スタッフレポート – 特定非営利活動法人パルシック(PARCIC) https://www.parcic.org 東ティモール、スリランカ、マレーシア、パレスチナ、トルコ・レバノン(シリア難民支援)でフェアトレードを含めた「民際協力」活動を展開するNGO。プロジェクト紹介、フェアトレード商品販売など。 Mon, 20 Nov 2023 06:23:16 +0000 ja hourly 1 https://wordpress.org/?v=6.4.1 ガザスタッフからの声(11/18-11/19) https://www.parcic.org/report/palestine/23551/ Mon, 20 Nov 2023 06:20:10 +0000 https://www.parcic.org/?p=23551 ガザ地区北部だけでなく、南部への無差別空爆も一向に止む気配はありません。そんな中、ガザの同僚たちは結束して羊農家70世帯の安否確認に尽力しています。元々チームワークの良い6名でしたが、自らも困難な状況にありつつ常に周りの人びとを助けようと奔走する姿には、こちらが励まされます。彼らの尽力によって70世帯の避難先が把握できつつあります。

ガザ地区における羊の畜産支援

危険と隣り合わせで人びとのために動く彼らの願いに応え、わたしたちも粘り強く即時停戦を訴え続けます。「これは市民と政府の戦争でもある」とあるパレスチナ人が嘆いていましたが、今こそ、市民が自分たちの力を信じて、声を上げ続ける時だと思います。みなさまからのお力添え、そしてご寄付も、引き続きよろしくお願いいたします。

【ご寄付のお願い】パレスチナ・ガザ緊急支援

今日もパルシック・ガザ事務所の同僚たちの声をお届けします。

(パレスチナ駐在員ガザ事業担当)

11月18日

タグリードから

(最も通信環境の悪いタグリードから奇跡的にSMSが届きました)

・元気ですか?ガザチームの皆が無事であることを祈っています。私は何とか生きています。昨日は廃材を使って火を焚いて料理し、今日も自力でパンを焼きました。
・今すぐ戦争が終わることを心の底から願っています。この野蛮な戦争を止めるために、世界は何を待っているのでしょうか。世界は私たちが全員死ぬことを待っているのでしょうか。まるでゲームのようですね。この地球上の人類、人びとのヒューマニティにいったい何が起こっているのでしょうか。

サハルとシャディとアブダッラーは、戦争が始まって以来、ようやく3人で合流することができました。サハルは朝早くからマフムードに会い、その後アブダッラーと車でシャディ宅を訪問しました。感動の再会でした。これまでの状況、羊農家の情報などを顔を見ながら共有し、これから何ができるかを話し合いました。そして3人がシャディ宅を出て、帰宅の途につきかけた直後、シャディ宅の目の前が空爆を受けました。

シャディから

・もう一分、同じ場所を遅く歩いていたら、我々3人は死んでいました。
・避難してきた子どもや女性を含む15名が殺されました。私も、私の兄弟もちぎれた遺体の一部を運びました。とても怖かったです。子どもたちも泣き続けています。私の家には多くの瓦礫が飛び散ってきました。幸い家族も皆無事でしたが、私も死んでいた可能性があります。非常に怖かったです。
 ・幸い、私たちは無事で神様に感謝です。しかし、ハンユニスへの無差別空爆は増えています。(パルシックの活動地の一つである)アルカララ村にもイスラエルによる警告が出されています。羊農家への支援にむけて、できる限りの情報取集をしながら引き続き動きます」

サハルから

・シャディ宅を訪問した後に起こったこと(空爆)は非常に怖かったですが、それでも私たちが支援してきた羊農家70世帯のために、避難先の確認やできることを進める必要があります。立ち止まっている暇はありません。帰り道にユセフの家も訪問し、支援プランも話し合いました。

アブダッラーから

・今日は久しぶりにサハルとシャディにも会えました。とても嬉しかったです。私が今避難している学校は、国連機関(UNRWA)が運営する学校ではないため、正式な避難所学校として認定されていません。支援物資はUNRWAの学校に優先的に届くため、私の学校の支援物資は不十分な状態です。
・一部の学校施設では、町内の緊急委員会を通じて、週に3日間、米を炊いた食事が提供されているようですが、量や頻度は十分ではなく、配布も不定期です。例えば小皿に5人分のご飯のみ配給されることもあります。
・フェタチーズは1回限り、1家族7箱まで。豆の缶詰は1食分のみ、1家族3缶まで。その他、野菜バスケットや、各家庭に1つの越冬物資などの配布が行われています。

