヘビのようなイナゴマメの実

とぐろを巻いたヘビのようなイナゴマメの実

このエンドウ豆にも似た焦げ茶色のさやからは、果肉と種が収穫できます。さやを小さく切って数時間お湯に浸し、手で絞ってとろみのある茶色の汁を抽出、最後に水と砂糖を加えれば、甘いジュースの完成です。チョコレートに似た風味の果汁には、ミルクの3倍のカルシウム、さらにビタミン・ミネラル、食物繊維、プロテインが豊富に含まれているため、高値で取引されます(なんとオリーブよりも高値がつくのです!)。嬉しいことに、カフェイン・脂質フリーで、糖尿病の方でも摂取可能なので、健康的な甘味料として砂糖代わりに料理やスイーツにも使われます。

また、イナゴマメは乾燥した岩だらけの場所に育ち、塩分を含んだ土壌にも耐性があります。光沢のある緑色の葉には耐火性があり、サボテンなどと同様、防火壁の役目も果たします。

これだけで十分すぎるほどイナゴマメを植える理由はあるのですが、イナゴマメを今年の植樹の木に選んだのは、ここジャマイン町の大きな課題のひとつである大気汚染に、イナゴマメが一役買ってくれることを期待しているからです。

粉塵被害を受けたオリーブの木(ジャマインの農地にて)

粉塵被害を受けたオリーブの木(ジャマインの農地にて)

ジャマインの主要産業の1つとなっているのが採石業。この地域にある60か所以上の採石場からはパレスチナで一番ともいわれるほど良質な建築用石材がとれます。しかし、過剰な掘削や石材の切り出しと、そこから生じる粉塵によって、ジャマインの大気汚染レベルは場所によっては世界保健機構(WHO)が定める国際基準の26倍と、極めて高い値になっています。こうした粉塵は地域住民にとって甚大な被害を及ぼすだけでなく、採石場近くのオリーブ畑を真っ白に包み、その影響で現地のオリーブ収穫量は年々減少傾向にあります。

イナゴマメの葉

イナゴマメの葉

この深刻な問題に取り組む方法の1つとしてイナゴマメを植樹するのは、その大きく密度の高い葉が粉塵を吸着するからです。オリーブの周りや道路沿いに植樹することで、オリーブに付着する粉塵量を減らし、空気の質を向上させることができます。その成長スピードは速く、水をやれば5年ほどで5メートルほどに到達、最長で15~20メートルの高さになります。乾燥した土壌環境でも根を張るイナゴマメは、水不足のパレスチナにとってぴったりの木といえます。

現地コーディネーター、サーデクから植樹法を学ぶ環境クラブ学生

現地コーディネーター、サーデクから植樹法を学ぶ環境クラブ学生

今回の植樹イベントでは、ジャマイン町の4か所の公共エリアにイナゴマメを植えました。特に汚染の激しいジャマイン北部、ジャラー地域の道路脇の土はがれきだらけです。鍬も折れそうな岩だらけの土を何とかならし、堆肥を流し込み、イナゴマメを植え、植え込み部分を踏み固めました。

几帳面で働き者のジャマイン農家さん

几帳面で働き者のジャマイン農家さん

植樹の様子を観察すると、やはり農作業に慣れている農家さんたちが率先して作業を進めてくれていました。少々大雑把な農家さんが傾いたまま植えた苗木を、別の几帳面な農家さんが植え直し、見た目の美しさを追及。植え方にもやはり性格の違いが出るようです。

祖父のお墓にイナゴマメを植える環境クラブの学生

祖父のお墓にイナゴマメを植える環境クラブの学生

とても印象的だったのは、公共のセメタリーでの植樹作業中、環境クラブの学生の1人がイナゴマメの木を自分の祖父のお墓の後ろに植えていたことです。
「影ができたらおじいちゃんが暑くないから!」
と、数年先、成長したイナゴマメの木が影をつくり、強い日差しからお墓を守ることを期待して木を植えていました。

植樹後、パルシックのスタッフ、ヤラが書いてくれたレポートにこんな1文がありました。

「植樹活動を通して、パレスチナの環境問題に現地の学生やボランティアの関心をリンクさせ、地道な努力が自分たちの故郷に変化を生み出すことができるのだというメッセージを伝えたい。日々の生活に追われ、時間の経過とともに消えかけている、アラブの習慣や文化の一部であった“助け合い”を、再び考え直す機会になればと願っている。」

彼女の言う通り、この2年間、私たちも多くの人の助けによって数千の木を植樹することができました。そして、来年もまた植樹イベント開催に向け頑張っていきます!

