仮設住宅生活支援・農業復興支援 – 特定非営利活動法人パルシック(PARCIC) https://www.parcic.org 東ティモール、スリランカ、マレーシア、パレスチナ、トルコ・レバノン(シリア難民支援)でフェアトレードを含めた「民際協力」活動を展開するNGO。プロジェクト紹介、フェアトレード商品販売など。 Fri, 21 Apr 2017 06:33:46 +0000 ja hourly 1 https://wordpress.org/?v=6.4.1 新古里(にっこり)農園の特産物作り https://www.parcic.org/report/ishinomaki/ishinomaki_kasetsu_agriculture/9572/ Mon, 29 Jun 2015 06:34:21 +0000 https://www.parcic.org/?p=9572 石巻市北上町十三浜の新古里農園ではハマナスが咲き始めました。

3年前の秋に、市内の防潮堤が建設される砂浜から約200株を農園の花畑に移植しました。ハマナスは海岸沿いに自生するバラの原種で、花や実を食べることができます。石巻では、津波によって絶滅の危機に瀕し、群落があるのは農園を含め2箇所だけとのことです。剪定や株分けの方法を学び、冬の間に手入れを行った結果、今春は大きな花が次々と咲くようになりました。このハマナスの香りと鮮やかな紅色の花びら、ビタミン豊富な実を、リンゴや梨などの果物と合わせてジャムにしたり、ドレッシングに入れたりして、特産物を作り出す試みを続けています。ハマナスの花びら入りリンゴジャムは「口の中で花の香りが広がる」「上品な気分になる」とイベントでの試食販売も好評でした。

ハマナスの花

ハマナスの花

ジャムづくりの風景

ジャムづくりの風景

ハマナスを使った料理の試作ワークショップ

ハマナスを使った料理の試作ワークショップ

当初「こんなもの植えてどうするの?棘だらけで草取りの邪魔になるだけ」と北上の人たちには不評だったハマナスですが「震災前は浜のあちこちにあった」「子どもの頃、実をおやつに食べた」「地方によってはお盆に実を飾る習慣がある」と昔を思い出す人や「ハマナスのトゲが獣避けになる」「高台に家を建てたら庭に植えたい」と株分けを希望する人もいます。最近では、農園のスタッフだけでなく、石巻市内や仙台からも、ハマナスの栽培や加工に興味のある人たちがこの活動に参加するようになりました。

「海がすぐそこにある」農園ならではの取り組みに興味をもち、訪れてもらえるよう創意工夫していきたいと考えています。

(北上事務所 西村 陽子)

※この事業は、ジャパンプラットフォームの助成を受けて実施しています。

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にっこり農園3年目 ーへっこ市の開催ー https://www.parcic.org/report/ishinomaki/ishinomaki_kasetsu_agriculture/9343/ Mon, 22 Jun 2015 09:28:03 +0000 https://www.parcic.org/?p=9343 3年目を迎えた新古里農園では、2014年度、農園休憩所の隣に増設した厨房を使って、農園で育てた野菜や北上産のお米、宮城名物牛タンメンチカツなどを盛り込んだ弁当を製造、販売し、にっこりサンパーク仮設団地で惣菜の販売をしたりしました。毎週金曜日の仮設団地での野菜・惣菜販売は、盆、正月と台風の3回を除いて休むことなく続けました。販売に来てくれる人の数はだんだん減ってきましたが、大雪の中「今日も売りさ、来たの?」と住宅から出てきてくれる常連さんもいます。

また、農園のイベント“へっこ市”を農園休憩所(冬季は仮設団地集会所)で開催しました。農園産野菜と焼きそばやおにぎり、惣菜などの販売のほか、毎年農園を訪問してくれるボランティア団体に協力してもらった日曜品や衣類のバザー、大道芸人や地元のシンガーソングライターのステージなどを行いました。“へっこ”は十三浜の言葉で「はいっておいで」の意味です。仮設のおばあちゃんたちの“お出かけ”の機会となっているほか、仮設団地のお母さんたちが手伝いに来てくれたり、バザー用品の収集に協力してくれたりと、農園を訪れる人の輪が少しずつ広がってきています。

 