11月19日

サハルより

・タグリードと連絡が長期間とれず心配で仕方がなかったので、食料などを買って叔父さんの車に乗せてもらい、彼女の家を訪問しました。通常20分で着くところが、人が溢れかえっているのと道路の状態が悪く40分ほどかかりました。タグリードは私が訪問してくると思っていなかったので、本当に喜んでいました!感動の再会でした。タグリードは、食料や水がない中でもなんとかやりくりしていました。通信環境もかなり悪いです。次は、パンを焼く道具など一式を購入し、再度タグリードの家を訪問しようと思っています。もちろん、道中危険なことは承知していますが、どこも安全な場所は全くありません。タグリードは大切な長年の仲間なので、彼女のために私ができることはやりたいと心から思っています。

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10月7日以降のヨルダン川西岸地区の様子 https://www.parcic.org/report/palestine/palestine_west_bank/23525/ Tue, 14 Nov 2023 06:31:13 +0000 https://www.parcic.org/?p=23525 10月7日以降、ガザ地区だけではなく、パルシックが循環型社会作り事業を行っているヨルダン川西岸地区での状況も悪化しています。イスラエル軍による難民キャンプへの侵攻、C地区(地区については、こちらの記事を参照ください)では違法入植者のパレスチナ人への暴力による被害の拡大など、10月7日からの約1か月で2,500名以上の死傷者が報告されています(パレスチナ保健省による)。

循環型社会作り事業で農業専門家として活躍するサーデクは、パルシックや現地のNGOで技術指導をする傍ら、ヨルダン川西岸地区のセルフィート県マスハ村にある自身のオリーブ畑や果樹園で有機農業を実践しています。サーデクからヨルダン川西岸地区の人びとの生活、特に農業への影響について聞きました。

サーデクからの報告

セルフィート県を含む北部では10月中旬から11月にかけてグアバが収穫期を迎えます。しかし10月7日以降、イスラエル軍により西岸地区の至る所で道路が閉鎖されており、収穫した農産物を市場まで運ぶことができなくなっています。ナブルス県にある、一番近くの大きな市場にも輸送することができません。もちろん、より大きなラマッラ、ベツレヘムなどの西岸地区南部の市場にも出荷できなくなっています。その結果、通常であればグアバ1箱(約14kgくらい)を80シェケルで出荷できるところを、出荷先が限られている今、1箱5シェケルで販売せざるを得えません。1箱5シェケルでは出荷にかかる輸送費に相当するだけで、利益はもちろん生産にかかった費用も賄うことができません。

オリーブも収穫期を迎えています。しかし、分離壁(※)の近くにオリーブ畑を持つ農家は、オリーブを収穫することも難しくなっています。私の友人は分離壁の接したところにオリーブ畑を所有しています。彼はオリーブの収穫期が始まってから数日は収穫することができましたが、10月7日以降にオリーブ畑へ行ったところ、イスラエル軍に拘束されました。その時にはすぐに解放されましたが、イスラエル軍からオリーブ畑に近づかないように警告されたそうです。その後、自分の土地であるにも関わらずオリーブを収穫しに行くことができていません。西岸地区では収穫期を迎えているにも関わらず、オリーブ農家が自分の畑に近寄ることができないため合計約1500平方メートル(テニスコート約6面分)のオリーブ畑が放置されています。

道路や検問所の封鎖は、農業だけではなく日常生活にも大きな影響を与えています。先日、地域の公共交通機関の運転手などから最新情報を確認しながら、自宅から事業地ナブルス県の北アシーラに行きました。行きは問題なく事業地に着くことができましたが、帰路はイスラエル軍によって突然、至る所で道路が封鎖されたため、迂回する必要がありました。通常であれば1時間かからないほどの道のりですが、帰りは2時間以上かかりました。また、大学は基本的にはオンライン授業に切り替わっていますが、私の娘は医学生で、今はセルフィート県内にある病院で研修を受けています。家から病院までの間の道路をイスラエル軍が封鎖しており、通常よりかなり遠回りをしないと病院に通えません。都市間を結ぶ主要な道路が封鎖されており、日常的に通院が必要な腎臓透析患者が通院を控えざるを得なくなっていたり、急病やけが人が出たなどの緊急時に救急車を使って病院への搬送ができなくなったりと、命に係わる問題も出ています。