(パレスチナ事務所 関口)

(この活動は「防塵林の植樹を通したオリーブ畑・環境保護」事業の一環として、緑の募金の助成とみなさまのご支援によって実施しています。)

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パレスチナ西岸 ボランティアと農家をつなぐ1000本のオリーブ -2 https://www.parcic.org/report/palestine/palestine_olive/10028/ Tue, 31 Jan 2017 03:16:01 +0000 https://www.parcic.org/?p=10028 パレスチナ西岸 ボランティアと農家をつなぐ1000本のオリーブ -1 からの続き

開会式では、パレスチナ農業復興委員会(PARC)ナブルス支部のアブー・サリさんがボランティアの人びとにこう呼びかけました。

「オリーブの木を植えることは、私たちパレスチナ人にとって大きな意味を持ちます。オリーブの木は、この土地に根を張って生きてきた私たちのアイデンティティに深く関わるのです。切り倒されようとも焼き払われようとも、私たちはオリーブの木を植え、育て続けます。また、ボランティア精神、助け合う精神は、パレスチナの土地に昔から息づいているものです。今日は皆さんで、その伝統に立ち返って、楽しく植樹をしましょう。」

開会式でオリーブ植樹の意義について語るアブー・サリさん 開会式でオリーブ植樹の意義について語るアブー・サリさん

 

開会式の後、ボランティアさんは9つのグループに分かれ、植樹を行う農地に向かいました。農家さんの指揮のもと、準備していた穴一つ一つにオリーブの苗木を入れ、土をかぶせていきます。空模様が怪しくなるなか、なんとか雨が降る前に作業を終えようと各グループで協力しあい、着々と木を植えていきました。おかげで、予定していた本数全てを植えることができました。

 

植樹前に農家さんやボランティアさんに植樹に当たっての注意点を説明

植樹前に農家さんやボランティアさんに植樹に当たっての注意点を説明

植樹をするボランティアさんからの質問に答える農業専門家

植樹をするボランティアさんからの質問に答える農業専門家

このボランティアの女性たちはナブルスから参加。

このボランティアの女性たちはナブルスから参加

植え付けたオリーブの苗木を見つめる農家のダウードさん

植え付けたオリーブの苗木を見つめる農家のダウードさん

みんなで話し合いながら植樹するボランティアさんたち

みんなで話し合いながら植樹するボランティアさんたち

ヒセンさん、アブドゥル=ファタハさんの農地で植樹をしたグループ

ヒセンさん、アブドゥル=ファタハさんの農地で植樹をしたグループ

 

インド人留学生とパレスチナ人女子大学生のボランティア4名を受け入れた農家のムハンマド・ターヘルさんは「みんな率先して手伝ってくれて助かりました。何よりも、楽しく木を植えることができた。感謝しています。」と話してくれました。

 

ムハンマド・ターヘルさん(左から3人目)とボランティアの皆さん。農業専門家サーデクとアブー・サリさんも一緒に

ムハンマド・ターヘルさん(左から3人目)とボランティアの皆さん。農業専門家サーデクとアブー・サリさんも一緒に

 

参加したボランティアさんからは、「ジャマインを訪れたことも、山の上の農地に行ったことも、農具を使ってオリーブの木を植えたことも、何もかもが新鮮だった。」「面白かった。近日中に他にもオリーブ植樹イベントがあったら参加したい。」などの声が寄せられました。また、なかには「もっと農家さんの助けになるよう、穴を掘るところから手伝えればよかった。」という意欲的な意見を下さった方もいました。

 

一日の最後に農家さん、ボランティアさんと記念撮影

一日の最後に農家さん、ボランティアさんと記念撮影

 

今回植樹したのは、2年物のオリーブの木です。同じ2年物でも大きさにばらつきはありますが、背が高いものは次の秋には実をつけ始めます。今回参加した下さったボランティアさんと農家さんがこれから同窓会のように、収穫の時期に木を囲んで集まるようになればいいなと思います。まずは、植えたオリーブの木がすくすく育つように、専門家とともに農地を訪れ、成長を見守っていきたいと思います。

 

収穫時期にたわわにオリーブの実が実りますように

収穫時期にたわわにオリーブの実が実りますように

(パレスチナ事務所 廣本)

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パレスチナ西岸 ボランティアと農家をつなぐ1000本のオリーブ -1 https://www.parcic.org/report/palestine/palestine_olive/10019/ Mon, 30 Jan 2017 03:20:11 +0000 https://www.parcic.org/?p=10019 西岸地区ナブルス県にあるジャマインという町で実施しているオリーブの植樹事業では、1,000本のオリーブを植樹します。

2017年1月14日を植樹の日と設定し、近隣の大学や町役場に呼び掛け、植樹を手伝ってくれるボランティアさんを募集しました。一方、農家さんたちは植樹の日に向けて土地を整備し直し、オリーブの木を一本一本植えるための穴掘りを行うなど準備に励みます。しかし、パレスチナの冬の天気は気まぐれで、12月半ばから雨が断続的に続き、準備作業を翻弄しました。激しい雨で土がぬかるみ、川のようになって、植樹用の穴掘りが思うように進みません。植樹の前日までかけてやっと穴の準備を終えた農家さんもいました。

放置されていた土地を、今回オリーブの植樹に向けて農家さんが整備。

放置されていた土地を、今回オリーブの植樹に向けて農家さんが整備。

植樹前日。北部のカルキリヤから樹齢2年の元気なオリーブの苗を調達。

植樹前日。北部のカルキリヤから樹齢2年の元気なオリーブの苗を調達。

地元の農協メンバーや農家さんの子どもたちも手伝って、前日に苗木配布。

地元の農協メンバーや農家さんの子どもたちも手伝って、前日に苗木配布。

 

そして迎えた1月14日、植樹当日。

朝早くの集合にも関わらず、49名のボランティアさんの姿がありました。ナブルスにあるナジャ大学の環境クラブやボランティアサークルの学生グループ、日本やインドからの留学生など、様々な方が参加してくださいました。

パレスチナ西岸 ボランティアと農家をつなぐ1000本のオリーブ -2 へ続く

(パレスチナ事務所 廣本)

 

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