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へっこ市で商品を手に取る住民の方々

(北上事務所 西村陽子)

※にっこり農園の活動は、ジャパン・プラットフォーム「共に生きるファンド」の助成を受けて実施しています。

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北上町の復興状況と住宅再建のこと https://www.parcic.org/report/ishinomaki/ishinomaki_kasetsu_agriculture/9337/ Sat, 20 Jun 2015 07:57:22 +0000 https://www.parcic.org/?p=9337 2011年3月11日の東日本大震災の発生から4年の年月が経過しました。パルシックが活動する石巻市北上町は、1955年に十三浜村と橋浦村が合併して北上村に、1966年に北上町となった地域で、2005年の「平成の大合併」で石巻市の一部となりました。東日本大震災前の人口は2,288人、このうち、地震による津波によって165人が死亡、80人が行方不明となりました。世帯としては672世帯のうち522世帯が家屋の全壊の被害にあっています。

現在北上町では他の沿岸地域と同様、防災集団移転促進事業による高台移転地の造成工事が町内の各地区で進められています。しかし、造成団地全11カ所のうち現在までに住民への引き渡しが完了している団地は釜谷崎団地、小室団地、小指団地の3地区のみに留まり、未だ多くの住民が仮設住宅での生活を強いられています。

現在用地の買収は全造成地で完了し、各地伐採や土工事に着手が始まっていますが、一番遅く工事が完了する団地は平成28年度中といわれ、そこから各世帯の自力再建住宅や公営住宅の建設が完了するまでを考慮すると、新居での安定した生活を取り戻せるのは、平成29年度頃まで先になるといわれています。それでも、先の先行3地区の引き渡しにより新しい住宅が建ち始める様子は、北上町全体に希望をもたらす進捗であると言えます。これまで用地買収などを理由に工事が滞り、目に見える復興の姿を捉えられなかったため、気の滅入る方も少なくありませんでした。造成工事が進む様子を目で見て取れる今は、そこでの生活を想像することが最近の楽しみになっていると語ってくれる住民の方も現れ、住民に漂う雰囲気も変化が出てきているように思えます。

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模型を見ながら、高台移転についての説明を聞く住民の方々

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造成された土地

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自力再建による住宅再建

 

造成の工事がほぼ確定した地区が多く出てきたこともあり、年度終わりごろから住民の高台移転に関する関心事は『団地のどこにだれが住むか』となってきています。先駆けて計画が確定したにっこり地区では、それを決めるお手伝いをしました。来年度は他の地区でもこのことで話し合う機会が多くなると思われます。完成が見えるまでもうしばらくの辛抱が必要となりそうですが、その日が来るまでに住民の皆さんがいかにより良い新生活を迎えられるかについて、少しでもそのお手伝いをしていきたいと思います。

(復興応援隊 遠藤博明)

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加工食品の製造・販売で試行錯誤中 https://www.parcic.org/report/ishinomaki/ishinomaki_kasetsu_agriculture/9578/ Mon, 01 Dec 2014 06:51:05 +0000 https://www.parcic.org/?p=9578 津波の被害を受けた石巻市北上町十三浜の新古里(にっこり)農園で野菜作りをはじめて3年目。

「食べればおいしいのに売るには形がねぇ・・・」
「ちょこっと虫がかじったばっかりにB級品」

と、そのままでは売れない野菜をお弁当や惣菜にして販売する取り組みを始めました。

県外からのボランティアに特に人気なのが、宮城名物牛タンのメンチカツ(被災後に隣の河北町で営業再開したお肉屋さんから取り寄せ)と農園産の野菜が10種類以上入ったお弁当、お米も北上の農家産のササニシキを使います。また、にっこりサンパーク仮設団地で野菜とともに週1回、採れすぎたジャガイモを使い、仮設のお年寄りには“ちょっとハイカラ” なニョッキを作ったり、油や砂糖を極力抑えて食べやすい硬さにした大学イモを作ったりしては販売しています。野菜や地元で獲れるハゼの天ぷらはいつもすぐに売り切れますが、キノコの炊き込みご飯は「もうご飯をしかけてしまった」「キノコは苦手」という人もいて、たくさん売れ残ってしまいました。

まだまだ試行錯誤ですが、農園の軽トラックを見かけると駆け寄ってきてくださる仮設団地の皆さんの期待に応えられるよう頑張ります。

軽トラックに駆け寄ってきてくれる団地の皆さん

軽トラックに駆け寄ってきてくれる団地の皆さん

地元食材を使ったおいしいお惣菜、販売中です!