※2002年以降、イスラエルによってイスラエル市民とパレスチナ市民を分断する分離壁が建設されました。ヨルダン川西岸地区の領域に大きく食い込む形で、西岸地区とイスラエルおよびエルサレムの間に8メートルから12メートルにもなる壁が建設され、西岸に住むパレスチナ人は許可証がないと東エルサレムやイスラエル側に行くことができなくなりました。また、分離壁によってイスラエル側と西岸側に分断されてしまった村もあります。現在でも建設は続いています。

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イスラエルによる検問所や道路の封鎖、違法入植者による攻撃は、107日以降にはじまったわけではありません。ガザのように全域を大規模な空爆で破壊されることはありませんが、占領によって日々、人権が侵害され続けています。

ヨルダン川西岸地区は統治権によってA地区、B地区、C地区に分けられています。A地区、B地区はC地区に囲まれた小島のようになっています。普段からC地区を通り抜けるには検問所を通過する必要がありますが、10月7日以降はA地区にある村の入り口をイスラエル軍が封鎖するということが各地で起きています

堆肥試験用温室にて、右がサーデク、左はオリーブ農家。生ごみを利用して作った有機堆肥を、実際に作物を育てるのに使って品質の確認をしています

(パレスチナ事務所)

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ミャンマークラウドファンディング活動報告:医療従事者たちの診療の様子 https://www.parcic.org/report/myanmar/myanmar_support2208/23502/ Tue, 14 Nov 2023 05:08:13 +0000 https://www.parcic.org/?p=23502 こんにちは。パルシック東京事務所です。
ミャンマーの医療従事者を支援するためのクラウドファンディングで支援を届けた医療従事者たちの活動についてご紹介します。

訪問診療チームは、1日かけて村まで訪問します。2021年2月のクーデター前であれば、舗装された道路を使って短時間で移動できていたのが、今は国軍に見つからないよう、険しい森のなかを移動しなければなりません。途中で何度もタイヤを修理しながら、1日がかりで対象の村まで向かいます。

タイヤを修理する様子

ある訪問診療の日。村に到着したときには既に日は落ちていました。村人たちは熱心に医療従事者による話に耳を傾けます。

医療従事者による衛生教育

この日は学校の校舎を借りて、臨時の診療所です。子どもたち含め、患者さんが列を作って順番を待っています。

学校での診療の様子

自宅で医療を提供する医療従事者のもとにも、多くの患者さんが訪れます。

クラウドファンディングにより購入した聴診器を用いた診察

出産はいつも突然です。医療従事者(助産師さん)はお産の時には妊婦さんの家まで駆け付け、出産を手伝います。

生まれたばかりの赤ちゃんを抱く長女

自宅で妊婦健診を行っている助産師さんは、ピナードホーンと呼ばれる器具で、胎児の心拍を確認しています。

胎児の心拍を聞く助産師

医療従事者の声 

Aさん(訪問診療)

 私たちは、3人から5人から成る訪問診療チームで、あらゆる年代の、あらゆる病気を治療しています。 医療従事者として大切にしているのは、患者さんの声に耳を傾け、悩みを理解し、患者さんと一緒に治療方針を決定することです。 一番の課題はセキュリティ(安全)です。攻撃を避けて山道を行くため村への訪問に丸一日かかってしまうことや、医薬品・医療機器の不足によって、適切な医療提供ができないことに困っています。ご支援ありがとうございます。

診察の様子

Bさん(在宅診療)

私の自宅で患者さんの治療に当たっています。治療用の部屋や医薬品用の倉庫はありません。急性呼吸器感染症、慢性疾患、周産期医療、出産、小児疾患などの診療をしています。出産は月に10件ほどあります。医薬品の費用がとても高いので、私たちの活動はとても必要とされています。治療に当たるだけでなく、病気予防や、公衆衛生の啓発にも力を入れています。 電気が無いので、ソーラーパネルが必須です。保健衛生・医療への行政からの支援は全くありません。そのため人びとは、数少ない私たちのような医療従事者に頼らざるを得ない状況です。医療支援は今まさに必要とされています。皆さんからの支援はとても貴重なものです。

急性呼吸器感染症の生後7か月の男児の治療

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医療従事者の声にもあったように、医療について、行政機関は何もしてくれません。 空爆や戦闘により衛生状況が悪くなり、経済状況の悪化から食糧不足、そして栄養状態も悪いという、医療が最も必要とされる時にも関わらず、自分たちで何とかするしかない状況です。 そのような中でのクラウドファンディングで、皆さまからのご支援により、医薬品、医療機器、そして医療従事者への報酬を届けることができました。本当にありがとうございました。

ミャンマーの人びとが置かれた状況は、忘れられた人道危機と言われるようになりました。 ミャンマーと近い関係性にある日本だからこそ、できることがあるはずです。 パルシックではこれからも、ミャンマーの国内避難民および脆弱層の人びとを支える活動を続けていきます。 どうか引き続きご支援のほど、よろしくお願いいたします!

診察の様子

(パルシック東京事務所)

この活動は皆さまからのご寄付で実施しました。

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ガザスタッフからの声(11/10-11/12) https://www.parcic.org/report/palestine/23488/ Mon, 13 Nov 2023 06:03:51 +0000 https://www.parcic.org/?p=23488 11月10日

ユシフから

・朝から早起きし、自分で火を焚いて85人分のご飯を大鍋で作りました。限られた小麦粉を使ってパンも焼いています。もちろん空爆は続いています。高額な小麦粉(25kg)を140シェケル(約5,600円)で購入しましたが、もう店頭には小麦粉はありませんでした。もちろん通常はこのような値段ではありません。野菜も一応まだ売っていますが値上がりしています。

アブダッラーから

・神様のご加護で私も家族も幸い無事です。マフムードとも電話で話すことができ、無事を確認できました。
・ガザの北部の人たちは、2日間避難所を見つけることができずに徒歩で南に避難しています。砲撃はガザのいたるところで非常に激しくあり、イスラエル軍車両はガザの中心部と中部に向かって大きく前進しています。
・私たちが避難生活を送っている学校の近くのお店は食料品が底をつき、ほとんどの店が閉店しました。しかし幸い学校には食料があるため、火を使ってパンを作ったり、学校から200メートル離れたモスクから飲料水を入れたりしています。しかし、淡水化が十分にできていないため、妻の家族の中には飲料水不足により汚染された水を飲んだ結果、感染症や病気にかかった人もいます。
・ガザ北部の住民は、ここ数週間生きるための最低限のニーズすら満たしていない状況です。十分な飲み水もなく、水を確保するために長距離移動をして何時間も待つ人もたくさんいると聞いています。援助物資は入ってきていますが全く十分な量ではないと聞いています。

シャディから

・ガザの全市民にとっても最も困難で絶望的な状況です。私も含めて皆、10月7日以降に起きてきたこと、そして今起こっている状況に言葉では表せないほどの深い悲しみを抱いています。美しいガザは破壊され、かつてのように戻ることは本当に大変でしょう。美しい私たちの記憶も全て消えてしましました。。

11月12日

サハルから

・何とか無事です。私は引き続き叔父の家で避難生活をしており、18人で身を寄せ合って生きています。半分以上が子どもです。姪っ子たちは日中室内で遊んで気を紛らわしています。たくさん遊ぶとお腹も減るので、トマトやきゅうりでは十分ではなく「パンが食べたい」と泣きます。主食のパンは本当に重要です。そのため、通常25kgで30シェケル(約1,400円)する小麦粉は今では120シェケル(約4,800円)に跳ね上がっていますが、何とか小麦粉を調達して、近所の知人宅で土(クレイ)のオーブンを貸してもらい、100人分のパンを焼いてます。空爆下ですが大忙しです。
・先日、塩分濃度の高い水を飲んで腎臓を痛めていましたが、薬を飲み、ボトルウォーターを何とか確保して飲んでいますので、今は痛みはましになりました。
・私は空爆下ですが姪っ子や家族のために食料の調達や友人の安否を確認に訪問するため、毎日出歩いています。車の燃料はなく、移動している車は標的となって攻撃を受けますので、ロバや馬をかりてこれから移動する予定です。これらの動物で移動するためにもお金を払わなければいけない状態です。