地元食材を使ったおいしいお惣菜、販売中です!

(北上事務所 西村 陽子)

※この事業は、ジャパンプラットフォームの助成を受けて実施しています。

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北上・新古里(にっこり)農園~春のイベント開催~ https://www.parcic.org/report/ishinomaki/ishinomaki_kasetsu_agriculture/5919/ Thu, 15 May 2014 02:12:57 +0000 https://www.parcic.org/?p=5919 北上の長かった冬が終わり、農園ではハマナスの芽吹きが始まり、5月に入り新緑の季節となりました。そんな5月のゴールデンウィークの4日間(5月3~6日)、北上町十三浜の新古里(にっこり)農園の休憩所(通称:グリーンハウス)で春のイベントを開催しました。

この休憩所(グリーンハウス)はプレハブ作りではあるものの、中の壁は杉の無垢材の板張りになっており、囲炉裏や竹垣があるなどちょっとした古民家の風情があります。

さらに、昨年末には加工場も併設され、建物が拡充されており、軒下での休憩もできるようになりました。

新古里農園では春の野菜の種まきも終わり、地元の皆さんへの日頃の感謝と仮設からちょっと出て気分転換や地域の人同士で交流を深めていただくために春のイベントを開催しました。

この時期の北上は田植えの真っ最中で“さなぶり”(注1)にはちょっと早いですが、一足早いさなぶり気分を味わっていただければとも思いました。

新古里農園販売所での販売の様子

新古里農園販売所での販売の様子

イベント期間中は休憩所も店舗風に飾り付けしました。地元のにっこりサンパーク仮設住宅に住むお母さんたちの手作りの手芸品や農園で働いているせいこさんの手作りの立派な飾り雛(非買品)も展示され、きれいに飾り付けされました。この手作りの飾り雛は多くのお客さんが「ほしい!」と歓声と上げるほどのすばらしい作品です。

休憩所の入り口ではバザーを始め、花やハーブの苗木の販売なども行われ、初日の10時前から地元の方々が待ちきれずに訪れ、商品を探したり、パルシックの東ティモールのフェアトレードコーヒーやスリランカの紅茶を試飲してゆったりと過ごされていました。

新古里農園春のイベント・バザーの様子

新古里農園春のイベント・バザーの様子

また、お昼前には囲炉裏を囲んでみんなで焼きおにぎりづくりを楽しみ、味噌や醤油の焦げる香ばしい匂いが部屋中に漂い、皆さん懐かしい香りを感じ、昔話など久々に賑やかな会話に弾んでいました。その後に野菜たっぷりのじゃが芋だんご汁も振る舞い、とても盛況でした。

囲炉裏で焼きおにぎりに挑戦!

囲炉裏で焼きおにぎりに挑戦!

ゴールデンウィークの後半の4日間ということで、地元のお祭りとも重なり来客の少ない日もありましたが、4日間を通して天候にも恵まれ、地元のお年寄りの皆さんを始め多くの方々に来訪していただきました。北上十三浜での野菜作りを通じての支援活動も3年目を迎え、今年からは新古里農園として自立に向けた本格的な活動を開始しています。

これからも地元の北上十三浜でより一層親しまれる農園となり、おいしい野菜を提供していきたいと思っています。

(石巻北上事務所 菅野 芳春)

注1)さなぶり:田植えの終わりに田の神を送る祭り。

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新古里(にっこり)農園開園! https://www.parcic.org/report/ishinomaki/ishinomaki_kasetsu_agriculture/9582/ Tue, 25 Feb 2014 06:59:37 +0000 https://www.parcic.org/?p=9582 石巻市長浜から引っ越してきて2度目の春を迎えたハマナスの群落[1]は、大輪の花を次々と咲かせ、農園に素敵な香りを漂わせています。震災時には15メートルを超えたといわれる大津波に襲われた十三浜追波地区の野菜畑と2棟のビニルハウス、花畑、古民家風に仕立てたユニットハウスの事務所・加工場兼休憩所を拠点として2014年2月、一般社団法人新古里農園を立ち上げました。毎週金曜日には、農園でとれた新鮮な野菜を仮設団地で販売します。