シャディから

・私たちガザチームは、通信状況が悪い中でもなんとか羊農家や女性組合の安否確認のためにも、電話をかけ続けて確認してきました。電話がつながるまでに10回程かけ続ける必要があります。参加農家の中には、家を完全に破壊された人たちもいますし、家が破壊されて息子を失った世帯もあると聞きました。農地3つも破壊されたとの報告もあります。また、羊と共に避難をした世帯もいるようです。彼らは避難先で羊に与える飼料がなくて困っているとも聞いています。状況は非常に悪い人もいます。

引き続き、皆さまからの温かいご寄付へのご協力をよろしくお願いいたします。

【ご寄付のお願い】パレスチナ・ガザ緊急支援

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[開催報告]トルコ・シリア地震活動報告会 https://www.parcic.org/report/syria_turkey_lebanon/earthquake_turkey_syria/23464/ Fri, 10 Nov 2023 09:48:26 +0000 https://www.parcic.org/?p=23464

10月27日(金)に、『トルコ・シリア地震活動報告会』を開催しました。

報告会では、発災直後に現地へ派遣され活動を行ってきたトルコ駐在の大野木が報告を行いました。

久しぶりの対面のみによる報告会ということで、参加者の方々と直接議論を交えながら会が進行しました。

トルコ・シリア地震

2023年2月6日未明に、トルコ南部のシリア国境近くでM7.8の地震が発生しました。被災者数約910万人、死亡者数約5万人、また多くの建物の倒壊や破損が確認されています。

地震による被害の影響で支援を届けることが困難であり、被災者は冬季の寒さに耐えながらの避難生活を余儀なくされました。

トルコの状況

トルコでは、倒壊した建物が撤去され、跡地にテントやプレハブが設置されました。プレハブに住むことを希望したほとんどの人はプレハブに住むことができています。プレハブ内でお店を開くなど、小規模ながらも徐々に日常生活に戻ることができるよう、復興が進められています。

同時に、アパートやビレッジハウスの建設が急ピッチで行われていますが、十分な戸数を用意するにはまだ時間を要すると考えられます。

届きにくい支援

子どもたちや障がい者、トルコで生活するシリア人、都市部から離れた地域に住む人びとなどは支援を受けづらい状態にあります。

トルコに住むシリア人は越県の際に政府に許可を得る必要があります。しかし、地震発生後、避難のために他県へ移動したシリア人の中には、地震の影響で許可を得られなかった人たちがいます。許可をとらずに移動したシリア人は、政府に知られるのを恐れて政府からの支援を受けられずにいます。そのため、事情があって支援を受けられない世帯に物資を届けました。

また、避難先として住む人が多いプレハブですが、大量生産されたものであるため、障がいのある方などのニーズに応じたプレハブをつくることは難しく、不便な生活を送っている方がいます。

被害の有無、程度に関わらず、村全員を対象に物資を届けました。家が倒壊していない世帯も、倒壊した世帯に台所やシャワーなどを貸すなど、互いに支えあって生活をしています。村の中で区別をしないことで、地震で被害を受けたコミュニティ内で軋轢を生まず、協力して生活していけるようにしています。

生活再建に向けて

家畜の飼育によって生計を立てている世帯では、地震により家畜を飼育する小屋が破損し、寒さと免疫力の低下により、家畜が冬を越せない恐れがでてきています。そのため、冬を迎える前に家畜を売り、廃業する世帯が増えることを懸念しています。パルシックは地元の自治体と連携をとり、家畜が生活できるような大きめのテントを届けられるように準備を進めています。

また、トルコではりんごの生産が盛んで、国外へ多く輸出していますが、震災後にりんごの手入れができず、今年はほとんど出荷することができない状態となっています。りんご生産で有名な「りんご村」は、村全体が大きな被害を受けているため、今後村ごと近隣のビレッジハウスへ移動し、りんごの生産を終えることになる予定です。

シリアの状況

シリアでは内戦が続き人びとは疲弊している中で、今回の地震が発生しました。

パルシックはシリアの提携団体を通して、現地の状況や必要な物資などの情報を確認し、物資の支援や学校・家の修復などを行ってきました。

シリアではオリーブの生産が盛んであり、ヨーロッパ諸国に多く輸出しています。しかし、今回の地震の影響に加え、ヨーロッパの生産量が半減したことで、オリーブの国内の市場価格が上がっています。これを受けて、オリーブの収穫を行う人手を確保し、収穫の支援を行っています。市民がオリーブを買いづらい状況にありますが、オリーブの文化を守っていく必要があります。

また、地震前からコレラが蔓延しており、主に多くの子どもが感染しています。しかし、地震の影響で給水施設の消毒用のポンプが故障してしまいました。そのため、ポンプの交換など衛生環境の改善のために支援を行いました。

感想

トルコ・シリア地震からすでに9か月経過しました。様々な理由で支援を受けられない、または支援が届きにくい人びとがいます。しかし、支援が難しいから諦めるのではなく、支援が必要なすべての人に届ける必要性を強く感じました。

日本国内ではこの地震に対する関心は薄まってきているように感じます。トルコ・シリアは日本から距離が遠い国々であり、実際に直接支援を届けることは難しいですが、現地の状況を伝えるニュースを確認するなど、現地の人びとの状況に関心を示すこと自体が支援や報道をより促進することに繋がると考えます。

(東京事務所インターン 藤川愛永)

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シリア:皆さまのご寄付で給水施設の補修とオリーブ農家の支援を行いました https://www.parcic.org/report/syria_turkey_lebanon/earthquake_turkey_syria/23392/ Fri, 10 Nov 2023 06:48:34 +0000 https://www.parcic.org/?p=23392 2023年2月6日のトルコ・シリア地震から8カ月ほど経ちましたが、シリア北部では震災前から続く紛争による被害もあり、復興はまだまだ時間がかかりそうです。紛争下にあるものの、しばらく治安は安定していましたが、10月上旬からシリア北部で空爆が頻繁に発生し、住民の中には別の地域に避難する人も多く混乱が続いています。

パルシックは、震災直後からシリア北部で被災者支援を行ってきました。最近の活動としては、震災で使えなくなった給水施設の消毒用のポンプを交換したり、今年の冬が終わるまでに必要な量の消毒用塩素を購入したりするなど、シリア北部での衛生環境改善のために皆さまからの寄付金を使わせていただきました。シリア北部では、去年からコレラが発生していますが、消毒用ポンプの修理と塩素消毒液の配付により、コレラの罹患率は大幅に減少しました。

また、シリア北部では10月からオリーブ収穫のシーズンが始まりました。シリア北部はオリーブの有名な生産地で、多くの農家が生活収入をオリーブの収穫に頼っています。しかし今年は、より収入の良い、震災で破損した家屋の修復や新たな家屋の建設に人手が取られてしまい、オリーブ収穫の人手が不足しています。そのため、オリーブ農家は、寒い冬が到来するまでにオリーブの収穫を終えることができるか、とても心配しています。そこで、パルシックでは皆さまからの寄付金で、オリーブ収穫の人手を雇い、500世帯近いオリーブ農家の収穫の支援を行っているところです。

これからも皆さまからいただいたご寄付で、震災で影響を受けた人たちがどんな支援を必要としているか、声をよく聞き、現地提携団体と一緒に、不足している支援を届けていきます。

(トルコ駐在 大野木)

*この活動は皆さまからのご寄付で実施しています。

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ガザスタッフからの声(11/8) https://www.parcic.org/report/palestine/23443/ Thu, 09 Nov 2023 02:50:20 +0000 https://www.parcic.org/?p=23443 11月7日時点でガザスタッフ6人の無事を確認できています。11/2の緊急集会では、ガザスタッフへたくさんのメッセージをお寄せいただきありがとうございました。ガザスタッフ一同、感謝しております。引き続き温かいご支援のほど、よろしくお願いいたします。

11月8日

ユシフから(11/7夜中)

・幸い私含めて家族は無事です。即時停戦を心から願っています。明日(11/8)には近隣住民の方が生活用水を供給してくれる予定です。私は飲料水を配れるように朝から動く予定です。しかし、水を利用できるようにするには、いろいろと困難がありそうです。
・今日私は掃除道具、シャンプー、石鹸、ティッシュ、トイレ用道具などを300シェケル(約12,000円)で購入しました。これも一週間あまりで使い切ることになりそうです。通常価格よりかなり高いです。またお店の在庫もほぼなくなっています。
・毎日、家族や姪っ子のために動き続けて疲労は極限状態ですが、この悲惨な状況下で人間としてするべき当然のことをしているだけです。
・料理用のガスもあと少しで使いきります。在庫はお店で売っていないため、原始的に火を自分で起こすになるでしょう。多くのものが不足していますので、常に何で代替できるかと考えています。私の自宅周辺で支援物資を配っている団体もありますが、私は受け取っていません。私よりももっと困窮している世帯が受け取っていただきたいです。
・私も緊急支援の手伝いをいち早くして、周りの人達の力に少しでもなりたいと切望しています。