野菜と一緒に、県外の産地直送の規格外品のリンゴや甘夏、北上の山で採れたタラの芽やシドケといった山菜も並ぶようになりました。また、お弁当の製造販売やじゃがいも団子汁、囲炉裏を使っての味噌焼きおにぎり(味噌は昨年仕込んだものです)など、食品加工も始めました。お弁当には、厳冬期に作った切干大根の煮物、季節の野菜のおひたしや漬物、北上産の米、手作りの岩のりなど地域の食材や地域のお母さんたちのアイデアを取り入れ、より北上らしいものになるよう工夫しています。最近では、地元のお母さんたちの作った手芸品の展示販売を始めたほか、北上地域の特産品であるヨシの手芸品のアイデアや、自分の畑で採れたハックルベリーの加工品のサンプルを持ってくる人、花壇の草取りをしてくれる人、散歩の途中で花を見ながらお茶っこしていく人など、立ち寄る住民さんが増えています。今後さらに、訪れる人たちが楽しめるような農園作りをしていきます。

新古里農園で採れた野菜を素材にしたボリュームたっぷりのお弁当

新古里農園で採れた野菜を素材にしたボリュームたっぷりのお弁当

(復興応援隊 西村 陽子)

[1] 防潮堤工事によって撤去されるハマナス約200株を北上の建設会社の協力で2012年冬に移植した。

※この事業は、ジャパンプラットホームの助成を受けて実施しています。

 

 

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北上の食材を使った加工品の製造・販売へ向けて https://www.parcic.org/report/ishinomaki/ishinomaki_kasetsu_agriculture/5170/ Fri, 06 Dec 2013 02:20:10 +0000 https://www.parcic.org/?p=5170 春から秋まで畑仕事で忙しい時期が続いていましたが、冬の訪れとともに農繁期が終わり食品加工場の稼働準備を本格的に始めました。食品加工場のアイデアは、仮設に暮らし農作業をするお母さんたちの「自分が育てた野菜を使って、お漬物やお惣菜などの加工品を作りたい」という想いと、北上を訪れた人たちからの「お茶を飲む場所がない」、「食事をするところがない」との言葉を受けて、生まれました。

実際、北上にはおいしい海の幸と山の幸がたくさんあるのですが、地元産のものを使った本格お弁当屋さんやお惣菜・加工品のお店がありませんでした。そこで、現在地元のお母さんたちと活動しているにっこり農園の休憩所の隣に簡易な加工場を作って休憩所とつなぎ、食堂兼北上産野菜や加工品の販売所にすることにしました。

工事が進む加工所

工事が進む加工所

畑に参加するお母さんたちと他の地域の道の駅や食堂の視察に出かけ、他のお店から学ばせてもらいながら設計を決めました。誰も経験者がいない中、一から話し合いを重ねて決めるという大変な作業でしたが、どうにか年内には工事を終えられそうです。ふー。年明けには、機材や調理器具を入れ、お母さんたちと作るものを決めていきます。主には、北上産の野菜や海産物を使ったお惣菜やお弁当を販売する計画です。

露地野菜の収穫はほぼ終わり、今採れるのはビニールハウス栽培のつぼみ菜くらい

露地野菜の収穫はほぼ終わり、今採れるのはビニールハウス栽培のつぼみ菜くらい

3月頃には加工場での調理・販売を始めます。北上の豊かな自然の恵みを使って、おいしい食品を作ることで、もっともっと多くの人に『北上グルメ』を食べていただければと思います。

他方、北上の各地域では仮設からの移転の話し合いが続けられており、住民の皆さんはどこでどのような家を建てられるかということを心配しています。慣れない仮設での暮らしも大変なことですが、同時に、高齢になってこれから新しく家を建てるということも、とても大変なことです。

 (西森 光子)

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