サハルから

・私もタグリードも何とか無事です。私は姪っ子や甥っ子に物語を読み聞かせたり、パンを焼いたり手で洗濯したり、電気なしでもなんとか生活しています。笑顔を忘れていませんよ。

シャディから

・現在も私のガザ市の自宅周辺はイスラエルの戦車により無差別な砲弾が続いています。今はハンユニスの両親宅なので比較的安全ですが、自宅や自宅近くの病院が心配です。
・私たちが畜産事業でお世話になっている獣医さん2名と連絡がつきました。彼らも無事でハンユニスにいます。羊農家の皆さんから、この緊急事態に羊のケアをどうしたら良いか電話が頻繁にかかってくるそうで、未だに親身にアドバイスをしてくれています。私たちも獣医さんに大変感謝しています。

ガザ地区における羊の畜産支援

ガザの人たちは今も被災した市民同士で協力しながら、この瞬間を生き延びようとしています。どうかガザの一般市民がおかれている極限状態を超えた現状を一人でも多くの日本の皆さんに知っていただき、即時停戦に向けて連帯の輪を広げていただけますと幸いです。引き続きお力添えのほど、よろしくお願いいたします。

【ご寄付のお願い】パレスチナ・ガザ緊急支援

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ガザスタッフからの声(11/7) https://www.parcic.org/report/palestine/23440/ Wed, 08 Nov 2023 01:58:31 +0000 https://www.parcic.org/?p=23440 ガザの抵抗勢力ハマスの奇襲攻撃と、報復を掲げるイスラエル軍による大規模無差別ミサイル攻撃に始まる殺傷が続いて1ヶ月が経過しました。ガザ市民は一刻も早く停戦となることを切望しています。引き続き即時停戦に向けた情報拡散や緊急寄付にご協力のほど、よろしくお願いいたします。

【ご寄付のお願い】パレスチナ・ガザ緊急支援

11月7日

タグリードから

・自宅近くが空爆を受けて自宅のバスルームの窓は壊れてへこみ、壁には亀裂が入り、水タンクも破損し、入り口のガラスドアが割れて自宅は完全に埃で真っ暗になりました。幸い私たちはまだ無事です。 (現在もタグリードの深刻な状況を確認中です)

アブダッラーから

・神様のおかげで、私も家族も皆無事です。引き続き学校で避難生活を送っています。幸い、私たちの地域は爆撃や標的攻撃はありませんが、停電はあり、水や食料の確保は非常に困難です。お店でもそれらの入手は困難です。
・2日前、アル・カララ村(ハンユニス県)で、羊の畜産事業に参加している家族に遭遇しました。アル・カララ村も衝突が激しく、避難してきており、私が避難している学校の向かいで避難生活をしています。奥さんは足に怪我をして12針縫ったそうですが、幸い無事とのことです。
・他にも事業参加者の中に家が完全に破壊されたとの報告も受けました。彼らの無事も祈っています。

ガザ地区における羊の畜産支援

サハルから

・私は何とか無事でまだ生きています。足りないものばかりですが、何とか対処しようとしています。

ユシフから

・まだ何とか生きています。幸い私のエリアでは空爆は今はありませんが、私は日中対応することがあまりに多くて疲労困憊です。

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ガザスタッフからの声(11/5-6) https://www.parcic.org/report/palestine/23420/ Mon, 06 Nov 2023 10:06:03 +0000 https://www.parcic.org/?p=23420 11月5日

ユシフから

3日前からトイレを流す水がなかったですが、ようやく購入できました。ただし、3,000リットルを120シェケル(約4,700円)でした。通常は1,000リットル20円程、3,000リットルでは60円程です。信じられない金額です。この水はトイレを流すためだけに使います。なんとかパンも購入はできますが、3キロのパンが8シェケル(約320円)で2~5時間も持つ必要があります。

11月6日

11日ぶりに電話が繋がりました。

タグリードより

  • 連日、自宅からわずか50メートルの場所や100メートルの場所などが空爆を受け、非常に過酷な日々でした。私の住んでいるNuseiratは煙が充満しています。これは大虐殺です。あと何日強くいられるか分かりません。
  • NuseiratはWadi Gazaから近いため空爆も激しく危険です。屋上の水タンク、ソーラーパネル、ジェネレーターも狙われたと聞きます。動いている車も襲撃されます。一刻も早い停戦を切望してやみません。
  • 水が本当にないので、食器を洗った水を別の用途に使ったり、リサイクルして使っています。そのため衛生環境が劣悪です。私は戦争前は、毎日掃除をする几帳面なタイプなので、今の状況は本当につらいです。
  • スーパーの棚に食品はなく、自宅に残っているわずかな缶詰で食いつないでいます。野菜もなく、ガスもなく、料理はできません。兄弟が「自宅に余っている昼食の残りを分けてほしい」と家に来ましたが、料理をしていないので分けてあげられるものがなくてつらいです。
  • 庭に植えていたオレンジの木から、いくつかオレンジの果汁を絞って喉を潤しています。すっぱいですが。
  • 自宅周辺には市役所からの水が戻ってきた時に備えて、多くの人が黄色い水ボトルを持っています。私も貴重な水を、どのくらい何に使うか常に計算しています。
  • 大学生の娘は、戦争が終わった後に戻れる大学はないので途方に暮れていますが、オンラインでも可能であれば勉強を続けたいです。ガザの人びとは勤勉です。
  • 大学生の次女は、この戦争が始まって時間をつぶすために物語を書いていました。720字書き上げました。絵もかきます。何とか気を紛らわそうと耐えています。
  • Nuseiratの住民はキャンプであっても教育レベルが高いので、パン屋さんにもきちんと列に並んで待ちます。
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ガザスタッフからの声(11/3) https://www.parcic.org/report/palestine/23417/ Mon, 06 Nov 2023 08:37:00 +0000 https://www.parcic.org/?p=23417 11月3日

サハルから

・何とか今日も生きています。食料はなんとか確保できています。最低限必要なものはスーパーでまだ見つけることができます。しかし主食であるパンを見つけることが困難で、自分で家で焼く必要があって大変です。
・最も大変なことは飲み水の確保です。価格が高騰し、入手できません。塩分濃度の高い水を脱塩する装置は、日中はソーラーパネルの太陽光発電システムを使用しますが、夜間は発電機を使用して稼働していました。現在は、燃料不足により、日中は太陽光発電システムを使用してのみ稼働しているため、脱塩される水の量が減少しています。特に、何千人もの人たちが北部から中部の私の地域(デイルアルバラ)に避難してきており、対応できていません。
・家庭用の水を確保することは本当に簡単ではありません。私が今避難している叔父の家では隣人が井戸を持っており、水を得るためにはジェネレーターが必要で、そのジェネレーターを稼働させるにはガスが必要です。そのガスがないため、水を得ることができません。
・飲料水に関する他の問題は、現在販売されている水のほとんどが十分にろ過されていないため、塩分濃度が通常より高く、そのため水の味がかなり塩辛いです。この水を飲むことで体調不良を引き起こします。私の場合、昨晩その水を飲んだため腎臓が痛くて寝れませんでした。この飲料水を飲むのはやめなければいけません。通常のボトルウォーターを探していますが、値段は二倍で、見つけるのも容易ではありません。

ユシフより

・(神様のおかげで)何とか私たちは無事です。今は自宅に85人程います。飲料水と食料は幸い確保できますが、トイレを流す水やシャワーを浴びる水がなくて、衛生環境が非常に悪いです。私の家には赤ちゃんも女性もいます。
・アブダッラーの避難先である学校から車で10分ほどの場所にいます。学校での避難生活は非常に困難であり、助けに行きたいですが、道路が既に破壊されており、また車で移動していると襲撃されます。私の車の燃料もないです。大切な仲間を助けることができないことが本当に苦しいです。
・同僚たちには常に電話をして無事かどうか確認しています。アブダッラーの避難先の学校に、私の元同僚や友人も避難しています。彼らが住んでいた街はモダンで素敵なシティでした。6,000世帯が住んでいました。
・神様、今日も生かしてくれてありがとうございます。何とか生きています。生き残ります。一刻も早い停戦を望んでいます。自分たちが安全であることは神様のおかげですが、仲間を助けられず、苦しいのです。

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